希少モニター調査を担うアスマーク。品質管理への姿勢と新たな取組「アンケートの”質”研究ラボ」を探る
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アスマークといえば、「モニターリクルーティングに強い」「希少属性へのアプローチができる」、という印象を持つ方も多いのではないでしょうか。しかしその裏側には、徹底した品質管理の体制や、ISO 20252の取得、自主研究による検証など、地道な努力が積み重ねられています。今回は、リサーチャーグループマネージャーの里村雅幸さん、マーケティングコミュニケーショングループマネージャーの竹中重雄さんに、アスマークがどのような会社なのか伺いました。「まだアスマークについてよく知らない」という方は、ぜひ読んでみてください。
- モニターリクルーティングの運営を自社で一貫する体制を徹底し、業界ナンバーワンの商材を目指す
- 対象者確保が難しいニッチな属性は専門パネルを持つパートナーと独自に連携して対応
- ISO 20252の取得に加え、人の目によるダブルチェックや電話でのダブルスクリーニングなど、仕組みと人の両面から品質を担保
- 自主研究「アンケートの”質”研究ラボ」による設問設計の実証データが、顧客の納得感と受注につながっている

里村雅幸
株式会社アスマーク リサーチソリューション部リサーチャーグループ マネージャー。もともとは実査担当(Webアンケート画面作成やデータチェックなどのデータ収集工程)で、Webアンケートのデータ品質に関心を強く持ちながらリサーチャーへ転身。現在は定量調査の企画設計から報告書作成まで担当するほか、メンバーの育成やウェビナーへの登壇、自社の実験調査の主導も行う。

竹中重雄
株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーショングループ マネージャー。営業としての経験を経て、現在はインハウスマーケターとして、SEO・LLMO対策やセミナー・自主調査・ホワイトペーパーなどのコンテンツ企画、イベント出展や産学連携まで、自社ブランディング全般を担う。営業時代の現場感を活かし、営業が提案しやすい新サービスの開発も主導。

リサーチトレンドナビ編集部
3,500万人超のパネルデータと20年以上調査基盤を提供してきた実績に基づき、調査会社の真の強みを、客観的な数値で「中立的」に証明するコンテンツ作りを行う。編集ポリシーはこちら。
アスマークで依頼の多い調査
―――アスマークさんといえばモニターリクルーティングに強い印象を持つ方が多いと思いますが、実際に受ける依頼でメジャーなものは何でしょうか。
竹中:やはり一番メジャーなのはモニターリクルーティングや、被験者集めですね。学術研究の被験者集めなどは、他社と比べても多いのではないかと思います。リクルーティングは設立当初の旧マーシュ時代から業界ナンバーワンになるんだという思いで、継続的に注力しているサービスです。
―――「難病・希少疾患」「障がい者」「海外/在日外国人」など、ニッチな対象者調査に強いというイメージを持つ読者も多いと思います。実際にこうした調査も多いのでしょうか。
竹中:そうですね。元々業界の中でリクルーティングに力を入れていた背景があり、「他社で集められないニッチな調査対象者を集めてほしい」というご相談を多くいただいていました。
ただ、当時はお断りせざるを得ないケースもあったんです。そこでパートナーの開拓を強化し、「難病・希少疾患」「障がい者」「海外/在日外国人」などの対象者を集められるスキームを整えました。
今では、難病・希少疾患であれば製薬会社の薬剤開発におけるペイシェントジャーニーの作成、障がい者であればメーカーや自治体のアクセシビリティ関連調査、海外/在日外国人であればインバウンドや海外進出に関する調査ニーズにお応えできています。

株式会社アスマーク 営業部 マーケティングコミュニケーショングループ マネージャー
―――そうした対象者にリーチするために、どのような工夫をされているのでしょうか。
竹中:当社が保有する「D style Web」という消費者パネルだけでは回収が難しいケースもあるため、「難病・希少疾患」「障がい者」などの特化型パネルを持つパートナーの発掘に力を入れています。こうしたパネルは単なるWebパネルよりも対象者と近い距離感を構築できていることが多いので、デリケートな配慮が求められる調査とも相性が良いんです。
―――実際の調査では、どのような配慮が必要になるのでしょうか。
竹中:例えば難病・希少疾患の患者さんの場合、その日の体調によって、調査当日にインタビューへ参加できないことも珍しくありません。そのため、代わりにインタビューを受けていただける「予備」の方をあらかじめ手配したり、横になったままでも無理なく参加いただけるようオンラインでの実施を調整したりすることもあります。質問の内容も、患者さんの心身を第一に考えて表現を変えるなど、調査設計の段階から専門的なアドバイスを前提にしています。
徹底した品質管理体制とその意図とは
―――アスマークさんが調査の品質を保つために工夫されていることを教えてください。
里村:マニュアルを徹底して作っていたり、部分的な業務はパートさんにお願いするなど、属人化しないように業務分解をかなりしていると思います。
他には、トラブルやミスの報告の共有や検証をするミーティングを週1回継続して行っています。営業・実査・リサーチャー・品質管理系のグループが職種を越えて集まり、月に1回は数十人規模の品質会議も開いています。人によるミスは絶対に起こるものですが、それ以外で防げるものはちゃんと仕組みとして防ぐ、という発想を大事にしています。
―――調査サービスに関する国際的な品質規格である「ISO 20252」の取得は、どのような背景で進められたのでしょうか。
里村:オペレーションやデータの品質における強みをアピールする目的もありましたし、会社の規模拡大に伴ってミスが増えてきたことへの改善策としての側面もありました。代表の町田が取得しようと判断し、社内でプロジェクトチームを立ち上げ、JMRAの取得コンサルタントの指導も受けながら、規定作りとルール作りを実査部と相談して進めていきました。プライバシーマークと重なる部分の調整や、テスト運用、監査体制の整備、社内勉強会やルール説明会も必要で、1年以上、実質2年ほどかかったと思います。
規格を取得したことで、品質管理の意識や、トラブルを起こさないための、あるいは起きてしまったときの対応という部分は、かなり力を入れるようになりました。

