手つかずの定性データをどう活かす?株式会社10のAI分析が実現するVOC活用
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多くの企業ではオンラインの問い合わせや簡易アンケートなど、テキスト形式の定性データが毎月大量に蓄積される一方、十分に活用されないまま「手つかず」で残るケースが少なくありません。従来のテキストマイニングでは頻出語や表面的な傾向の把握にとどまりやすく、量的な集計を繰り返しても既知の課題の再確認で終わりがちです。こうした課題に対し、株式会社10(10 Inc.)は生活者の声(VOC)を「量」ではなく「質」から捉え直す分析支援を行いました。独自開発のAI分析ツール「Nullo AI Studio」を用いて、ある生活者向けサービス企業のVOC分析を支援した取り組みについて、株式会社10 ソリューショングループ グループリーダーの井出成博さんに伺いました。
- 生活者向けサービス企業に蓄積された大量のVOC(テキストデータ)は、量的集計だけでは十分に活かしきれていなかった
- 株式会社10のNullo AI Studioは、AIの推論力とプログラムによる正確な処理を組み合わせ、VOCを「量」ではなく「質」から読み解く
- Classify(分類)とInsight(インサイト分析)の二段階アプローチにより、定量集計では見えなかった潜在的なペインの仮説を発見
- 専門部門でなくても、深い分析・言語化に取り組める体制へと移行

課題:日々蓄積される手つかずのテキストデータ
今回の支援先となったのは、生活者向けにサービスを提供する企業です。同社では、オンラインでの問い合わせや、顧客とコミュニケーションを取る部門からの報告、各タッチポイントで実施している簡易アンケートの自由回答など、多様なVOCが日々社内に蓄積していました。対象は特定の単一商品ではなく、生活者に向けて継続的に提供されているサービス全般であり、満足や要望だけでなく、利用時のつまずきや不満、改善への期待など、数値化された指標では捉えにくい生活者の心情が多く含まれていました。
同社では、これらのVOCのうち数値データについては集計して社内に報告する仕組みが整っていた一方、テキストデータは量が膨大であることに加え、読み解きに手間と専門的な視点が必要なため、十分に分析しきれず大半が活用されないまま蓄積されていました。
テキストマイニングを試みたものの、頻出語や表面的な傾向を把握できるにとどまり、期待していた新しいニーズや仮説の発見には至りませんでした。定性データには掘り起こす余地があると感じつつも、量的な集計を繰り返すだけでは既知の課題の再確認に終わり、次の一手につながる発見を得にくいことが課題となっていました。
解決策:AIの推論力と正確な処理を組み合わせた二段階分析
同社が株式会社10(テン)を選んだ決め手は、10が提供するAI分析ツール「Nullo AI Studio」が、単なる汎用AIの応用ではなく、リサーチ・インサイト探索の実務ノウハウをプロンプトや分析アルゴリズムとして組み込んでいる点にありました。「Nullo AI Studio」は汎用AIにそのままテキストを処理させる場合と異なり、日本のビジネス文脈で求められる視点や粒度でVOCが整理・分類され、言語化されます。生活者の声をビジネス上のインサイトへ変換してきたインサイト会社としての知見が実装されている点が、他社にはない強みとして評価されました。
もう一つの決め手は、出力結果の安定性です。AIの推論力とプログラムによる正確な処理の組み合わせにより、膨大なVOCを扱っても解釈のぶれを抑えやすく、再現性を確保しやすいデータ処理と、文脈をふまえた柔軟な読み解きを両立しやすい点が、継続的な運用を見据えた導入の後押しとなりました。

分析フロー:Classifyで整理し、Insightで深掘りする
分析は、社内に蓄積された多様なVOCをNullo AI Studioに取り込むところから始まりました。まずClassify(分類)機能で膨大なVOCを細かく分類・整理し、内容の傾向やボリュームの大きい話題を把握しました。次に、その中から優先度の高いデータセットを絞り込み、Insight(インサイト分析)機能を複数回にわたって実行しました。Insightは主要な話題を要約するのではなく、さまざまな切り口から顧客のニーズや要望を言語化する機能であり、視点を変えて繰り返し回すことで、量的な集計では見えてこなかった新しい仮説を探索していきます。対象とするデータの範囲や分析の頻度は、明らかにしたいテーマに応じて柔軟に設定し、継続的に蓄積するVOCに対して必要なタイミングで分析を回せる形を取りました。


