RFM分析の基本|顧客理解を深める3指標・5つの活用方法までわかりやすく解説

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RFM分析の基本|顧客理解を深める3指標・5つの活用方法までわかりやすく解説
目次

RFM分析とは、最終購入日・購入頻度・購入金額の3つの指標から、顧客を分類、分析する手法です。基礎的な手法の一つで、顧客の分類別にマーケティング施策の実施が可能です。

本記事では、RFM分析の概要や分析手順、活用法から注意点まで網羅的に解説します。

RFM分析とは

RFM分析の3つの指標(R・F・M)を詳しく解説していきます。

顧客を評価するRFMの3指標

RFM分析は、顧客の直近の購買状況・購入の頻度・金額規模という3つの観点から、顧客ごとの重要度や関係性を整理する分析手法です。これらの指標はそれぞれRecency・Frequency・Monetaryと呼ばれ、実務では顧客セグメントの判断材料として活用されます。

RFM分析で顧客を「優良顧客」「休眠顧客」「新規顧客」などのグループに分類し、マーケティング施策やCRM(顧客関係管理)戦略に活かせる点が特徴です。

RFMの3つの指標の具体的な意味は、以下のようになります。

Recency(最終購入日)

Recencyは、顧客が最後にいつ購入したかを表す指標です。最終購入日から時間が短い顧客の評価が高くなります。

直近で購入している顧客ほど、関心・購買意欲が高い傾向があり、顧客の現在の関心度やアクティブ度を測れるため、RFM分析の中で重要視される指標です。

最終購入日から間が空いている場合、離反・休眠のリスクが高いと想定できます。

Frequency(購入頻度)

Frequencyは、顧客が一定期間で何回購入したかを表す指標です。回数が多い顧客の評価が高くなります。

購入回数が多い顧客は、商品やサービスに満足している可能性が高く、将来継続的に購入してくれる優良顧客候補です。顧客ロイヤルティの向上にも直結します。

逆にスコアが低い顧客は、初回購入のみや単発利用に止まっているケースが考えられます。

Monetary(購入金額)

Monetaryは、顧客の購入金額を表す指標です。金額が高いと評価が高くなります。

顧客ごとの売上貢献度を把握するために用いられ、高いほど重要顧客として捉えられます。高額購入者はLTV(顧客生涯価値)を高める、中心的な顧客層です。

購入金額が低い顧客は、セール品のみの購入や最低限の商品を選んでいる可能性が考えられます。

RFM分析が注目される背景

市場競争の激化や消費者の情報収集の変化などが理由で、新規顧客の獲得コストが上昇しており、既存顧客の育成やLTV最大化が重視されるようになっています。

RFM分析は、既存顧客の価値を高められる手法として、注目されています。顧客を見極めることで、優先的にアプローチすべき層を明確にできる点が強みです。データに基づいて意思決定や施策を行う、データドリブンなマーケティングが実現できます。

顧客理解については「顧客理解を深める方法|マーケティングへの効果・調査手法・分析フレームを解説」で詳しく解説しています。

RFM分析で得られる効果

RFM分析は、顧客を正しく分類することで、売上最大化と施策効率化を同時に実現できる分析手法です。

新規顧客獲得にかけていたコストを、既存顧客の購買データをもとに優先順位をつけることで、費用の最適化にもつながります。優良顧客や休眠顧客など、顧客の状態に応じた最適なアプローチが可能になり、LTVやリピート率の向上なども期待できます。

業種別|RFM分析の考え方

業種別|RFM分析の考え方

業種により、RFM分析の考え方が異なります。ここでは業種別の分析内容について詳しく見ていきます。

EC・通販業

ECサイトや通販においてRFM分析を行う場合は、リピート購入を前提とした顧客行動を軸に考えることが重要です。Recencyは30日以内、Frequencyは月2回以上、Monetaryは平均注文単価を基準に設定します。

ECサイトでは購買データが蓄積しやすいため、RFM分析を定期的に行い、顧客状態の変化に応じた施策の実行が成果につながります。例えばステップメールやキャンペーンなどの施策にすぐ活かせるのが特徴です。

サブスク・BtoB

サブスクリプションやBtoBにおけるRFM分析では、単発の購買よりも継続性と関係性、取引額の総量が重要です。

Recencyは最終利用日や最終契約更新日などに置き換え、解約リスクの兆候を早期に把握する指標として活用します。Frequencyはログイン回数などの利用頻度や取引回数を見ることで、サービスの定着度や活用度を判断できます。Monetaryは契約金額や取引規模として捉え、LTVの観点での評価が必要です。