株式会社アスマーク リサーチソリューション部リサーチャーグループ マネージャー 里村氏
―――ISO 20252以外に、品質管理で力を入れている独自の取り組みはありますか。
里村:定量調査ではシステムによる自動チェックだけでなく人の目によるチェックを行っています。定性調査では、しっかり受け答えができる方かどうか確認するために、電話によるダブルスクリーニングを実施しています。
時間をかけてでも品質を担保する、という姿勢を大事にしており、最近始めた「アンケートの”質”研究ラボ」でアンケートモニターの回答傾向を実験調査で調べて公開したのも、弊社らしい取り組みだと思っています。
―――そうしたこだわりに対して、お客様からの反応はいかがですか。
里村:昔から品質を意識して実査をしているので、急に声が変わったという感覚はないのですが、モニターの募集方法にこだわって厳格に管理している分、「自由記述をしっかり書いてもらえる」「インタビューでの発言がしっかりしている」といったお声は以前からいただくことが多いです。
自主研究「アンケートの”質”研究ラボ」の取り組み
―――アスマークさんが最近取り組まれている自主研究「アンケートの”質”研究ラボ」は、どのような取り組みなのでしょうか。
竹中:設問文の表現や、選択肢の並び順、5段階評価(リカート尺度)の見せ方を変えると、アンケートのデータがどう変わるのかを実験・検証していて、その結果をセミナーやホワイトペーパー、コラムという形で公開しています。
最初はどの程度の反響になるのかわからなかったのですが、検証セミナーをやってみたら、今までで一番申し込みが来て。それでシリーズ化して、いろいろな角度から検証をすることにしました。そこからそのままご相談に繋がることも多いんです。

―――具体的には、どのような検証結果が分かってきたのでしょうか。
里村:近年「認知率の低下」という傾向が見られているんです。例えば「知っている」と答えなかった人に理由を聞くと、「名前くらいしか知らないから」、という回答が多いんです。情報が溢れている中で、「あまり関わっていないものは『知っている』と言わない」、という心理が、特に若年層で顕著に起きているんだと思います。
そのほかにも設問設計そのものが結果を左右する例も出ており、例えば持っている家電を尋ねる調査で、選択肢が60項目近くに膨らんだ結果、冷蔵庫と洗濯機を両方とも「持っていない」人が1割以上出てしまったことがありました。選択肢を絞って追加調査をしたら、実際には9割が持っていたんです。選択肢が多すぎると結果が変わってしまう、ということはリサーチャーなら感覚で分かりますが、お客さんに対し実際に実験調査で示すことができると、納得感の醸成に繋がります。
AI時代に選ばれる調査会社としての姿勢
―――AIの普及で、お客様からの問い合わせに変化はありますか。
竹中:以前は「どういう調査がいいんでしょうか」という壁打ちのような相談が多かったんですが、今はしっかり中身が詰まった、事前に考え込まれた問い合わせが増えています。AIに訊けば分かる話を返すだけでは、求められているレベルに届かなくなっている実感があるので、人が関わるからこそできる課題解決やアイデアを提供しないといけませんね。効率化のためのAI活用は前提としつつ、対話を通じて信頼していただくことを大事にしていきたいです。
―――社内的な課題として感じていることはありますか。
里村:会社が成長して分業化が進んだことや、自社の対応範囲が広がっていったことも影響して、どのような目的でリサーチが行われているのかの全体像や後工程のことがしっかり分かっていないことが要因でミス・トラブルが起きてしまうことがありました。また、各部署においてどの担当者が対応するかによって顧客対応力に差が生まれてしまうといったケースも課題として浮き彫りになっています。
これらについては社内勉強会や動画配信を通じて、調査会社の一員としての意識や知見・ノウハウ等を若いメンバーにも伝えていく動きを強化しています。一方、マーケティングやリサーチの知見が豊富であることが最重要というわけではなく、うちは営業の人柄や実査担当の丁寧さで発注いただけるケースも非常に多いので、その良さは今後も守っていきたいです。
どんなお客様に問い合わせてほしいか
―――対応が難しい案件もあるとお伺いしました。差し支えない範囲で教えてください。
里村:極端な短納期や低価格のみを求められる案件、事前調査に設問を詰め込みすぎるなど、モニター様への配慮に欠ける設計でのご依頼は、品質担保の観点から設計の見直しをご提案するか、お受けするのが難しい場合があります。また、消費者パネルではなく特定の企業の役員や専門家に直接インタビューしたいという有識者調査は、弊社の強みとは異なるため、ミスマッチになってしまうかもしれません。
―――逆に、今後どういったお客様にお問い合わせいただきたいとお考えですか。
里村:弊社のリサーチ領域である消費者調査であれば、基本的にどのような課題でも解決のサポートをさせていただきたいと考えています。初めてのお客様には、丁寧な顧客対応で伴走しますし、「条件が複雑で他社に断られてしまった」「より高度な設計でインサイトを深掘りしたい」といった、リサーチに精通したお客様からの難易度が高いご相談も歓迎です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
