【3分で解説】1位はサカイ|引越し市場の今―料金高騰の中、顧客満足度を決める要因は
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3月、日本で最も引越しが集中する季節。物流業界に電撃が走った「2024年問題」を受け、繁忙期の引越し料金は上昇しています。

料金が上がる中で、消費者は何を基準に引越し会社を選んでいるのでしょうか。GMOリサーチ&AIが行った顧客満足度調査から3分で市場を読み解きます。

料金高騰が変えた引越し市場の構造

2024年4月、トラックドライバーへの時間外労働上限規制(年960時間)が施行されました。いわゆる「2024年問題」です。引越し業界では繁忙期に稼働できる作業員数が実質的に制限され、結果として、繁忙期と閑散期の料金格差は拡大。同じ距離・荷物量でも時期によって料金が1.5倍から2倍近く変動するケースも珍しくありません。

しかし引越し需要は、料金が上がったからといって消えません。卒業・入学・就職・転勤といったライフイベントに紐づく引越しは、時期をずらすことが難しい性質があります。消費者は「選ぶかどうか」ではなく「誰を選ぶか」という局面に立たされています。

料金が上がっても選ばれ続ける会社と、そうでない会社の差は何なのでしょうか。

顧客満足度調査の1位はサカイ、6位はハート引越センター

今回参照したのは、GMOリサーチ&AIが実施する「GMO顧客満足度ランキング2025(引越し会社)」です。実際にサービスを利用した消費者2,044名へのインターネット調査をもとに各社を評価しています。

順位会社名総合得点
1位サカイ引越センター71.00 点
2位アーク引越センター66.13 点
3位アート引越センター62.50 点
4位アップル引越センター62.05 点
5位アリさんマークの引越社56.07 点
6位ハート引越センター42.24 点

出典:GMO顧客満足度ランキング2025(引越し会社)

1位サカイと6位ハートの差は約29点。この差が何から生まれているのでしょうか。
総合1位のサカイ引越センターの指標別スコアを見ると、一つの特徴が浮かびます。

指標スコア6社中順位
営業スタッフの対応61.46 点4位
見積対応64.53 点2位
引越しスタッフの対応71.67 点1位
引越しスタッフの作業内容69.82 点1位
オプションサービス56.76 点4位
補償内容67.33 点2位
コストパフォーマンス59.51 点4位

引越しスタッフの対応(71.67点)と引越しスタッフの作業内容(69.82点)がともに全社1位。一方、営業スタッフやオプション、コストパフォーマンスは6社中4位にとどまっています。

つまりサカイは、価格面での評価が必ずしも高くない一方、当日の体験である「スタッフが何をどのようにやってくれたか」においては他社を圧倒しています。そしてその結果が、総合1位につながっているのです。

満足度を高めるのは「当日の体験」―2位との比較で構造が見えてくる

2位アーク引越センターの指標別スコアと並べると、サカイが1位になった背景がより明確になります。

指標サカイ(1位)アーク(2位)
営業スタッフの対応61.46 点72.21 点
見積対応64.53 点63.24 点
引越しスタッフの対応71.67 点66.96 点
引越しスタッフの作業内容69.82 点66.77 点
オプションサービス56.76 点61.72 点
補償内容67.33 点66.47 点
コストパフォーマンス59.51 点71.36 点
【総合スコア】71.00 点66.13 点

アークは営業スタッフの対応(72.21点・全社1位)とコストパフォーマンス(71.36点・全社1位)の2指標でサカイを上回っています。契約前の段階での印象と、価格への納得感においてはアークが優れているのです。

しかし総合スコアはサカイが71.00点、アークが66.13点と、5点近い差があります。この差を生んでいるのが、引越しスタッフの対応(サカイ71.67点 vs アーク66.96点)と作業内容(サカイ69.82点 vs アーク66.77点)です。

引越しという体験は、営業が丁寧でも、見積もりが明確でも、当日の作業体験が平凡であれば総合評価は伸びないといえるでしょう。消費者の記憶に残るのは、スタッフが荷物をどう扱ったか、どれだけ気を配ってくれたかという「当日の体験の質」なのです。

