属性ターゲットはもう古い?「想起」を最大化するナショナルブランドの成功事例
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「認知率は80%を超えているのに、なぜ新規顧客が増えないのか」——この問いに、明確な答えを持つマーケターは少ないでしょう。広告は打っている、認知は高い、品質にも自信がある。それでも棚の前で選ばれない。この「認知と購買の乖離」は、今や食品・日用品カテゴリーのブランドマネージャーが共通して直面する、構造的な課題になっています。
この記事では、焼肉のたれカテゴリーで長年トップシェアを誇るナショナルブランドが「消費者の想起」を起点にブランド戦略を再設計した事例をご紹介します。2022年春から実施されたこの調査プロジェクト。核心にあったのは、人(属性)ではなく、瞬間(シーン)を軸に置くという発想の転換でした。
- 認知率が高くても売れないのは、「知られている」と「買う瞬間に思い出される」が別物だから
- 属性ターゲットは同一人物の文脈の違いを捉えられない。CEPは「どのシーンで想起されるか」を軸に置く新しい調査手法
- エボークトセット調査+CEP調査の組み合わせで、「ブランドの混同」と「想起の突出シーンがない」という予想外の課題が浮かんだ
- 「想定内の結果しか出ない」場合は調査手法や設問設計、データ処理の質を見直し、意思決定に使えるインサイトをつくる必要がある
なぜ属性ターゲットだけでは「選ばれない」のか
多様化した生活者の「スイッチ」は属性では測れない
デジタルマーケティングが普及し、性別・年代・エリアによるターゲット設計は多くの企業で一般化されました。その「一般化」が今のブランド成長を食い止めているとしたら、どうでしょうか。
例えば同じ「30代女性」でも、平日夜の「疲れて帰宅した日の夕食」と、休日の「家族で囲む食卓」では、ブランドに求める価値はまるで異なります。前者には手軽さと時短、後者にはこだわりと演出感が求められます。セグメントに向けてひとつのメッセージを届け続けても、実際の購買シーンで刺さらないコミュニケーションが積み重なるだけです。
つまり属性は同じでも、その人が置かれた「文脈(シーン)」がニーズを決定しているのです。多様化した現代の生活者行動は、属性の括りでは到底捉えきれなくなっています。
ブランドターゲットが「30代女性・既婚・子持ち」という定義のまま10年以上更新されていないとしたら、今まさにこの問いと向き合うタイミングかもしれません。
認知(Recognition)から想起(Recall)へのシフト
多くのナショナルブランドが抱える「高認知・低選択」の問題の本質は、「認知」と「想起」の混同にあるのではないでしょうか。
「認知」とは「知っている」こと。対して「想起」とは、消費者が商品カテゴリーを必要とした瞬間に、真っ先に浮かぶブランドであることを指します。店頭で商品棚の前に立った消費者の脳内で、自社ブランドが「自動的に呼び出される」状態が、購買につながる真の競争力です。
テレビCMで名前を覚えてもらっても、スーパーの売り場で「そういえばあれにしよう」と思い出されなければ、カゴには入りません。認知率を誇るブランドほど、「想起の質」を問い直す必要があります。

ナショナルブランドが導入する新基準「CEP(想起の入口)」
カテゴリー・エントリー・ポイント(CEP)という考え方
「消費者が商品カテゴリーを必要とするきっかけ(入口)を、自社ブランドがどれだけ多く押さえているか」——この「入口」を、カテゴリー・エントリー・ポイント(CEP)と呼びます。
たとえば焼肉のたれカテゴリーであれば、購買のきっかけは一つではありません。「家族でにぎやかに食卓を囲むとき」もあれば、「手軽においしいものを食べたいとき」もあります。消費者はそれぞれ異なるきっかけでカテゴリーに入ってきており、そのきっかけ(CEP)ごとに想起されるブランドが異なります。
自社ブランドがどのCEPで想起されているか、そして競合と比べてどのCEPが手薄かを把握することが、ブランド戦略の精度を大きく左右します。
利用「シーン」の網羅的な把握が、想起の競争を制する
