調査会社はどう選ぶ?選び方・比較ポイントと目的別おすすめ11社

ビジネス戦略において、市場調査やマーケティングリサーチは不可欠な要素です。その調査を効果的に進めるには、数多くある調査会社の中から、自社の課題解決に最適なパートナーを選定することが重要です。
本記事では、調査会社の選び方や比較すべきポイントを解説します。さらに、目的別におすすめの調査会社11社を厳選して紹介します。
調査会社とは
調査会社とは、企業の市場戦略や意思決定に必要なデータを収集・分析し、客観的な根拠に基づいた提言を行う専門機関のことです。
具体的には、新商品開発におけるニーズ把握、競合他社の動向分析、顧客満足度調査、ブランドイメージの評価、プロモーション効果測定など、多岐にわたるテーマで調査を実施します。
調査手法にも、さまざまな種類があります。インターネット調査、会場調査、グループインタビュー、デプスインタビュー、郵送調査、購買データ分析など、目的に応じてアプローチを使い分けることで、調査の精度を高め、戦略立案の質を向上させることが可能です。
変化の激しい現代のビジネス環境では、感覚や経験に頼った判断がリスクとなる可能性があります。調査会社は、市場の変化や消費者ニーズを的確に捉え、戦略立案を支援する重要なパートナーと言えるでしょう。
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調査会社の選び方|依頼前に押さえておきたい2つの基本軸

自社にとって、より有益な情報を得るためには、調査会社の選定が重要です。ここでは、調査会社に依頼する前に押さえておきたい2つの基本軸を紹介します。
目的・課題の明確化
調査会社の選定では、まず調査の目的と課題を明確にすることが重要です。目的と課題が明確であれば、最適な調査手法や調査会社を絞り込めます。
反対に、目的や課題が曖昧なまま調査依頼すると、調査手法や設問設計のブレが生じ、調査結果を有効活用できない恐れがあります。その結果、調査会社とのやりとりが増えたり、再調査が必要になったりと、無駄なコミュニケーションコストや非効率な進行も招きかねません。
「何のために調査を行うのか」が明確であれば、費用対効果の高い調査を実施でき、ビジネスの意思決定につながる有益なインサイトの獲得が可能です。
依頼範囲の整理
調査の目的と課題が明確になったら、「調査会社にどこまで依頼するのか」の範囲を具体的に整理します。
調査会社が提供するサービスは実に多様です。企画提案から調査票作成、実査、集計、データ分析、報告書作成、戦略提案まで、フェーズごとに依頼範囲を調整することも可能です。
例えば、社内にデータ分析に長けた人材がいる場合、実査とデータ収集のみを依頼し、分析は自社で行うことで、コストを抑えられます。専門的な知見やリソースが不足している場合は、企画立案から戦略提案までを一貫して任せることで、より高度なインサイトの獲得が期待できます。
依頼範囲を整理する際は、以下の点を考慮すると良いでしょう。
- 社内のリソース(人材、時間、予算)がどうか?
- どのフェーズで専門家の知見が必要か?
- 最終的にどのようなアウトプット(データ、分析結果、提言など)を求めるか?
これらを整理したうえで依頼することで、調査会社との認識齟齬を防ぎ、スムーズな進行が可能になります。
調査会社を選ぶ4つの比較ポイント
調査会社を選定する際は、具体的な比較ポイントを押さえることが重要です。ここでは、失敗しないための4つの比較ポイントを解説します。
調査手法の種類
調査手法には、定量調査・定性調査をはじめ、アンケート調査、インタビュー調査、デプスインタビュー、グループインタビューなど、さまざまな種類があります。
調査会社によって得意な手法や対応範囲が異なるため、目的に合った手法を提案・実施できる会社かどうかの見極めが重要です。単一の手法だけでなく、必要に応じて複数の調査手法を組み合わせた複合的な提案ができるかどうか、海外調査が可能か、なども重要な判断基準となります。
実績と得意分野
調査会社が、自社の業界や調査テーマに関して、どの程度の経験と実績を持っているかを確認しましょう。過去に類似した業界・目的での調査経験がある、または得意分野とする会社は、より精度の高い調査が期待できます。
単に「実績がある」だけでなく、その実績がどのような課題を解決し、どのような成果につながったのかを具体的にヒアリングすることも大切です。各調査会社の強みや得意分野を把握することで、自社のニーズとの合致度も見極めやすくなります。
レポートの質・サポート範囲
調査結果をまとめたレポートの質は、自社の意思決定に直結するため、非常に重要な比較ポイントです。納品形式や分析の深さ・視認性については、必ず確認しましょう。
また、調査後のデータを羅列するだけでなく、自社の課題に対する明確な示唆や具体的な提言が含まれているかも事前にヒアリングすべきです。社内にリサーチャーがいない場合は、設問設計から配信、回収、集計、レポートまでを一貫して対応できる調査会社を選ぶと安心です。
費用の透明性
調査にかかる費用が明確で透明性があるかは、トラブルを避けるうえで非常に重要です。調査に必要な費用や期間は、調査会社によって異なります。調査の範囲と深さによっては、追加費用が発生するケースもあります。
調査会社を選ぶ際は、明確な料金体系と内訳の説明があるか、費用がわかりやすく提示されているかどうかを確認しましょう。複数の調査会社から見積もりを取り、相場感を把握することも重要です。金額の安さだけで選ぶのではなく、サービスとのバランスを考慮して、総合的に判断しましょう。
幅広く調査ができる調査会社4社
多岐にわたる調査手法と豊富な実績を持ち、幅広いニーズに対応可能な調査会社4社を紹介します。多様なビジネス課題に対し、柔軟かつ専門的なアプローチでサポートしてくれる企業を厳選しました。
日本リサーチセンター

