ソーシャルリスニングとは?始め方からおすすめツール・サービスまで徹底解説
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SNS全盛の現代、消費者はX(旧Twitter)やInstagram、口コミサイトで日々、商品やサービスについて率直な意見を発信しています。こうした「生の声」を収集・分析して、マーケティング戦略や商品開発に活かす手法が「ソーシャルリスニング」です。
本記事では、ソーシャルリスニングの基本から具体的な始め方、おすすめのツール・サービスまで、実践に必要な情報を網羅的に解説します。
ソーシャルリスニングとは何か
ソーシャルリスニングは、インターネット上に投稿された消費者の声を収集・分析し、マーケティングや経営判断に活用する手法です。従来のアンケート調査では得られない、消費者の本音や隠れたニーズを発見できる点が大きな特徴といえます。
近年では、マーケティング部門だけでなく、広報・商品企画・カスタマーサポートなど、幅広い部門で活用されるようになってきました。
SNS上の「生の声」を収集・分析する手法
ソーシャルリスニングとは、XやInstagram、ブログ、口コミサイトなど、インターネット上に投稿されたユーザーの「自然な声」を収集・分析する手法です。企業やブランドに対する感想・意見をデータとして蓄積・解析することで、消費者インサイトや市場動向を把握できます。
専用ツールを使って膨大な投稿データを自動収集し、頻出するキーワードや投稿の感情(ポジティブ/ネガティブ)傾向を分析します。通信利用動向調査によると、日本国内でも、インターネット利用者の79%が何らかのSNSを利用しており、特に20代では9割以上が日常的にSNSを使っています。
こうした環境下、企業にとってSNS上の顧客の声は無視できない情報源となっています。
従来のアンケート調査との違い
アンケート調査では、企業側が設定した質問にユーザーが回答するため、事前に想定されたテーマや設問の枠組み内での情報しか得られません。回答者も「企業に答えている」という意識から、体裁の良い回答をしがちです。
一方、ソーシャルリスニングでは、ユーザーがSNS上に自発的に投稿した偏りのないリアルな意見を収集できます。企業側が誘導したわけではない率直な本音がデータとして集まるため、アンケートでは見つけにくい意外な意見や隠れた不満・要望を把握することが可能です。
ある調査では、商品購入検討時に「SNSで見かけた投稿」に影響を受けた人が2人に1人にのぼり、「口コミの影響は受けない」と答えた人はわずか11%という結果が報告されています。
出典: PRTIMES「SNSのクチコミが生活者の購入・来店に与える影響を調査」
また、アンケートは抽出された回答者に対し実施するため、サンプル数に限りがありますが、ソーシャルリスニングでは不特定多数の投稿を広範囲に収集できます。
なぜ今、ソーシャルリスニングが注目されているのか
ソーシャルリスニングは近年、マーケティングやリスク管理の現場で急速に重要性が認識されるようになりました。その背景には、消費者行動とデジタル環境の変化が大きく関係しています。
ここでは、ソーシャルリスニングが注目される3つの理由を解説します。
SNSの普及と口コミの影響力拡大
スマートフォンとSNSの爆発的な普及により、消費者同士が情報を共有・口コミを発信する機会が飛躍的に増えました。現代では、多くの消費者が商品を購入する前にSNS上で口コミや評判を検索するのが当たり前になっています。
人気インフルエンサーによる紹介がきっかけでヒット商品が生まれることも珍しくなく、SNS上の声は企業の広告以上に購買決定へ大きな影響力を持つようになりました。そのため企業にとって、SNS上に流れる自社や製品に関する口コミ・評価を無視することはできません。
SNS上の評判をいち早く把握することで、商品開発やプロモーション戦略にも消費者目線の知見を反映できます。実際、UCC上島珈琲店では、X(旧Twitter)上の来店客のつぶやきをリアルタイムで収集することで、「蛍光灯が切れている」「空調が寒い」といった細かな改善点を発見し、顧客満足度向上に役立てています。
情報拡散のスピードと炎上リスクへの対応
SNSでは情報の拡散スピードが非常に速く、たった一つのネガティブな投稿が瞬く間に広まり、企業のブランドイメージを損なう「炎上」に発展する恐れがあります。特にXのような拡散力の高いプラットフォームでは、一度火種が生じると短時間で膨大な人々の目に触れてしまうため、従来以上にリスク管理の難易度が高まっています。
こうした状況に対応するため、多くの企業がソーシャルリスニングを導入しています。普段からSNS上の言及をモニタリングし、炎上の予兆となりうる投稿をいち早くキャッチして対処することで、被害が大きくなる前に手を打つことが可能になります。
パナソニックでは、Social Insightの「風評監視メール」機能を活用し、リスク関連のキーワードについて投稿数が一定数増えた際に自動通知を受け取る体制を敷いています。ソーシャルリスニングは、企業の危機管理においても有効な手段として注目が集まっているのです。
顧客ニーズの多様化と深い理解の必要性
スマートフォンとSNSの浸透によって、消費者はいつでもどこでも情報発信・収集ができるようになり、流行やトレンドの移り変わりが非常に速くなりました。同時に、市場には多種多様な嗜好や価値観が存在し、顧客ニーズは細分化・多様化しています。
このような目まぐるしい変化に対応するには、従来のように定期的なアンケートや年次の市場調査を行うだけでは不十分です。リアルタイムで日々変化する消費者の声をキャッチし、機敏に次の一手を打つことが不可欠となっています。
ソーシャルリスニングは、SNS上に蓄積される膨大な生の声を分析することで、こうした多様化する顧客ニーズを深く理解する助けとなります。ベネッセコーポレーションでは、ソーシャルリスニングツールを導入し、「ワーキングマザーが子どもにどんな通信教育を望んでいるか」など従来のアンケートでは掴みにくかったリアルな会話を把握できるようになり、商品・サービスの改善に役立てています。
ソーシャルリスニングで分かること・解決できる課題