技術のこだわり:AIの推論力と正確な処理を両立させる設計
この二段構えのプロセスの背景には、AIの推論力を活かす部分と、プログラムによって正確に処理する部分とを、目的に応じて組み合わせる設計思想があります。すべてを推論に委ねると解釈にぶれが生じやすく、逆にルールベースの処理だけではテキストデータ特有のニュアンスや文脈を捉えにくくなります。両者をバランスよく設計することで、再現性のある安定した処理と、文脈をふまえた柔軟な読み解きを両立させています。さらに、熟練リサーチャーの分析観点を反映していることで、頻出語やポジティブ・ネガティブの集計にとどまらず、顧客がどのような場面で、どのような心情から声を発しているのかという文脈まで含めて言語化できる点も特徴です。
導入時の壁:定性分析をどう社内に定着させるか
導入にあたって難しかったのは、これまで数値データを中心に回してきた分析の進め方の中に、定性データの質的な分析をどう組み込み、社内に定着させるかという点でした。VOCのテキストデータは量が多く、読み解きには一定の専門的な視点が必要なため、これまでは一部の担当者が手作業で目を通すか、あるいは手つかずのままになりがちでした。
そこで10が採用したのが、いきなり全機能を使いこなすのではなく、まずはClassifyで全体像を整理し、優先度の高いテーマにInsightを絞って適用する、という進め方でした。目的に沿ってデータを絞り込み、視点を変えながら繰り返し分析する。そのプロセスをチームに共有することで、専門部門でなくても深い分析と言語化に取り組める形へと、少しずつ運用を移行していきました。
成果:量的集計では届かなかった、潜在的なペインを発見
今回の取り組みで最も大きな成果は、量的な集計では得られなかった、潜在的なペインの仮説にたどり着けたことです。あらかじめ用意された選択肢の不満項目を定量的に集計する分析は、繰り返すほど既知の課題の再確認が中心となり、新しい発見が出にくくなっていました。テキストなどの定性データにはまだ掘り起こす余地があると期待されていたものの、従来のテキストマイニングでは表面的な傾向しか見えず、新しいニーズや仮説の発見には至っていませんでした。
Classifyで全体像を整理したうえで、優先度の高いデータにInsightを重ねたことで、定量集計にも、選択肢型のアンケートにも、頻出語ベースの分析にも現れてこなかった、ある特定の利用場面に固有のペインの仮説が浮かび上がりました。それは明確な不満や要望として書かれているわけではなく、記述の端々に断片的に表れる、サービスをうまく使いこなせているかどうかにまつわる漠然とした不安に近い感情でした。
件数としては大きくないため全体の集計には埋もれ、あらかじめ用意した設問では拾えない類の声でしたが、切り口を変えて質的に言語化するアプローチだからこそ、意思決定の起点となりうる新しい仮説として捉えることができました。得られた仮説は、社内での改善提案や検討の起点として活かされています。VOCを「量」だけでなく「質」の視点から読み解く価値が、明確に示された発見といえます。
「手つかず」から「継続的に活用できる資産」へ
Nullo AI Studioの導入により、これまで手つかずに近かった定性データが、継続的に分析・活用できる対象へと変わりました。以前は、膨大なVOCのテキストを前に、読み解きが一部の担当者の手作業に依存し、分析結果も件数や頻出語、基礎的な話題把握にとどまりやすい状況でした。導入後は、分類とインサイト分析を組み合わせることで、量に埋もれていた声から、意思決定の起点となる仮説を引き出せるようになりました。その結果、VOCの分析が、機能改善やサービス改善に向けた社内提案へとつながるサイクルが強化されました。
加えて、マーケティングリサーチの専門部門でなくても、深い視点での分析や言語化に取り組めるようになった点も大きな変化でした。従来は一部の熟練者に依存していた質的な読み解きを、同じ進め方に沿ってより多くのメンバーが実行できるようになり、顧客の声を起点とした改善の議論を社内で回しやすくなったといいます。
担当者の声
担当者からは、これまで十分に手が回っていなかった定性データを起点に、社内での議論や提案を進めやすくなった、という声が寄せられています。特に、マーケティングリサーチを専門としないメンバーであっても、Nullo AI Studioを用いることで、VOCから深い視点での分析や言語化に踏み込めるようになった点が評価されています。専門部門に依存しきらずに、顧客の声を意思決定に活かす動きを社内へ広げられることが、継続的な活用への手応えにつながっているといいます。
株式会社10ならではの強み
今回の事例で活かされた株式会社10ならではの強みは、Nullo AI Studioが単なるAI分析ツールではなく、インサイト会社としての実務知をもとに設計されている点にあります。同社はこれまで、生活者の声を読み解き、ビジネスの意思決定に使えるインサイトへ変換する支援を重ねてきました。その経験が、VOCの分類から、優先度の高いデータへのインサイト分析、仮説の言語化に至る一連のワークフローに反映されています。
特に、量的な集計では既知の課題の再確認に終わりがちなVOC分析に、質的なアプローチを持ち込むことで、潜在的なニーズやペインの仮説を引き出せる点が強みです。AIの推論力とプログラムによる正確な処理をバランスよく組み合わせることで、安定した処理と文脈をふまえた柔軟な読み解きを両立しています。結果として、リサーチの専門部門でなくても、顧客の声を意思決定に活かす分析に踏み込めるようになります。同様の課題を抱える企業にとって、手つかずのVOCを資産へと変える手がかりになるはずです。
まとめ:VOCを「資産」に変える、これからの顧客理解
株式会社10のNullo AI Studioは、VOCを「量」で捉える分析から、「質」で捉える分析へと踏み込み、潜在的なニーズや仮説を言語化するための実践的な手法を目指しています。生成AIによって定性データを扱える可能性は広がりましたが、その価値を引き出すには、技術だけでなく、生活者を理解し読み解く実務知が欠かせません。手つかずになりがちな顧客の声を、改善やサービスの成長に使える資産へ変えたい方は、ぜひ株式会社10にご相談ください。
