アンケートの定義や目的を解説|作成時のポイントや便利な作成ツールも紹介

アンケートは、顧客の声を正確に把握し、商品やサービスの改善につなげるための重要な調査手法です。本記事では、アンケートの定義や目的を整理し、質の高い作成ポイントや便利な作成ツールを実務視点で解説します。
アンケートとは
アンケートとは、主に定型の質問票を使って多数の対象者から回答を集め、消費者の意見や行動パターンを効率的に把握する方法です
マーケティングリサーチ全体では、大きく「定量調査」と「定性調査」の2つに分類されますが、日本ではアンケートというと一般的に定量調査を指します。数値データとして分析できる情報を収集するのが目的です。
アンケートの目的

アンケートを行う大きな目的は、多くの声を集めて意思決定や改善に役立てることです。主観や推測ではなく、データに基づいた判断が可能となるため、次のようなさまざまな場面で活用されています。
- 顧客満足度の把握
- 新商品開発
- サービスの改善
- 従業員調査
アンケートで得たデータは、経営戦略やマーケティング施策の精度を高める重要な基盤となります。
アンケートの種類
アンケートは配布方法や回答形式によってさまざまなタイプに分けられます。ここでは、アンケートの主な種類と特徴について解説します。
配布・実施方法による種類
配布・実施方法による種類は、主に4つ挙げられます。それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
配布・実施方法による種類 | 特徴 |
---|---|
紙アンケート | ・店頭やイベントなどで直接配布しやすい ・デジタルに慣れていない年配層も回答しやすい |
Webアンケート(オンラインアンケート) | ・比較的コストが低い ・リアルタイム集計や多様な質問形式に対応可能 |
郵送アンケート | ・地域を問わず配布可能 ・回答者にじっくり考えてもらいやすい |
電話アンケート | ・直接対話で詳細な掘り下げができる ・調査コストが高い傾向 |
近年の主流はWebアンケートです。印刷費や郵送費がかからず、従来の紙や電話調査に比べて圧倒的に低コストで実施できる点がメリットです。
回答形式による種類
回答形式による種類は主に2つで、それぞれの特徴は以下のとおりです。
回答形式による種類 | 特徴 |
---|---|
選択方式 | ・単一選択や複数選択、5段階評価などの尺度法などがある ・集計や全体傾向の把握に適している |
自由記述 | ・回答者の具体的な意見や感想を収集できる ・定量的なデータと併用することで質的な深掘りが可能 |
これらは単独で実施する場合もありますが、建設的な分析には組み合わせることが効果的です。
アンケート作成で必ず決めておきたい4つのポイント
アンケート作成では、次の4点を事前に決めておくことが重要です。
- 調査の目的
- 調査対象者
- サンプル数
- 設問内容と回答形式
それぞれのポイントを詳しく解説します。
調査の目的を明確にする
アンケートを実施するうえで土台となるのが、「何を明らかにしたいか」という調査の目的です。目的が曖昧なままでは、質問設計や分析の方向がぶれ、得られたデータの活用範囲が狭まってしまいます。ビジネス上の意思決定や改善策に確実に結びつけるためにも、調査の意図や達成したい成果を言語化し、関係者間で共有しておくことが大切です。
調査対象者を決める
次に重要なのは、「誰にアンケートに答えてもらうか」を明確にすることです。既存顧客・見込み顧客・従業員・イベント参加者など、ターゲットの属性を詳細に設定することで、得られるデータの信頼性および分析の精度が高まります。
対象者が適切に設定すれば、調査の結果が現実の課題やニーズを的確に反映しやすくなり、効果的な施策提案へとつながります。
サンプル数を設定する
信頼性の高い結果を得るためには、あらかじめ必要なサンプル数を設定しておくことが欠かせません。一般的に400サンプルが目安とされますが、調査目的や母集団の規模、許容する誤差範囲に応じて、適切なサンプル数を設定します。
サンプル数が不適切だと偏りやばらつきが発生し、結果の解釈や意思決定に悪影響を与えることも考えられるため注意が必要です。
設問内容と回答形式を決める
調査目的から逆算し、必要な設問内容と適切な回答形式を明確に設定することも重要です。単一選択・複数選択・尺度法・自由記述などを適切に組み合わせることで、過不足なく情報を収集できます。
回答率アップのために押さえておきたい4つの工夫