ソーシャルリスニングを活用すると、企業はさまざまな角度で貴重な情報や示唆を得ることができます。ここでは、ソーシャルリスニングによって把握可能な主な項目や、解決に寄与するビジネス課題を整理します。
顧客の本音と潜在ニーズの発見
SNS上には消費者の建前ではない率直な意見が数多く存在するため、自社の商品が「どんな風に言われているか」「どんな点が評価され、どこに不満があるか」など、顧客からの正直なフィードバックを把握できます。たとえば、「味は良いけどパッケージが開けにくい」といった生の声は、従来のアンケートでは埋もれてしまうかもしれませんが、ソーシャルリスニングであれば見逃さずに拾い上げることができます。
さらに、日々SNS上で交わされる何気ない会話の中に、「こんな機能があったらいいのに」「もっと○○してほしい」といった、企業側が想定していなかった新たなニーズのヒントが潜んでいることがあります。こうした隠れたニーズや思いがけない商品の使われ方を知ることで、新商品開発のアイデアや既存サービス改善のヒントを得ることができます。
市場トレンドと競合の動向把握
消費者はSNS上で業界全体のイメージや競合他社の商品についても語っています。これらを常にチェックして分析することで、市場全体のトレンドや競合の動向を把握することが可能です。競合他社が新商品を発売した際に、消費者がどのような反応・評価を示しているかをソーシャルリスニングで分析すれば、自社製品との比較から自社の強みや弱みを客観的に理解できます。
市場のトレンド把握という点では、SNS上で急増している話題やキーワードから消費者の興味関心の方向性を読み取ることができます。あるカテゴリで急に言及が増えたテーマや、新しく登場したスラング・ハッシュタグなどを捉えれば、その業界で今何がホットトピックになっているかが見えてきます。
プロモーション施策の効果測定
新商品発売時のSNS上での口コミ件数の推移や、ハッシュタグキャンペーン施策に対する反響(いいね・リポスト数、コメント内容など)をリアルタイムで追跡すれば、施策がどれだけ話題になったか、どのような反応が多かったかを把握できます。たとえば、「キャンペーン動画が○○人にシェアされた」「好意的なコメントの割合が◯割だった」といった具合に定量的な指標で効果を可視化できます。
さらに、SNS上の声を分析することで施策に対する質的な評価も得られます。良かった点・悪かった点や予想外の反応を収集すれば、次回のプロモーション改善につなげる具体的な示唆が得られます。ソーシャルリスニングはPR効果や商品の反響を測定しPDCAを回す手段として有効です。
炎上リスクの早期検知と風評被害の予防
SNS上には日々、自社商品やサービスに関するポジティブな声だけでなく、クレームや否定的な投稿、あるいは事実と異なる情報が発信される可能性があります。ソーシャルリスニングを活用すれば、こうした炎上につながりかねない投稿をいち早く検知することができます。
具体的には、通常よりネガティブなワードを含む投稿数が急増していないか、特定のハッシュタグで批判的なコメントが広まっていないか、といった指標をモニタリングします。異変を早期に察知できれば、企業は迅速に公式対応(事実関係の説明や謝罪、誤解の訂正等)を行うことが可能です。その結果、大炎上に発展する前に沈静化させたり、ブランド毀損や風評被害を未然に防ぐことにつながります。
ソーシャルリスニングの始め方【4つのステップ】