満足度を高めるのは「当日の体験」|2位との比較で構造が見えてくる

「細心の注意を払って作業してくれた」口コミが示す消費者の言葉

上位2社の口コミには、共通する語彙が並んでいます。

サカイ引越センター(1位)
  • 「作業がとても丁寧かつ素早く、思っていたより早く引越し作業が終了できた」
  • 「細心の注意を払って作業してくれた」
  • 「引越し作業が終了し、気持ちのいい引越しができた」
アーク引越センター(2位)
  • 「細かい作業も丁寧に対応してくれた」
  • 「繁忙期だったため高かったが満足」
  • 「安心して荷物を任せることができた」

上位2社の口コミに共通しているのは「丁寧」「早い」「安心して任せられた」という語彙であり、体験の質を描写する言葉が並びます。アークの口コミに「繁忙期だったため高かったが満足」という記述がある点も示唆的です。料金の高さを認識しつつも、体験の質がその許容を支えているといえます。

各社の強みと特徴:指標別で読む差別化のポイント

最後に、総合スコアの順位だけでは見えてこない各社の個性を、指標別のデータで見ておきましょう。

会社名総合特徴・強みと課題
サカイ引越センター71.00点当日体験(スタッフ対応・作業内容)が全社1位。全国ネットワークの安定感と実績が強み。コスパ評価は4位だが、当日の体験の質がそれを補っている
アーク引越センター66.13点営業スタッフ対応(全社1位)とコスパ(全社1位)が突出。女性満足度1位。契約前の安心感の醸成に強み。当日体験ではサカイに劣る
アート引越センター62.50点知名度・ブランド力からの安心感が集客の主軸。コスパ49.11点は6社中最下位で、価格への期待値が高い分、評価が厳しくなりやすい
アップル引越センター62.05点オプションサービス78.65点が全社1位。特定ニーズに対応できる付加価値型のポジション。価格の柔軟性も評価される
アリさんマークの引越社56.07点コスパ・営業対応・スタッフ対応がバランスよく並ぶ。突出した強みより「総合的に可もなく不可もない」という評価。価格重視層のオルタナティブとして機能
ハート引越センター42.24点全指標で他社と差がある。オプションサービス(50.57点)のみ相対的に高く、価格の柔軟性に強みを持つ。品質の安定性が課題となっている

各社の指標を横断して見ると、「当日体験型(サカイ)」「契約前信頼型(アーク)」「付加価値特化型(アップル)」という異なる戦略が見えてきます。消費者が何を重視するかによって、選ぶ会社が変わるという市場の分化も読み取れるのです。

まとめ:引越し市場を顧客満足度調査する際の2つのポイント

引越し市場の調査設計を考えるとすれば、少なくとも2つのポイントが浮かびます。

① 当日体験をいつ・どう測るか

今回のデータが示すように、引越しの顧客満足度を左右するのは当日のスタッフ体験。この「当日体験」は、記憶の鮮明なうちに測るのが最も精度が高いでしょう。

時間が経過すると、当日の細かい体験の記憶は薄れ、「高かったか安かったか」という価格の記憶に引きずられやすくなるからです。引越し後すぐに回答を促す設計にするか、調査タイミングを変数として記録しておく設計にするかが重要な判断になるといえます。

② 繁忙期と閑散期で分けて測るべきか

3月の繁忙期は需要が集中し、スタッフの稼働も過密になります。同じ会社でも、閑散期と繁忙期では作業品質にばらつきが生じやすいです。

引越し市場の顧客満足度を定点調査で追うのであれば、回答者の利用時期(繁忙期か否か)を把握して分析できる設計を入れておくことで、データの解釈精度が上がる可能性があります。

引越しという「一度きりの高ストレス体験」において、消費者が最終的に評価するのは価格でも営業の丁寧さでもなく、当日スタッフが作り出す体験の質でした。

この構造は、引越し業界に固有のものではないかもしれません。不定期かつ高ストレスの購買体験を持つ他のサービス業、例えば不動産・自動車・保険業界でも、「どのフェーズの体験が満足度を決めるか」を問うことは、調査設計の重要な観点になりうるのです。

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