競合調査のやり方ガイド|分析フレームワーク・ツール・おすすめ調査会社10社を一挙公開

ビジネスで成果を上げるためには、自社の立ち位置を正確に把握する必要があります。自社のブランド力、強みや弱みはもちろん、競合他社の戦略を知る手段として有効なのが競合調査です。
この記事では、競合調査の基本から役立つフレームワーク、便利なツールや注意点をわかりやすく解説します。
競合調査の基本
競合調査とは、競合他社のサービスや戦略といった情報を調査・分析することです。自社との違いや強み・弱みを把握できますし、自社が市場でどのように差別化を図るべきかがわかります。
競合調査は、新規事業の立ち上げや新商品・新サービスの開発時に活用されるほか、既存事業の改良にも役立ちます。自社の強みを活かし、他社にない独自の価値を提供するための方向性を明確にする、重要な手段です。
競合調査のやり方|4ステップで実施フローを解説
競合調査には、4つのステップがあります。
ステップ | 何をするのか | 例 |
---|---|---|
1.目的の明確化 | 「なぜ行うのか」「何を知りたいのか」などの調査の目的・ゴールを明確にする | 新規事業の立ち上げ新商品の開発既存サービスの改良 |
2.調査対象(競合他社)を選定 | 目的に合わせた調査対象の競合他社を洗い出す | 自社と戦略やターゲット層が似ている企業業界のトップ企業 |
3.調査項目を決定 | 目的に合う調査項目を決め、仮説を立てる | ターゲット層やマーケティング戦略などのビジネスモデル新規事業の特徴 |
4.結果を分析・検討 | インターネットリサーチや現地調査の結果を分析・検討する | 仮説通りの結果なら活用仮説と異なる場合は方向性を見直す |
以上のフローを用いて、競合調査を実施します。
競合調査に役立つフレームワーク4選と活用ポイント

競合調査に役立つ代表的な4つのフレームワークと、それぞれの活用ポイントを紹介します。
4C分析|顧客視点を重視した競合分析
4C分析は、顧客視点に立って競合他社や自社の商品・サービスを評価するフレームワークです。
「顧客価値(Customer Value)」「価格(Cost)」「利便性(Convenience)」「コミュニケーション(Communication)」の4つの要素から、購買行動に与える影響を分析します。
選択肢が豊富な現代において、顧客がどのような基準で商品やサービスを選んでいるのか把握するのはとても重要です。4C分析を活用すれば、顧客に選ばれ続ける理由を明確にできます。
SWOT分析|自社と競合の強み・弱みを比較
SWOT分析は、自社を取り巻く環境を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの視点から分析するフレームワークです。
内的要因と外的要因、プラス要因とマイナス要因に分類して分析し、自社や競合の立ち位置を客観的に把握できます。特に、強みや弱みの把握に適しており、今後のマーケティング戦略や改善方針を立てるのに有効です。
バリューチェーン分析|差別化ポイントの可視化
バリューチェーン分析は、ビジネス全体の流れを「価値(バリュー)の連鎖(チェーン)」として捉えるフレームワークです。
原材料の調達から製造、出荷、販売、サービスに至る各工程を分析し、どの段階でどのような価値が生まれているかを可視化します。自社の強みと弱みを把握し競合他社と比較できるので、差別化のポイントを見つけやすくなります。
ファイブフォース分析|競争環境の構造把握
ファイブフォース分析(5F分析)は、自社を取り巻く環境要因を、「競合他社の脅威」「代替品の脅威」「新規参入者の脅威」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」の5つの要素に分けて分析するフレームワークです。
市場の競合優位性、自社の収益性を把握できるため、マーケティング戦略に役立ちます。自社にとっての脅威やチャンスを明確にできるため、撤退や事業再構築の判断材料としても有効です。
競合調査に使えるツール
競合調査を効率化するための便利なツールを3つ紹介します。
SimilarWeb
SimilarWebは、デジタルマーケティングに特化した競合分析ツールです。
自社と競合サイトの訪問数、検索キーワード、広告出稿状況、ユーザーの興味関心、閲覧ページなどの詳細なデータを把握できます。Webパフォーマンスの違いやトレンドを比較するのに最適です。
世界190カ国以上に対応しており、グローバル市場の分析も可能です。
Ghostery
Ghosteryは、無料で使えるオープンソースのブラウザ拡張機能です。
主に広告ブロッカーとして利用されますが、競合他社のWebサイトが使用している広告配信ツールやアクセス解析ツールなど、導入済みのWebサービスを調査できます。
競合他社のマーケティング施策を、手軽に情報収集できるのが特徴です。
Dockpit
Dockpitは、デジタルマーケティングに役立つ日本のリサーチエンジンです。
ユーザーの検索データをもとに、自社や競合サイトのアクセス状況や集客構造を分析できます。検索キーワードのボリュームや人気コンテンツ、ユーザー属性の可視化に加え、ベンチマークとなる競合サイトの発見にも活用可能です。
URLを入力するだけでデータを把握できるので、分析に有益な情報を簡単に得られるのが魅力です。
競合調査を行う際の3つの注意点

