デプスインタビューのやり方・成功のコツを徹底解説
目次

「デプスインタビュー」は、商品やサービスの改善、ユーザー理解のために有効な調査手法です。

本記事では、デプスインタビューの基本的な説明からやり方、成功に導くためのコツなどを初心者の方にもわかりやすく解説します。デプスインタビューを実施する際に調査会社を活用すべき理由もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

デプスインタビューの基本

デプスインタビューとは、調査対象者とインタビュアーが1対1で行う定性調査の手法です。数値データだけでは見えてこない、「ユーザーの本音」を深掘りできるのが特徴です。

調査対象者へ直接質問できるため「なぜその行動をするのか」「どんな価値観や感情が関わっているのか」など、深層心理や意思決定の背景を探ることができます。新商品開発やUX改善、BtoB調査、ブランドリサーチなど、幅広い領域で活用されています。

デプスインタビューが注目される理由

デプスインタビューは、マーケティング活動において欠かせない調査手法の一つです。注目される理由は、表面的なデータだけではわからない消費者の本音や潜在ニーズを明らかにできる点にあります。

近年、顧客の価値観や行動が多様化し、「なぜそれを選ぶのか」「どう感じたのか」といった深いインサイトの重要性が高まっています。SNSやレビューサイトで拾えるのは表面的な声で、消費者の本音や無意識の感情までは読み取れません。デプスインタビューなら、一対一の対話を通じて消費者の本音を引き出すことが可能です。

デプスインタビューとグループインタビューとの違い

デプスインタビューとグループインタビューは、ユーザーの本音や潜在的なニーズを明らかにする目的で活用されます。以下に、両者の主な違いを整理しました。

デプスインタビューグループインタビュー
調査対象者数1名4〜6名程度
調査形式個別形式座談会形式
所要時間60〜90分程度90分〜120分程度
特徴個人の深層心理に迫る調査に適している複数人で実施するため、多様な意見や共通点の発見に適している

それぞれ調査方法や特徴が異なるため、調査目的やテーマに適した手法を選ぶことが重要です。

【関連記事】グループインタビューとは?メリット・進め方・調査会社10選をわかりやすく解説

デプスインタビューのやり方|基本5ステップ

デプスインタビューのやり方|基本5ステップ

デプスインタビューのやり方について解説します。初心者の方にもわかりやすく、基本の5ステップに分けてご説明します。

1.目的を設定する

デプスインタビューを実施する際は、まず目的を設定します。「何を知りたいのか」「どんな意思決定に活かすのか」を整理することが必須です。

調査目的を定めることで、質問設計や対象者選定の精度が高まります。例えば、「新商品の購買動機を理解したい」「サービス利用時の不満を把握したい」などが目的として挙げられます。

2.人数と費用を検討する

デプスインタビューにおける調査対象者の人数は、1つの属性につき3~10名程度が理想です。同属性の対象者が多すぎると、似たような意見が増えてしまう恐れがあります。

調査を実施する際は、インタビュアーや調査対象者に支払う謝礼などが必要です。予算とのバランスも考慮し、インタビューの設計や調査対象者の人数などを検討してください。

3.対象者をリクルートする

デプスインタビューでは、ペルソナやターゲット層に沿った対象者を選定することが重要です。

リクルートの際は、性別・年齢・職業・行動履歴などの条件を設定し、アンケートやスクリーニング調査を通じて条件に合致した人を抽出します。調査目的に合った対象者を選定することで、より質の高い調査を実施できます。

4.質問項目とインタビューの流れを設計する

デプスインタビューでは、本音を引き出せるような質問項目を設定し、全体の流れを設計します。「はい」「いいえ」で答えられる質問ではなく、「どう思いましたか?」「その理由は?」など、深掘りできる質問が適しています。

所要時間は、1人あたり60〜90分程度が目安です。質問項目はあらかじめ用意しつつも、状況に応じて柔軟に対応できるインタビュアーの力量も必要です。

5.実施・記録・分析する

デプスインタビューは、静かで話しやすい場所で実施します。調査内容は、メモや録音での記録が必要です。

インタビュー終了後は、対象者の発言を整理・分析し、仮説の検証や商品開発、ペルソナ設計などに活用できるようレポートにまとめます。作成したレポートは関係者間で共有し、今後のマーケティング施策に活かすことが大切です。

デプスインタビューを成功に導く3つのコツ

デプスインタビューは消費者の深層心理を探る重要な調査手法ですが、成功には対象者との関係構築が鍵となります。ここでは、より深い洞察を得るためのコツを3つご紹介します。

対象者と信頼関係をつくる

デプスインタビューでは、調査対象者に本音を話してもらう必要があります。そのためには、調査対象者が安心して話せるような雰囲気づくりが重要です。

インタビューは、自己紹介や雑談、共感からスタートすると、調査対象者がリラックスして本音を話しやすくなります。安心して話せる空気づくりが、質の高いインサイトを生むことにつながります。

聴く姿勢を大切にする

デプスインタビューでは、調査対象者の話を聴く姿勢が大切です。調査対象者によっては、おしゃべりな人、寡黙な人など、タイプはさまざまです。下記のようなポイントを意識してインタビューに臨みましょう。

  • インタビュー中に相手の言葉をさえぎらない
  • 相槌を打ったり、相手の目を見たりなど、共感を示しながらじっくり聴く
  • 沈黙を怖がらず、調査対象者のペースに合わせた会話を意識する