顧客との関係性の深さを評価軸に置くことで、優良顧客の発見につながります。

RFM分析のメリット・デメリット

RFM分析にはメリットとデメリットの両面があります。特性を正しく理解したうえで、メリットを活かし、デメリットを補完しながら活用することが重要です。

それぞれを詳しく解説します。

メリット

RFM分析の大きなメリットは、顧客の購買履歴をもとに、優良顧客や休眠予備層を数値で可視化できる点です。感覚や経験に頼らず、データを根拠に顧客を分類できるため、施策の優先順位を明確にしやすくなります。

Excelなどの身近なツールで実施でき、複雑な統計知識を必要としないのも魅力です。分析結果が直感的で共有しやすく、マーケティング施策にすぐ活かせるため、分析だけで終わらせず行動につなげやすいといえます。

デメリット

RFM分析のデメリットは、顧客の購買履歴にもとづく分析であるため、顧客の心理や購入に至った理由までは把握できない点です。数値から「誰が・いつ・どれくらい購入しているか」は分かりますが、「なぜ購入したのか」までは見えません。

行動の背景や意思決定の理由まで理解するためには、RFM分析によって可視化した顧客層に対して、アンケート調査やインタビュー調査などを組み合わせる必要があります。定量データと定性データを併用すれば、分析の精度と施策の効果をより高めることができます。

【4ステップで解説】RFM分析のやり方・手順

RFM分析のやり方・手順は以下の通りです。

  1. データを準備する
  2. R・F・Mにスコアを付ける
  3. Excelで集計・セグメント化する
  4. BI・CRMツールで高度な活用へ展開する

ステップ別に解説します。

①データを準備する

分析に必要なデータを準備します。RFM分析では、以下の4項目が必要です。

  1. 顧客ID
  2. 最終購入日
  3. 購入回数
  4. 購入金額

さらに、商品の種類・顧客の属性情報・購入エリアなどのデータを抽出できればより詳細な分析が可能です。個人情報が含まれるため取り扱いには注意しましょう。既存のデータや、小売業であれば顧客IDと購買データが連携しているPOSデータも活用できます。

表記ゆれやフォーマットの統一ができていないなどが発生すると、分析精度が下がるため、データクレンジングが重要となります。

②R・F・Mにスコアを付ける

R・F・Mにスコアを付ける際、各指標は1〜5の5段階でスコアを設定します。わかりやすさと扱いやすさから、実務で広く採用されている方法です。

RFM分析では、Recencyは「購入が直近であること」・Frequencyは「一定期間内の購入回数」・Monetaryは「購入金額」をもとに評価し、数値が高い顧客ほど高評価と判断します。

スコア5スコア4スコア3スコア2スコア1
最終購入日Recency1カ月以内3カ月以内半年以内1年以内1年以上前
購入頻度Frequency20回以上10回以上5回以上2回以上1回
購入金額Monetary15万円以上10万円以上5万円以上3万円以上1万円未満

RFM分析では一般的に5段階スコアが用いられますが、スコア基準は業種やビジネスモデルに合わせて調整可能です。

正しいスコア設定が、分析の精度を高めます。重要なのは数値そのものではなく、自社の顧客構成に合った基準の設定です。

③Excelで集計・セグメント化する

RFM分析は、Excelを使って集計し、顧客をセグメント化することで全体像を把握しやすくなります。

購入履歴データをピボットテーブルで集計すれば、顧客ごとの「最終購入日」「購入回数」「購入金額」を効率よく整理できます。IFS関数を使って条件ごとにスコアを付与することで、Recency・Frequency・Monetaryを自動的に評価でき、顧客セグメントの明確な分類が可能です。

一度仕組みを作っておけば、データを更新するだけで分析結果を確認できるため、継続的な分析や施策立案にも活用しやすくなります。

④BI・CRMツールで高度な活用へ展開する

RFM分析はExcelでの集計から始められますが、BI(ビジネスインテリジェンス)やCRMツールを活用することで、より高度な運用が可能になります。

BIツールを使えば、購買データを自動で更新し、RFMの分布や顧客構成を直感的に把握できます。CRMと連携することで、RFMスコアに応じた分析から施策実行までを一貫して行える点も大きなメリットです。

初期はExcelを活用し、継続的な分析が必要になった段階でBI・CRMツールへ移行するとよいでしょう。

RFM分析の活用方法5選

RFM分析の活用方法5選

RFM分析を効果的に活用する方法を5つ紹介します。

優良顧客の育成

優良顧客の育成はRFM分析の活用方法のひとつです。RFMスコアが高い顧客は、リピート率や購入単価が高い傾向があり、売上を安定的に支える重要な存在です。

優良顧客に対しては、値引きよりも限定キャンペーンや先行販売、ロイヤルプログラムなど、特別感のある施策が効果的といえます。すでに信頼関係が構築されているため、継続購入や定期契約との相性も良く、LTV最大化の中心となる顧客セグメントです。