CEPを体系的に把握するには、消費者の日常生活に散らばる「使いたくなる瞬間」を多角的に洗い出す調査設計が必要です。例えばネオマーケティングのCEP調査では、いつ・どこで・誰と・なぜといった生活文脈の軸から、カテゴリーへの入口になりうるシーンを網羅的に設定します。そして各シーンで消費者が最初に想起するブランド名を自由回答で収集し、「自社ブランドが勝てているCEP」「競合に取られているCEP」「まだ誰も押さえていない未開拓のCEP」を可視化します。
ターゲットを「絞り込む」従来の発想から、想起のネットワークを「広げる」発想への転換、この視点の切り替えが、停滞するブランドに新たな成長経路をもたらします。

【事例】定番ブランドが挑んだ「利用シーン」の再定義
既存イメージがもたらす「用途の固定化」という壁
焼肉のたれカテゴリーで長年トップシェアを誇るナショナルブランドが、ブランド戦略の再点検に乗り出した背景には、一つのジレンマがありました。
シェアが高いということは、消費者の中に強固なブランドイメージが形成されているということでもあります。しかし裏を返せば、それは「○○のときに使うもの」という固定観念に縛られているリスクでもあります。認知の強さが、用途の広がりを阻む。カテゴリーリーダーが陥りやすい、構造的な成長の壁です。
担当マーケターが抱えていた問いは明快でした。「消費者が店頭で選ぶ瞬間、何を基準にしているのかが見えていない」。認知率や推奨度といった既存の測定指標では、この「購買する瞬間の基準」を捉えきれていなかったのです。
価格、味、習慣。それとも「なんとなく目についたから」なのか。その答えを、従来の調査手法では明らかにできずにいました。
「エボークトセット調査」+「CEP調査」の組み合わせで何が見えたか
そこでネオマーケティングと共に実施したのが、エボークトセット調査とCEP調査の組み合わせです。
エボークトセット調査は、消費者が「焼肉のたれを買おう」と思ったとき、頭の中で購買候補として想起されるブランド群(想起集合)を、自由回答で把握するものです。消費者が実際に想起しているブランド群(エボークトセット)を明らかにすることで、自社ブランドが「検討の俎上に乗っているか」を測ります。
次にCEP調査では、「家族みんなで楽しむとき」などカテゴリーへの複数の入口(シーン)を設定し、それぞれのシーンで最初に思い浮かぶブランドを問います。この2つの調査を組み合わせることで、「想起されやすいシーン」と「想起が弱いシーン」の構造が立体的に浮かび上がります。
調査が炙り出した2つの「予想外の課題」
調査前、担当マーケターは「ある程度、予想通りの結果になるだろう」と想定していました。しかし蓋を開けてみると、見えていなかった課題が2つ浮かび上がりました。
課題①:複数ブランドが消費者の中で「混同」されていた
この企業では、異なるターゲット・価格帯を持つ2つのブランドを展開していました。社内では明確に別ブランドとして設計されています。ところが消費者の想起上は、2つのブランドを同一視しているケースが少なくありませんでした。
具体的には、ブランドAの名称とブランドBの特徴が混ざり合った「架空の商品名」で自由回答する消費者が続出しました。 これは作り手が信じている『ブランドの境界線』がいかに脆いかを示す、衝撃的な事実です。
ブランドポートフォリオの設計と、消費者の認知の間に生じていたこのズレは、従来の調査では可視化されていませんでした。
課題②:「どのシーンでも想起はされる、でも突出していない」
CEP調査の結果、様々な利用シーンで自社ブランドは確かに想起されていました。しかし同時に明らかになったのは、「確固たる強烈なイメージがない」という現実でした。多くのCEPで名前が挙がる。しかし「○○といえばこの商品」という強烈な紐づきがない。ブランドとしての輪郭が、消費者の中で曖昧になっていたのです。
この発見は、担当マーケターにとって重要な気づきでした。これだけのシェアを持つブランドですら、想起の質に課題がある。それが改めて認識できた。つまり、調査の価値は「予想通りの確認」ではなく、「予想外の課題の発見」にあったのです。
発見から戦略へ:「ブランドらしさを尖らせる」という指針
2つの課題が明確になったことで、次の打ち手も具体化されました。