こうした姿勢を保つことで、調査対象者は安心して本音を語りやすくなります。

誘導的な質問を避ける

デプスインタビューでは、誘導的な質問を避けることが重要です。聞き手の意見や前提が伝わってしまうと、調査対象者の本音が引き出せなくなります。

例えば「この商品は便利ですよね?」など質問すると、相手は同意しやすくなり、実際の不満や別の意見が出にくくなります。インタビュアーは、中立的な表現を心がけ、調査対象者が自由に答えやすい質問をするようにします。

デプスインタビューで得られる3つのメリット

デプスインタビューは、1対1でじっくり消費者の話を深掘りできるのが魅力です。ここでは、デプスインタビューで得られるメリットを3つご紹介します。

本音や無意識の感情を引き出せる

デプスインタビューは、1対1でインタビューを行うため、調査対象者は他人の目を気にせず自由に話すことができます。そのため、表面的な回答にとどまらず、より深い思考を把握するのに役立ちます。

インタビューの中で、調査対象者本人も気付いていないような考えや心情、消費者インサイトを引き出せる点も大きなメリットです。

個人の意思決定プロセスがわかる

デプスインタビューを実施することで、個人の意思決定プロセスを明らかにできます。商品やサービスの選択に至るまでの間には、複数の意思決定を経ています。消費者が商品を購入した・購入しなかった理由や比較検討の際に悩んだポイント、ほかの商品と比較する基準などを詳しく聞き出すことが可能です。

さらに、個人の意思決定プロセスを属性ごとに整理することで、共通する傾向や違いも把握できます。

センシティブなテーマにも対応しやすい

「お金」や「健康」などのセンシティブなテーマを取り扱う場合は、1対1で行うデプスインタビューが向いています。グループインタビューでは、他人の目が気になったり、周囲の意見に同調したりする傾向があるため、本音を引き出しにくい場合があります。

取り扱うテーマの性質に応じて、適切なインタビュー手法を選択することが大切です。

デプスインタビューでよくある失敗例3選

デプスインタビューでは、特有の失敗パターンがいくつか見られます。ここでは代表的な失敗例を3つを取り上げ、それぞれを避けるためのポイントもあわせてご紹介します。

意見が偏る

デプスインタビューでは3〜10名程度の少人数で実施するため、調査対象者の属性に偏りがあると、得られる意見に偏りが生じる可能性があります。

意見の偏りを防ぐためには、年齢や性別などさまざまな属性の人を対象に含めるといった工夫が必要です。

インタビュアーの力量に左右される

デプスインタビューでは、インタビュアーの力量によって結果が左右されがちです。質問の仕方や聞き出し方によって、インタビューで得られる情報の深さや質は大きく変わります。

経験豊富な調査会社へ依頼することで、質の高いインタビューの実施が期待できます。

時間と労力がかかる

デプスインタビューの実施には、時間と労力がかかります。調査対象者の選定からインタビュー、記録、分析まで、すべてに工数が必要です。

自社で実施する場合は担当者の負担が大きくなりやすく、スキル不足によりコストをかけた割に有効なデータや実用的な示唆が得られないこともあります。初めて調査を実施する場合は、調査会社に依頼すると安心です。

デプスインタビューの費用感

デプスインタビューの費用感

デプスインタビューを調査会社に依頼する場合の費用は、10名程度のオンライン実施で200万円〜が相場です。ただし、依頼する調査会社や調査人数、調査内容により費用は変動します。

自社で実施すれば費用を抑えられますが、その分、時間や労力が大きくかかります。調査会社によってサービス内容や費用が異なるため、まずは複数社に見積もりを取り、比較検討しましょう。

デプスインタビューは調査会社を活用すべき3つの理由

デプスインタビューは調査会社を活用するのがおすすめです。ここでは、調査会社を活用すべき理由を3つ解説します。

質の高い情報収集ができる

調査会社には、経験豊富なインタビュアーが在籍しています。調査対象者への質問スキルが高いため、質の高い情報収集が可能です。一方、自社で未経験者が実施する場合、調査の質が低下するリスクがあります。

デプスインタビューを初めて行う場合は、まず調査会社に依頼をして、実施の工程や質問の仕方などを見て学ぶのもおすすめです。

適切な対象者をリクルートできる

デプスインタビューは、調査対象者によって結果の質が変わるため「誰に聞くか」も重要です。そのため、適切な調査対象者をリクルートする必要があります。

調査会社は、調査目的に合致した対象者を集めるネットワークとノウハウを持っています。自社に調査対象者を集める方法がない場合は、ぜひ調査会社を活用してください。

質問設計から分析まで一貫して任せられる

調査会社に依頼すれば、質問設計から分析を一貫して任せることができ、調査がスムーズに進みます。自社のマーケティング担当者は、課題発見や施策立案などほかの業務に注力でき、業務効率化にもつながります。

調査会社をビジネスパートナーとして活用することは、調査成果の向上と業務効率化の最大化を同時に実現できる有効な手段です。

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まとめ|デプスインタビューは調査会社の活用が成功のカギ

デプスインタビューは、消費者の深層心理や本音を掘り下げられる一方で、設計や進行などのやり方次第で結果が大きく左右されます。成功のカギは、経験豊富な調査会社に依頼し、対象者の選定や質問設計を適切に行うことです。

プロのサポートを活用すれば、偏りを抑えつつ、有益なインサイトを得られ、商品開発やサービス改善に直結します。