優良顧客を離反させないこと自体が、重要なマーケティング施策となります。

休眠顧客の掘り起こし施策

RFM分析は、休眠顧客や離脱予備群への施策を検討する際にも有効です。

特に最終購入日(Recency)が低下している顧客は、購入や利用の間隔が空き始めており、放置すると離脱につながる可能性があります。RFM分析で休眠予備顧客を早期に抽出すれば、フォローアップメールや再来店用クーポンの配信など、適切なタイミングでのアプローチが可能になります。アンケートを通じた離脱理由の把握も有効です。

既存顧客の継続利用を促すリテンション施策と組み合わせることで、休眠化の防止や改善率の向上が期待できます。

伸びしろ顧客の発見と育成

RFM分析は、今後の成長が期待できる「伸びしろのある顧客」を見極めるうえでも有効です。

例えば、購入金額(Monetary)は低いものの、購入頻度(Frequency)が高い顧客は、商品やサービスへの関心が高く、将来的に優良顧客へ成長する可能性があります。施策として、教育系メールの配信やステップ型の購入導線を設計することで、単価や購入回数の向上が期待できます。

価格訴求に頼らない、商品・サービス価値の理解を深める施策が、将来の収益源となる重要な顧客層の育成につながります。

施策を継続するためのPDCA設計

RFM分析は一度きりで終わらせるのではなく、定期的に継続して実施することで施策への反映精度を高められます。顧客スコアの変化やセグメント構成の推移を可視化でき、施策による影響も把握しやすくなります。

BIやCRMツールと連携すれば、RFMスコアの推移だけでなく、メール配信やキャンペーンなど施策の効果検証も可能です。あらかじめ更新サイクルやKPIを設定しておくことで、分析自体が目的化せず、安定した運用と継続的な改善につなげられます。

AI・機械学習との連携

RFM分析は、AIや機械学習と連携することで、より高度な活用が可能になります。

大量の購買データを自動で処理できるため分析スピードが向上し、人では気づきにくい複雑なパターンや相関関係の発見も期待できます。新しいデータを取り込むたびに学習が進み、分析精度が継続的に高まる点も大きなメリットです。

ただし、AIはあくまで判断を支援する仕組みであり、施策設計や顧客理解には人の視点が欠かせません。AIによる分析結果をもとに、人が判断・設計することで、RFM分析は過去のデータ分析にとどまらず、将来の顧客行動を予測するための手法となります。

AIデータ分析については、「AIデータ分析とは?従来分析との違い・手法・ツール・導入成功事例まで徹底ガイド」でも詳しく紹介しています。

RFM分析でよくある失敗と注意点

RFM分析は有効な手法ですが、注意点を押さえずに使うと失敗につながる場合があります。次に紹介するポイントを意識したうえで、分析を進めましょう。

データが整っていない

RFM分析における注意点のひとつは、分析に使用するデータが整っていないことです。

顧客IDの重複や表記ゆれ、日付形式の不一致、欠損データが含まれていると、正しいスコアリングが行えず、分析結果の信頼性が低下します。例えば、ECや店舗など複数チャネルのデータを扱う場合は、統合や整形の工程が欠かせません。

RFM分析では、元データの質が精度を大きく左右するため、分析前にデータクレンジングを行うことが重要です。

目的とスコア設計のズレ

RFM分析では、分析の目的とスコア設定がズレていると、期待する結果を得られません。R・F・Mの評価基準が目的に合っていない場合、顧客セグメントの解釈を誤り、施策設計にも大きな影響を与えます。

業種や商材によって「良い顧客」の定義は異なるため、一律のスコア基準をそのまま当てはめるのは不十分です。LTV向上を重視するのか、休眠顧客の掘り起こしを優先するのかなど、目的を明確にしたうえで、RFM指標やスコア基準を設計する必要があります。

分析だけで終わる

RFM分析に限らず、データ分析全般で注意したいのは、分析自体が目的化してしまう点です。

RFM分析は数値で結果が把握しやすいため、スコア算出やセグメント分けを行った段階で完結したように感じやすい傾向があります。しかし、分析結果を施策へ反映しなければ、成果にはつながりません。

各セグメントごとに具体的なアクションを定め、実行後は効果を検証しながら内容を見直していくことで、RFM分析はデータを活かしたマーケティング施策となります。

まとめ|RFM分析は施策に落とし込んでこそ価値がある

RFM分析は、Recency・Frequency・Monetaryの3指標で顧客をセグメント化し、優先的にアプローチすべき層を明確にできる手法です。

顧客を正しく分類することで、売上最大化と施策効率化を同時に実現でき、コスト最適化にもつながります。AIやCRMツールを活用すれば分析の高度化も可能です。

分析結果を施策に活かして顧客状態に応じたアプローチを行い、LTVやリピート率を向上させましょう。