【事例】数値は横ばいなのに不満?大手機械メーカーがテキストマイニングで可視化した「提案力」の欠如
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多くのBtoB企業において、顧客満足度調査(CS調査)は「定点観測」の名の下に形骸化しがちです。毎年のスコアは横ばいで、大きなクレームもない。報告書は経営会議でさらりと流され、翌年もまた同じ調査票が送られる。
しかし、スコアが安定していることは、必ずしも顧客との関係が良好であることを意味しません。
今回紹介するのは、ある大手産業機械メーカーの事例です。同社は長年続けてきた調査にメスを入れ、1,000件に及ぶ「自由記述(テキストデータ)」の徹底分析に着手しました。そこで浮き彫りになったのは、満足度スコアには決して表れない、営業現場の致命的な「提案力不足」という実態でした。
データという原石から、どのように組織を変革するインサイトを抽出したのか。マイボイスコム株式会社が支援したプロジェクトの全貌を追います。
■事例概要まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| クライアント | 大手産業機械メーカー(ブランド戦略室) |
| 課題 | 担当者1名での運用限界、調査結果が改善活動に繋がっていない |
| 導入ツール/手法 | テキストマイニングツール「TextVoice」 |
| 対象データ | 取引先アンケート 自由記述回答 約1,000件 |
| 発見したインサイト | 製品への満足度は高いが、営業担当の「統合的な提案力」が欠如している |
| 成果 | 全国の支店へ課題共有、全社的な「営業職の育成強化」へ発展 |
定点観測の罠:「担当者1名」の限界とデータの死蔵
クライアントは、大手産業機械メーカーのブランド戦略室です。同社ではこれまで、自社内で定期的に取引先満足度調査を実施していました。しかし、その運用は限界を迎えていました。
担当者はわずか1名。調査票の配布と回収、そして単純集計を行うだけで手一杯の状態が続いていました。本来、CS調査の目的は「結果から改善施策を立案し、各拠点の活動を指揮すること」にあります。しかし、実際には集計結果を社内に共有するだけでプロジェクトは終了し、データは活用されずに死蔵されていました。
「これまでのやり方を続けていては、現場の改善にはつながらない」
担当者は、従来の内容や実施方法の抜本的な見直しを決断します。求めていたのは、限られたリソースでもデータを深く読み解き、具体的なアクションに結びつけられる「仕組み」でした。
「改善」から逆算した調査設計とテキストマイニングの導入
調査会社選定において、同社がマイボイスコムを選んだ決め手は、分析ツールの機能性と提案の質にありました。
マイボイスコムは単なる実査代行ではなく、「改善策の立案から逆算した調査設計」を提示しました。具体的には、顧客の本音を吸い上げるために自由記述(FA)設問を重視しつつ、回答者の負担にならない設問構成を設計。そして、集まった膨大なテキストデータを効率的に処理するために、同社独自のテキストマイニングツール「TextVoice」の活用を提案しました。
選定のポイントは以下の3点に集約されます。
- 少数意見の発見:全体の傾向だけでなく、重要だが埋もれがちな少数意見を抽出できること。
- 可視化の明瞭さ:分析結果が直感的に理解でき、社内報告への転用が容易であること。
- 操作性:担当者が自ら分析できる使いやすさがあること。
これらのポイントが決め手となり、プロジェクトがスタート。約1ヶ月の期間をかけ、取引先を対象としたWEBアンケートが実施され、約1,000件の回答が回収されました。

図1: 「TextVoice」のワードクラウドによる出現単語の可視化イメージ。膨大な回答から、頻出するキーワードを直感的に把握できる。
分析の壁:専門用語の海と泥臭いデータ整備
プロジェクトは順風満帆に進んだわけではありません。データ回収後、チームはBtoB特有の壁に直面します。
自由記述の中に含まれる「専門用語」の多さです。産業機械というニッチな領域のため、ネット検索でも意味が判然としない用語が頻出し、そのままではテキストマイニングの精度が上がりませんでした。
この課題に対しマイボイスコムは、ツール任せにせず「人の手」を加える解決策を提示しました。TextVoiceには日常会話を網羅した「基本辞書」が標準実装されており、一般的な言葉はこの辞書をもとに分類されますが、産業機械のようなニッチな領域では、特有の略語や現場用語が分析の精度を左右します。そこで、専任のアナリストがこれらの専門用語を一つひとつ抽出し、手動で「ユーザー辞書」へと登録することで、「システムの網羅性」と「人の専門性」を組み合わせ、分析精度を飛躍的に高めました。
不明な用語が出るたびにクライアントへ確認を取り、分析結果を共有しながらチューニングを繰り返すことで、ノイズのない純度の高いデータを構築していきました。この地道な作業こそが、後のインサイト発見の基盤となります。
インサイト:「製品」への満足に隠れていた「営業」への不満
分析の結果、定量的データ(満足度スコア)の傾向は、過去の調査と大きく変わっていませんでした。表面上の数字だけを見れば「異常なし」と判断されてもおかしくありません。
しかし、テキストマイニングによって可視化された自由記述の構造は、全く異なる事実を語っていました。
「自社製品への不満はない。しかし、提案が足りない」
顧客の声・言葉の繋がり(係り受け)を分析すると、製品の機能や品質に対する評価は安定していました。その一方で、営業担当者の対応、特に「ソリューション提案」に対する満足度が期待値を下回っていることが明らかになりました。
具体的には、単に製品を売るだけでなく、「他社製品も含めた統合的な課題解決の提案」が求められていました。経営戦略として他メーカーとの連携を推進していましたが、その方針が現場の営業活動にまで浸透しておらず、顧客の期待に応えられていない実態が浮き彫りになったのです。
これは、スコア集計だけでは決して見えない、定性データならではの発見でした。

