No.1広告は危険?消費者庁の規制強化と、顧客を失わないためのルール

No.1広告は危険?消費者庁の規制強化と、顧客を失わないためのルール
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デジタル広告において「No.1広告」(No.1の称号を用いた広告展開)は、依然として高い集客効果を持ちます。 GMOリサーチ&AIが実施した最新調査によると、消費者が商品の信頼性を判断する際、「No.1表示」は「口コミ」に次いで2番目に影響力が高いことが判明しました。

一方で、根拠の曖昧なNo.1広告に対しては、2人に1人が「疑念」を抱いているというシビアな現実もあります。No.1広告は「正しく行えば高い効果が得られるが、一歩間違えばブランドを傷つける」という側面を持っています。

本稿では、No.1広告の効果を最大化しつつ、消費者の「疑いの目」を「信頼」に変えるためのルールを解説します。

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なぜ今、No.1広告が問題なのか

企業間競争の激化を背景に、No.1広告が急増しています。特にデジタル広告では、商品やサービスの優位性を「業界最安」「顧客満足度No.1」などの最上級表現で訴求するケースが目立ちます。

消費者庁は、こうした状況が消費者の適切な商品選択を妨げているとして、監視を強化。「非公正な調査」に基づく広告に対し、業界全体で問題視する動きが広がっています。

増加する違反事例と処分の実態

2008年の公正取引委員会による実態調査報告書の公表以降、No.1広告(不当表示)への監視は年々厳格化しています。 2023年度には不適切な表示による措置命令が10件を超え、特に問題とされたのは、実際の利用経験がない消費者を含めた「印象調査(イメージ調査)」に基づく表示でした。

厳罰化の象徴となった「高額課徴金」の事例

No.1広告に対する処分は厳格化が進んでいます。 象徴的なのが、2024年3月に消費者庁が特定商取引法に基づき初めて違反を指摘した事例です。この事案では、オンライン家庭教師事業者に対し6,346万円もの高額な課徴金納付命令が出されました。 これは「安易なNo.1広告は経営を揺るがすリスクがある」という、業界全体への強い警告となりました。 さらに、埼玉県では接骨院運営事業者の「埼玉県口コミNo.1」という表示に措置命令が出されるなど、地方自治体による監視も及んでいます。

【独自データ】「No.1」の影響力は依然として絶大

【独自データ】「No.1」の影響力は依然として絶大

「No.1広告はもう古いのではないか?」と懸念される方もいるかもしれませんが、データは依然としてその有効性を示しています。 2025年10月にGMOリサーチ&AIが実施した調査(N=3,009) によると、消費者の購買心理においてNo.1広告は大きな役割を果たしています。

【調査結果の詳細はこちら】 【調査データ】No.1表示に半数が「疑念」|消費者が不信感を抱くNG表現と信頼回復のカギ

信頼性への影響は「口コミ」に次ぐ第2位

「商品の信頼性に対して影響する要素」を聞いたところ、「No.1やランキング表示」と回答した人は36.0%にのぼりました。 これは「利用者数や販売実績(34.7%)」や「有名人の推薦(20.4%)」を上回り、「口コミ・レビュー(43.6%)」に次ぐ第2位の影響力です。

また、No.1広告に対する印象としても、「よく売れている商品だと感じる(35.4%)」が最も多く、ポジティブなイメージを持つ消費者が多いことがわかります。

しかし、「根拠なきNo.1」は逆効果に

No.1表示に対して疑念を抱いた経験:ある52%、ない26.3%、わからない21.7%

一方で、消費者は盲目的に信じているわけではありません。 同調査では、52.0%(半数以上)がNo.1表示に対して「疑念を抱いた経験がある」とも回答しています。

疑念を抱く最大の理由は、「客観的なデータが示されていない」「調査機関が不明確」であることです。 つまり、消費者は「No.1広告そのもの」を嫌っているのではなく、「根拠が怪しいNo.1」を厳しく見抜いています。

正当なリサーチに基づいた「本物のNo.1」であれば、疑念を払拭し、強力なマーケティング効果を得ることができます。

No.1広告で陥りやすい「3つの罠」

No.1広告で陥りやすい「3つの罠」

では、どのような表示が「アウト」判定されるのでしょうか。消費者庁が特に厳しくチェックしている3つのパターンを解説します。

1. 印象調査だけに頼った「満足度No.1」

「顧客満足度No.1」という表示で最も問題となるのは、実際の利用経験がない消費者を含めた印象調査です。 ある商品やサービスを実際に使用したことのない消費者からの評価を基に「満足度No.1」と表示することは、景品表示法上の優良誤認にあたる可能性が高くなります。 消費者庁は、2024年の措置命令でこの点を特に重視しており、実態を伴わないNo.1広告を厳しく取り締まっています。