ソーシャルリスニングを自社で活用し始めるには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。ここでは、基本的な4つのステップを解説します。
ステップ1:目的を明確にする
まずソーシャルリスニングを始めるにあたって最も重要なのは、「何のためにソーシャルリスニングを行うのか」という目的をはっきりさせることです。目的が曖昧なまま闇雲にSNSデータを集め始めても、膨大な情報に翻弄されて結局「見ただけ」で終わってしまう可能性が高いでしょう。
目的設定の例としては、「新商品の評判を把握したい」「自社のブランドイメージを改善するヒントが欲しい」「競合と比べた強み・弱みを知りたい」「次回キャンペーン施策の企画に活かせるインサイトを得たい」などが考えられます。社内の関係者で目的を共有し、具体的な仮説や検証したいポイントを洗い出しておくことが重要です。
目的が定まっていないと、いざデータを集めても「で、これは結局何を意味するのか?」と判断に困る事態に陥ります。ソーシャルリスニングを開始する前に目的を明文化し、プロジェクトの指針として常に立ち返れるようにしておくことが成功への第一歩となります。
ステップ2:調査対象のSNS・データを選定する
次に、どのメディア(SNSやサイト)からデータを収集するかを決めます。これは目的とターゲットによって最適解が異なります。自社のターゲット顧客層が多く利用しているSNSはどれか、目的とする情報はどのプラットフォームに多く存在しそうか、といった視点で検討しましょう。
たとえば、リアルタイム性が高く幅広い層の率直な意見が集まりやすいのはXです。話題の拡散力も大きいため、トレンド把握や炎上検知にも適しています。Instagramは写真・動画が中心のSNSであり、ファッション・コスメ・グルメなどビジュアルが重要な商材との相性が良いです。
ブログや口コミサイトは比較的長文で詳細な感想やレビューが投稿されるため、商品の使い心地や専門的な評価を深掘りするのに適しています。このようにプラットフォームごとに特徴があるため、自社の欲しい情報がどこに多く存在するかを見極めて選定することが大切です。
ステップ3:ツールを導入しデータを収集・分析する
調査対象のメディアと大まかな方向性が決まったら、実際にデータ収集と分析作業に入ります。ソーシャルリスニングの対象データ量は膨大になるため、効率的に進めるには専用の分析ツールの活用が不可欠です。
まず、収集すべきキーワードやハッシュタグを設定します。基本となるのは自社名、商品・サービス名、ブランド名などですが、目的に応じて「商品名+評判」「商品カテゴリ+口コミ」のように複合キーワードを使ったり、競合企業名や製品名も含めて検索することで、幅広く関連発言を網羅します。
キーワードが決まったら、選んだソーシャルリスニングツールやSNS分析ツールにそれらを入力し、指定した期間の投稿データを収集します。多くのツールでは、投稿を日時や関連ワードごとに集計したり、ポジティブ・ネガティブといった感情分析を自動で行ってくれたりします。収集したデータに対しては、定量的な分析(数値・頻度の分析)だけでなく、定性的な分析(内容・文脈の解釈)も行うことが重要です。
ステップ4:分析結果を共有し施策に活かす
ソーシャルリスニングの分析が一通り完了したら、得られた知見(インサイト)を具体的なアクションにつなげる段階に移ります。分析レポートを作成し、関係部署と結果を共有しましょう。ここで重要なのは、分析して終わりにしないことです。ソーシャルリスニングは得られた発見をもとに実際の改善行動や戦略修正を行って初めて価値を持ちます。
たとえば、ソーシャルリスニングの結果「パッケージが開けにくい」という声が多かったのであれば、容器デザインの改善を検討するという具体策につなげられます。また「意外な使い方」がSNSで話題になっていることを発見したら、それを公式SNSやキャンペーンで取り上げてみるといった施策に発展させることもできます。
このように、ソーシャルリスニングの結果は社内の様々な意思決定に役立つ生の顧客ボイスデータです。共有にあたっては専門用語ばかりにならないよう注意し、グラフやワードクラウドなど視覚的な要素も交えて分かりやすくまとめると良いでしょう。
ソーシャルリスニングに活用できるツール・サービス
ソーシャルリスニングを実践するには、専用のツールやサービスの活用が不可欠です。ここでは、企画書で紹介を求められている4社のツール・サービスを詳しく解説します。
株式会社ユーザーローカル「Social Insight」