一つは、2ブランドの棲み分けを消費者の認知レベルで確立させること。商品開発と販売促進の両面から、それぞれのブランドが「何者であるか」を明確に伝え直す必要があります。
もう一つは、「○○といえばこのブランド」という強烈な想起シーンを意図的につくること。競合との差別化ではなく、消費者の生活シーンで「自動的に想起される」ポジションを獲得するための、シーン軸のコミュニケーション設計です。
「どんな人に届けるか」という人軸から、「どのシーンで思い出されるか」というシーン軸へ。これが今後の商品開発・コミュニケーション設計の指針となりました。
また、調査結果は単なる分析レポートにとどまらず、営業部門への新商品説明の場で活用され、中長期的なブランドポートフォリオ計画の立案にも参照されました。リサーチを経営判断の材料として組織全体に還元させる。その実践こそが、投資対効果を高める鍵です。
戦略の精度を担保する「リサーチの品質管理」
「強いインサイト」はデータの純度から生まれる
上層部に「次の成長戦略」を承認してもらうには、データへの信頼性が前提です。「どうせ想定内の結果しか出ない」という社内のリサーチへの懐疑感は、データ品質の問題と切り離せません。
ブランド戦略の再設計は、数千万円〜数億円規模の予算を伴うこともあります。だからこそ、判断の根拠となるリサーチデータの品質が、戦略の成否を左右します。バイアスのかかった回答、不適切なサンプリング、質問設計の歪みがあれば、どれだけ精緻な分析を重ねても、戦略は誤った方向に動いてしまいます。
ナショナルブランドのマーケターが調査に必要なのは「参考になる数字」ではなく、「意思決定できる数字」です。この差を生むのが、データの純度と調査設計の質です。
自由回答データの「名寄せ」が、想起の実態を正確に映す
今回のエボークトセット調査のように、消費者にブランド名を自由に記述してもらう方式では、データ処理の精度が結果の信頼性を大きく左右します。
「ブランド正式名称」「略称」「パッケージの色や特徴を使った表現」。同じブランドを指していても、消費者の記述は人によって多様に揺れます。この表記揺れを適切に統合・名寄せしなければ、想起の実態は正確に測れません。
ネオマーケティングでは、こうした自由回答の名寄せ・データクレンジングに熟練した人員が対応しており、調査目的に応じた設問設計から回答データの処理・分析まで、精度の高いプロセスを一貫して担います。
「他カテゴリーとの比較」が、結果の意味を際立たせる
さらに、今回の調査で担当マーケターが特に価値を感じたのが、他カテゴリーでの過去調査データとの比較・分析でした。
「焼肉のたれカテゴリーのCEP構造は、他のカテゴリーと比べてどの程度ユニークなのか」「競合他社との想起差は、業界水準として大きいのか小さいのか」。こうした相対評価の視点は、調査データを社内で使い切るうえで非常に有効です。
この比較ができるのは、年間2,500本以上の調査実績、累計3,000社・40,000件超のプロジェクトを支援してきたネオマーケティングならではの強みです。蓄積されたデータ資産があって初めて、単なる「この調査の結果」ではなく「業界・市場の文脈に位置づけられた知見」が提供できます。
まとめ:次世代のブランド戦略を支える「想起」の地図
この事例から浮かび上がるのは、「知られている」ことと「選ばれる」ことの間にある深い溝です。その溝を埋める鍵は、3つの視点にありました。
- 「絞り込む」ターゲット選定から、「広げる」想起ネットワークへ
- リサーチは「仮説の確認」ではなく、「見えていない課題の発見」のためにある
- 消費者の「生活文脈」を捉えるリサーチが、停滞するブランドを再加速させる
デジタル施策の最適化だけでは届かない消費者の深層。そこへ到達するためには、質の高いリサーチ設計と、戦略に昇華させる専門性を持つ調査パートナーが不可欠です。今回の調査を行ったネオマーケティングに依頼をする際は、ぜひ以下よりお問い合わせください。
株式会社ネオマーケティング

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消費者の「店頭での」購買基準を知りたい。新たなブランド測定指標「エボークトセット調査」「CEP調査」を実施。