せっかくアンケートを実施しても、必要なサンプル数が集まらなければ経営戦略やマーケティング施策にうまく活かせません。アンケートの回答率を上げるための工夫も必要です。
ここでは、回答率アップのためにはどのような工夫を凝らせばよいのか、ヒントを提示します。
回答の負担を減らす
アンケートの回答率向上には、回答者の負担軽減が不可欠です。質問数を必要最低限に絞り、回答時間は10分以内を目標に設計します。
質問文はわかりやすく簡潔にし、回答者が迷わず答えられるよう工夫することで途中離脱を防ぎ回答の質も向上します。
回答期限を明示する
アンケートには必ず具体的な回答期限を明示し、その日付を参加者に伝えます。期限が曖昧だと、回答が後回しにされる可能性が高まり、回収率の低下を招きかねません。
期限が近づいたらリマインドメールなどで通知することで、回答を促進でき、期日内に必要数の回答を確保しやすくなります。
報酬を用意する
回答者のモチベーションを高めるためには、報酬提供が効果的です。アンケートの報酬例としては、以下が挙げられます。
- 現金
- QUOカード
- ポイント
- 商品サンプル
報酬は単なるインセンティブにとどまらず、アンケート協力への感謝や重要性を伝える役割もあります。魅力的な報酬を用意すると回答率が向上し、より質の高い意見も期待できます。
アンケート作成ツールを活用する
アンケート作成ツールを使用することで、回答者の利便性が高まり、参加率の向上にもつながります。豊富な設問形式が用意されているため、準備の手間も大幅に削減可能です。
さらに、回答結果は自動的に集計および分析でき、効率的に調査を進められるため運用負荷の軽減にもつながります。
Web(オンライン)アンケートの費用相場
アンケート調査の費用は、基本的に「基本料金」と「オプション料金」に分かれます。内訳は、以下の通りです。
基本料金 | オプション料金 |
---|---|
・調査の企画・設計費 ・質問票作成費 | ・集計・分析やスクリーニング調査 ・特定属性の抽出など追加作業にかかる費用 |
Webアンケートの場合、設問数やサンプル数によって料金が変動します。費用相場は、以下を参考にしてみてください。
サンプル数・設問数 | 費用相場 |
---|---|
100サンプル・10問 | 約80,000円 |
100サンプル・30問 | 約210,000円 |
500サンプル・10問 | 約180,000円 |
500サンプル・30問 | 約390,000円 |
近年はGoogleフォームなど無料で使えるツールも普及しており、小規模かつ簡易な調査の場合はコストを抑えて実施が可能です。
【手軽さ重視】すぐに使える!アンケート作成ツール4選
自力でアンケートを作成すると時間や手間がかかります。自社顧客向けや従業員向けに手軽なアンケートを実施したいのであれば、アンケート作成ツールの利用を検討してみるのもよいでしょう。
ここでは、手軽さ重視の人におすすめのアンケート作成ツールをご紹介します。コストを抑えつつ、担当者1名で迅速に作成・配信が可能で、簡単な顧客満足度調査や購入者へのヒアリングに適したツールを厳選しました。
Google フォーム
Googleフォームは完全無料で利用できるアンケート作成ツールです。直感的に操作できるため、ITスキルに自信がない人でも簡単にアンケートを作成できます。回答は自動的にGoogleスプレッドシートに集計・保存されるため、データの管理や基本的な分析もシームレスに行えます。
インターネット環境があればどこからでもアクセスでき、チーム内での共有や編集を簡単に行えるのも利点です。
SurveyMonkey
SurveyMonkeyには、無料のベーシックプランと有料プランがあります。無料プランでは回答数や設置できる質問数の上限など利用できる範囲の制限があるものの、デザイン性が高く回答画面が使いやすいのが特徴です。
初心者でも直感的に操作できるうえ、テンプレートが豊富に用意されているため短時間で効果的なアンケートを作成できます。まずは無料プランで操作性や見やすさを体感し、より高度な分析が必要な場合は有料プランへのアップグレードを検討するのがおすすめです。
Creative Survey
Creative Surveyは、アンケート設問の作成から分析までを外部システムを介さずに完結できるツールです。背景や文字、画像などのデザインを柔軟に調整できるため、ブランド基準に合わせたUIを実現できます。収集した結果は即座に可視化でき、分析や活用も迅速に行えます。
専任担当による運用サポートやヘルプサイトなど支援体制が整っているため、初めてアンケートツールを導入する企業でも安心です。
Qualtrics
Qualtricsは、世界的に利用されている本格的なオンライン調査プラットフォームです。簡単なアンケートから大規模な調査プロジェクトまで幅広く対応可能で、MarketoやZendeskなどの外部ツールとも連携可能です。
AIを活用した高度な分析機能を備えているため、複雑でハイレベルなアンケート調査でも効率的かつ精度の高いインサイトを得られます。特に、大企業や大規模なアンケート調査を検討している企業に適しています。
【ターゲット・規模重視】特定の層に届けられる!セルフ型アンケートサービス4選
回答者の年代や役職を絞り特定層にアンケートを行いたい場合は、調査会社が保有する大規模パネルを活用できるセルフ型アンケートサービスを利用するのがおすすめです。ここでは、セルフ型アンケートサービスを利用できる代表例4社をご紹介します。
Fastask (株式会社ジャストシステム)