参照元: Social Insight
Social Insightは、株式会社ユーザーローカルが提供する国内代表的なソーシャルメディア分析ツールです。X・Instagram・Facebook・YouTube・TikTokといった主要SNSすべてに対応するオールインワンのツールで、4,300万以上ものSNSアカウントデータベースを基に多角的な分析が可能です。単なる分析だけでなく、複数SNSアカウントの一括予約投稿やハッシュタグキャンペーンの抽選作業自動化など、SNS運用管理機能も充実しています。専任担当によるオンボーディング支援や勉強会など、サポート体制も手厚く、国内企業のSNSマーケティングには欠かせない定番ツールです。
株式会社プラスアルファ・コンサルティング「見える化エンジン」

参照元: 見える化エンジン
見える化エンジンは、株式会社プラスアルファ・コンサルティングが提供するテキストマイニングツールで、累計導入社数1,600社以上、14年連続国内シェアNo.1の実績を誇ります。高度な自然言語処理技術により、SNS特有のネットスラングや新語にも対応し、文脈を考慮した高精度な解析が可能です。たとえば「彼はA社のビールしか飲まない」という投稿を、否定表現ではなく「愛飲している」という正しい意味で読み取ります。40種類以上の分析手法を備え、リアルタイムでの風評リスク検知機能もあります。全日本空輸やPanasonicなど大手企業に多数導入されており、専門スタッフによる導入コンサルティングも充実しています。
株式会社10「poskee」と「mindsquare」

参照元: 株式会社10
株式会社10(テン)は、独自のアプローチでマーケティングリサーチを提供する注目の新興企業です。レビュー共有型SNSアプリ「poskee(ポスキー)」では、ユーザーが日常で体験したあらゆるモノについてスコア評価とレビューを投稿・共有でき、その投稿内容を分析して深層のインサイトを導き出します。オンラインコミュニティリサーチプラットフォーム「mindsquare(マインドスクエア)」は、対話やディスカッションを通じてアンケートでは得られないコンテキストの深いインサイトを引き出すMROCツールです。両ツールとも「生活者との共創」に重点を置き、消費者の共感や価値観を引き出して新たな価値を創造する現代ならではのリサーチモデルを提案しています。
株式会社日本リサーチセンター

参照元:株式会社日本リサーチセンター
株式会社日本リサーチセンター(NRC)は、1960年設立の歴史ある総合マーケティングリサーチ会社で、日本のリサーチ業界の草分け的存在です。伝統的な定量調査・定性調査から最新のソーシャルリスニングまで、オンライン・オフライン問わず幅広い調査手法に対応しています。調査設計からデータ収集、分析、報告書作成、さらには調査結果にもとづくワークショップ運営や施策立案サポートまで一貫支援できる体制が強みです。世界市場調査業界の国際ネットワークWIN/GIAにも加盟し、海外調査にも強みを発揮します。60年以上培われた調査設計力と新しいデジタルリサーチ手法の融合により、きめ細かなインサイトを引き出せます。
Qlonolink株式会社「Qlonolink Analytics」

参照元: Qlonolink Analytics
Qlonolink株式会社が提供する「Qlonolink Analytics」は、ブランドの活動や人気の動向を手軽に把握できるソーシャルリスニングツールです。ソーシャルメディアの情報、フォロワー数の増減、ブランドが発信したSNSへの反応、ニュース情報など多角的な分析結果を提供し、戦略的マーケティング意思決定を支援します。対象ブランドの関連ワードに関するSNS上の発言を抽出・分析する機能を備え、AIが発言の感情を分類することで高精度なポジネガ分析が可能です。モバイルアプリとしても提供されており、手軽にブランドの評判やトレンドをチェックできる点が特徴です。
まとめ:顧客の声に耳を傾け、ビジネスの成長につなげよう
ソーシャルリスニングは、顧客の本音や潜在ニーズの発見、市場トレンドの把握、施策効果の測定、炎上リスクの早期検知など、現代のマーケティングに欠かせない手法です。明確な目的設定のもと、適切なSNSを選定し、専用ツールを活用してデータを収集・分析することで、得られた知見を具体的なアクションにつなげることができます。
現在はSocial Insightや見える化エンジン、株式会社10のposkeeやmindsquare、日本リサーチセンターなど、強力なツール・サービスが揃っています。自社のリソースや目的に応じて上手に活用し、顧客の声に真摯に耳を傾け、その声から学び、素早く行動に移すことで、顧客との絆が強まりブランドが育ちます。
ぜひソーシャルリスニングを積極的に活用し、顧客のリアルな声をビジネスに活かしていってください。それが、変化の激しい市場環境においても確かな成長を遂げるための原動力となるはずです。
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