競合調査を効果的に活用するために、注意すべき点を3つ解説します。
定期的かつ長期的に調査を行う
競合調査は一度きりではなく、定期的かつ長期的に実施する必要があります。
市場や競合の状況は常に変化しており、新たな企業の参入や新商品・新サービスの登場によって環境は大きく変わります。変化に対応するには、あらかじめ調査の周期を決め、継続的に情報を収集・更新する姿勢が不可欠です。
競合だけでなく市場全体の動向も把握することで、適切な戦略判断と競争優位の維持につながります。
潜在的競合も視野に入れる
競合調査では、目に見える競合企業だけでなく、社会情勢や経済動向、消費者の購買行動などの幅広い視点が欠かせません。世の中の変化により新たな競合が生まれる可能性があるため、潜在的な脅威にも目を向ける必要があります。
ただし、調査範囲が広がりすぎるとコストや時間がかかるため、重要度に応じて優先順位をつけて取り組むと効果的に結果を得られます。
結果を分析・施策に反映する
競合調査で得たデータは、戦略や施策に活かすことが最終的な目的です。
競合との差別化や優位性を確立するには、分析結果をもとに速やかに施策を講じる必要があります。市場の変化に素早く対応し、自社の強みを打ち出せば、競争の中で有利なポジションを築けます。
単なる情報収集にとどまらず、結果を施策につなげ、どう生かすかが重要です。
競合調査におすすめの企業10社
競合調査に強みがある、おすすめの企業を10社紹介します。ぜひ依頼先を選ぶ際の参考にしてください。
株式会社Brandism

参照元: 株式会社Brandism
株式会社Brandismは、「競合分析」や「顧客分析」の技術を基盤に、ブランド・マーケティングの観点から企業の持続的な成長を支援する企業です。ブランド視点での競合分析に強みがあります。
最大の特徴は、ブランド・パワーを独自のスコアとして数値化し、競合と比較できる点です。スコアは定期的にトラッキングされるため、競合との立ち位置、自社の強みや課題を把握しやすくなります。
数値をもとに、戦略の見直しや方向性の明確化が可能になり、競争優位性の強化につながります。
TPCマーケティングリサーチ株式会社

参照元: TPCマーケティングリサーチ株式会社
TPCマーケティングリサーチ株式会社は、リサーチとコンサルティングを融合させたサービスを提供する企業です。調査から解決策まで、一貫して支援しています。
市場調査・消費者調査・競合調査に精通した専門リサーチャーやマーケターが在籍し、調査結果に基づいた具体的で実践的なソリューション提案を強みとしています。
単なるデータ提供にとどまらず、課題の本質を見極め、最適な施策へ導く支援が可能です。30年以上にわたる豊富な実績とノウハウで、企業のマーケティング課題をサポートします。
株式会社one

参照元: 株式会社one
株式会社oneは、リサーチ・PR・WEBマーケティング・イベントなど複数の事業領域で培ったノウハウを統合し、クライアントの課題解決を包括的に支援している企業です。
市場環境を把握したうえで、競合やターゲットを明確化します。クライアントの目指す姿と調査結果を元に最適なコミュニケーション戦略を立案し、コンバージョン率最大化に向けた具体的なロードマップを設計します。
データの取得から分析、戦略の実行までをワンストップで提供する点が強みです。
株式会社日本リサーチセンター