2. 曖昧な調査条件による「シェアNo.1」

「シェアNo.1」の表示では、調査対象の範囲や時期が曖昧なケースが目立ちます。 例えば、特定の地域や期間だけを恣意的に切り取ったり、有力な競合他社を比較対象から意図的に外したりする行為です。調査の対象範囲や時期を明確に示さない「シェアNo.1」表示は、消費者に誤解を与える不当表示として処分の対象となります。

3. 限定的なデータに基づく「売上No.1」

「売上No.1」を謳う際、特定の商品カテゴリーや販売チャネルのみのデータを用いて、あたかも業界全体での評価であるかのように表示するケースです。 例えば、自社ECサイトでの一時的な売上だけを根拠に「売上No.1」と表示する行為は、消費者の誤解を招く典型的なパターンです。

景品表示法と広告主の責任

No.1広告に対する法的規制の中核となるのが、景品表示法です。

広告主の法的責任

重要なのは、No.1広告に関する法的責任は、最終的に広告主(発注企業)が負うということです。 「調査会社が大丈夫だと言ったから」「代理店に任せていたから」という言い訳は通用しません。たとえ外部に依頼した結果であっても、その内容の適切性は広告主自身が確認する必要があります。

措置命令と課徴金制度

不当表示が発覚した場合、消費者庁は再発防止策などを求める「措置命令」を発します。 さらに、2016年から導入された課徴金制度では、対象となった商品・サービスの売上高の3%が課徴金として課されます。前述の6,000万円超の事例のように、経営を揺るがす金額になることも珍しくありません。

【Q&A】No.1広告に関するよくある質問(FAQ)

規制や罰則が厳格化する中で、「どこまでなら許されるのか?」「過去のデータはいつまで使えるのか?」といった点で悩まれる方も多いのではないでしょうか。 そこで、No.1広告を検討する際、現場で特に判断に迷いやすいポイントをQ&A形式でまとめました。

Q1. 自社でアンケートを実施し、その結果を「No.1」として使ってもいいですか?

A. 原則として推奨されません。 自社で行う調査(セルフ型アンケート等)は、客観性や中立性の担保が難しく、恣意的な設問設計を疑われやすいためです。広告として「No.1」を謳う場合は、利害関係のない第三者機関による調査が必須条件と考えましょう。

Q2. 3年前に取得したNo.1のデータは、今も広告に使えますか?

A. そのまま使い続けるのはリスクが高いです。 市場環境や競合状況は常に変化しているため、数年前のデータが現在の実態を反映しているとは限りません。一般的には「直近1年以内」のデータを使用することが望ましいとされています。 どうしても過去のデータを使用する場合は、「20XX年X月時点の調査」と大きく明記するなど、消費者が現時点の評価と誤認しないような配慮が必要です。

Q3. 調査会社にお願いすれば、どんな内容でもNo.1にしてくれますか?

A. コンプライアンス意識の低い調査会社であれば、提案してくるかもしれません。 しかし、そうした「無理やり作ったNo.1」は消費者庁の監視対象となります。 「必ずNo.1を取らせます」と営業してくる調査会社や、実態とかけ離れた比較対象(全く無名の競合など)を設定しようとする会社は避けるべきです。結果として、発注側の企業が法的責任を問われることになります。

Q4. サイトに小さく注釈を入れておけば、多少盛っても大丈夫ですか?

A. いいえ、許されません。 大きく「No.1」と書き、目立たない場所に小さく「※実は〇〇限定です」と書くような手法は、「打ち消し表示」と呼ばれ、景品表示法上問題視されます。 注釈はあくまで補足であり、メインの表示と矛盾するような内容は認められません。

まとめ:信頼できる「No.1調査会社」を選ぶために

No.1広告は、消費者に強いインパクトを与えます。しかし、その裏には「法的リスク」と「ブランド毀損リスク」が常に潜んでいます。 コストを抑えるために安易な調査会社を選び、その結果として「詐欺まがい」というレッテルを貼られてしまっては、元も子もありません。

リスクを回避し、堂々とNo.1を掲げるためには、「監査に耐えうる適正な調査設計」ができる調査会社を選ぶことが全てです。

では、数ある調査会社の中から、どこを選べば安全なのか? 下記の記事では、元・調査会社運営元の視点から厳選した、信頼できるNo.1調査会社の実名と選び方を詳しく紹介しています。是非ご覧ください。