参照元: Fastask
ジャストシステムが提供するセルフ型アンケートサービス「Fastask(ファストアスク)」は、1問1サンプル10円から利用可能です。圧倒的な低価格と市場最速級のスピード感が特徴です。数時間以内にアンケートが完了することもあり、アクティブなモニターが多数登録しているため、迅速かつ確実に回答を収集できます。
そのため、低予算・短納期の市場調査や新商品のネーミングテスト、アイデア検証に向いています。コストパフォーマンスを重視する際の選択肢としてもおすすめです。
Questant(株式会社マクロミル)

参照元: Questant
「Questant(クエスタント)」は、年間30,000件以上の調査実績を持つマクロミルのノウハウを集約したセルフ型Webアンケートツールです。初心者でも簡単にアンケート設計から回答回収、分析まで一括で行え、多様なターゲット層から質の高いデータを集められます。
調査設計や分析に関しても手厚いサポートがあり、幅広い業種・規模の企業に適しています。
エモミルリサーチ(ヴィアゲート株式会社)

参照元: エモミルリサーチ
ヴィアゲートが提供する「エモミルリサーチ」は、動画視聴調査やAIチャットインタビューを含む先進的なインターネット調査サービスです。スマホのカメラを使った視線解析や感情データの収集ができるほか、AIが自動で質問生成・応答・要約を行うインタビュー機能も備えています。
初心者でも使いやすく、消費者の心理やインサイトを深く掘り下げたい企業におすすめです。
GMOマーケットオブザーバー(GMOリサーチ&AI株式会社)

参照元: GMOマーケットオブザーバー
GMOリサーチ&AIのセルフ型サービス「マーケットオブザーバー」は、国内3,000万人以上、アジア6,000万人以上の大規模パネルを利用できます。ターゲット属性に基づくモニター数予測から、Webアンケートの作成、データ収集、集計までワンストップで行えるのも魅力です。
コストを抑えつつ、海外向けアンケートや高度なネットリサーチを効率的に実施したい企業向けのサービスです。
アンケートの質を高めるならツールの導入がおすすめ
アンケートにはさまざまな種類がありますが、質を高めるなら専用のツールを導入するのがおすすめです。本記事で紹介したアンケート作成ツールやセルフ型アンケートサービスは、設問作成の効率化だけでなく、複雑な質問形式にも対応し、より精度の高いデータを収集可能にします。
無料プランから導入できるツールも多いため、まずは試用して効果を体験してみてください。
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