図2:発言内容をカテゴリー化するサマライズイメージ。スコアだけでは見えない、不満や要望の『塊』を特定する。
成果:現場へのフィードバックから「全社的な人材育成」へ
この調査結果は、ブランド戦略室から全国の支店へとレビューされ、現場に衝撃を与えました。
「製品は悪くないが、営業が顧客の課題に応えきれていない」という客観的な事実は、各拠点の課題意識を喚起しました。さらにこの結果は経営層への提言へと繋がり、単なる支店レベルの改善活動にとどまらず、「営業職の育成強化」という全社的な取り組み事項として採用されるに至りました。
担当者1名で手が回らなかった調査業務が、テキストマイニングという武器を得て、全社を動かす「意思決定のドライバー」へと進化した瞬間です。
成功のポイント:AI要約とテキストマイニングの決定的な違い
なぜ、今回のプロジェクトは成功したのでしょうか。その背景には、分析手法の適切な選択があります。
近年、生成AIの登場により、大量のテキストデータを要約することは容易になりました。しかし、マイボイスコムは「分析精度や信頼性が求められるシーンでは、テキストマイニングツールの方が優位である」と指摘します。
AIによる要約は、大意を掴むには便利ですが、ブラックボックス化しやすく、エビデンスとしての堅牢性に欠ける場合があります。一方、「TextVoice」のようなテキストマイニングツールは、以下の点でビジネス活用に適しています。
- 再現性: 分析ルールが明確なためブラックボックス化せず、誰が実行しても同じ基準で結果が得られます。定点で実施する顧客満足度調査など、「前回との変化」を正確に捉える必要がある継続的な分析に極めて適しています。
- セキュリティ: 社内情報や顧客の機密情報が含まれるデータを扱う場合でも、生成AIのような「学習への二次利用」や「外部送信」のリスクを気にすることなく、自社のガバナンスに沿った安全な解析が可能です。
- 客観性と属性別分析:「30代男性特有の意見」「特定地域の顧客だけの不満」といった、属性ごとの特徴的な傾向を抽出できます。全体を均一に捉えるのではなく、戦略上の鍵となる「小さな声」を逃しません。
人の目だけでは読み解けない膨大な量に対し、ツールで構造を与え、最後は人の知見で解釈する。このプロセスを経ることで初めて、納得感のあるインサイトが得られます。

図3:発言の相関関係を描き出すパースペクティブマップ。データに基づいて、属性ごとの傾向や少数意見も客観的に構造化できる。
結論:データを「処理」するのではなく「解釈」できるパートナーを
本事例が示唆するのは、調査における「How(手法)」の重要性です。アンケートを実施し、データを集めるだけならどの企業でもできます。しかし、そこに眠る「サイレント・マジョリティ」の声を聞き分け、経営課題として翻訳できるかどうかは、分析の技術と設計にかかっています。
マイボイスコムは、リサーチとツールの両輪で、顧客の課題解決を支援します。
もし貴社の調査データが、単なる「数字の羅列」で終わっているのなら、重要な「顧客離れ」のサインを見落としている可能性があります。手遅れになる前に、そのデータの裏側にある「本音」を掘り起こしませんか?
マイボイスコム株式会社

ネットリサーチの実績と、独自開発のテキストマイニングツール「TextVoice」を掛け合わせ、本音が見える調査を実現。データの海から、次の一手につながる「答え」を見つけ出します。
記事監修者プロフィール
阿部久瑠実
マイボイスコム株式会社 企画営業グループ プランナー
2022年9月に入社し、食品・飲料・電機・サービス業など多様な業界に対し、課題整理から調査設計、分析・活用提案まで一貫して担当。定量・定性調査に加え、テキストマイニングツールを活用した高度な分析提案にも従事。これまでに50社以上の企業を支援し、商品開発やブランド戦略、顧客理解の深化など、リサーチを通じた意思決定に貢献。