参照元:株式会社日本リサーチセンター
株式会社日本リサーチセンターは、1960年設立の総合調査会社で、長年にわたり国内外の市場調査を行ってきた実績のある企業です。ネット調査はもちろん、郵送・訪問・会場調査など多様な手法に対応可能です。
自社ブランドの現在の立ち位置を把握する「ブランド診断調査」では、競合他社との比較を通じてブランドイメージやポジションを明確にします。
調査設計からレポート作成まで一貫して対応し、目的に応じた最適な手法と体制で調査を支援します。
株式会社ネオマーケティング

参照元: 株式会社ネオマーケティング
株式会社ネオマーケティングは、提携を含め約2,889万人という国内最大級のアンケート会員を保有し、ターゲット条件に合致した精度の高い調査が可能な調査会社です。
ネットリサーチやインタビュー、ホームユーステスト、訪問観察など、定量・定性の両面から多様なリサーチ手法を提供しています。
市場実態を把握する調査では、ネットリサーチの結果を元にポジショニングマップを用いて競合との差異やブランドの立ち位置を明確にし、的確な戦略立案を支援します。調査からマーケティング施策の実行支援までをワンストップで行えるのが強みです。
マイボイスコム株式会社

参照元:マイボイスコム株式会社
マイボイスコム株式会社は、約120万人の自社モニター「マイボイスパネル」を活用し、インターネット調査をはじめ、グループインタビューや会場調査などオフライン調査にも柔軟に対応している調査会社です。
リサーチャーが調査の企画から分析まで一貫して支援しており、信頼性の高い結果が得られます。競合比較や継続的な調査を通じて、ブランドの強み・弱み、差別化ポイントを明確にし、効果的なマーケティング戦略立案に必要な情報を提供します。
ポートフォリオ分析や、コレスポンデンス分析を用いたブランドポジションの可視化も強みです。
日本インフォメーション株式会社

参照元: 日本インフォメーション株式会社
日本インフォメーション株式会社は、経験豊富なリサーチャーが多数在籍し、丁寧なヒアリングを通じて企業の課題を正確に捉える調査会社です。
リサーチスキルと高いコミュニケーション力を活かし、課題に応じた最適な調査を設計します。調査の企画から分析、提案までを一人のリサーチャーが一貫して担当するワンストップ体制により、きめ細やかな対応と的確な提案を実現しています。
株式会社クロス・マーケティング

参照元: 株式会社クロス・マーケティング
株式会社クロス・マーケティングは、国内でも最大級のアンケートパネルを保有し、豊富な生活者データをもとに精度の高いリサーチを実施している企業です。
インターネット調査を中心に、多様な調査手法と高い分析力で、幅広いマーケティング課題に柔軟に対応できる点が特長です。
株式会社インテージ

参照元: 株式会社インテージ
株式会社インテージは、業界最大級のモニター数で、PC・スマートフォン両ユーザーを含む多様な属性をカバーしている調査会社です。
高い市場反映性と厳格な品質管理により、精度の高いデータ収集を実現しています。豊富な経験を持つリサーチャーが、ニーズに応じて蓄積データを活用しながら、最適な調査を提案します。
インパクトフィールド株式会社

参照元: インパクトフィールド株式会社
インパクトフィールド株式会社は、ミステリーショッパーによる競合調査に強みがある企業です。
年間20万件以上の覆面調査実績を誇り、自社と競合の接客・サービス品質の違いを明確に比較できるのが特長です。フィールドマーケティング会社として20年以上にわたり、さまざまな業界の調査を手がけています。
まとめ|競合調査は戦略立案の土台づくり
競合調査は、単なる情報収集ではなく、自社の強みや課題を明確にし、将来の戦略を構築するための重要な土台づくりです。変化の激しい現代において、継続的な調査と分析が、ビジネスの成長や競争優位の確立につながります。
市場の動きや競合の変化を把握し、自社の立ち位置を客観的に捉えることで、差別化の方向性が見えてきます。