参照元:株式会社日本リサーチセンター
1960年設立の日本リサーチセンターは、日本におけるマーケティングリサーチの草分け的存在です。オンライン調査、オフライン調査、郵送調査、訪問調査、会場調査など多岐にわたる調査手法に対応しています。国内のみならず、海外調査も可能です。
豊富な調査経験を持ち、大規模な社会調査や世論調査にも強みを発揮します。生活者理解からビジネス戦略構築まで、顧客の多様なニーズに応える質の高いリサーチと分析力が特徴です。
日本インフォメーション

参照元: 日本インフォメーション株式会社
日本インフォメーションは、会場調査に強みを持つ調査会社です。自社で会場を保有しており、仮想シェルフ、リアルシェルフ(模擬店舗)、ストリートキャッチ、機縁リクルートなど、昔ながらの調査メニューにも対応しています。
緻密な設問設計と質の高い調査に定評があり、多種多様な調査手法を通じて、顧客の課題に応じた最適なソリューション提供が期待できます。リサーチスキルだけでなく、ヒアリングなどのコミュニケーションスキルが高い点も強みです。
マクロミル

参照元: 株式会社マクロミル
マクロミルは、国内最大級のインターネットリサーチを強みとする企業です。迅速かつ大量のデータを収集できるインフラと、専門性の高い分析力で、スピーディーな意思決定をサポートします。
自社の新商品開発からブランド戦略、プロモーション効果測定まで、幅広いマーケティング課題に対応し、多くの企業に利用されています。
クロスマーケティング

参照元: 株式会社クロス・マーケティング
クロスマーケティングは、独自のパネルと多角的なアプローチで、多様なニーズに応える総合マーケティングリサーチ会社です。国内最大規模1,285万のアンケートパネルを所持しています。
インターネット調査を軸に、MROCやオフライン調査、ビッグデータ分析など、最新のテクノロジーと多様な手法を組み合わせた提案力が特徴です。顧客の課題に深く寄り添い、戦略立案から実行まで一貫したサポートを提供することで、企業の成長に貢献しています。
海外市場調査が得意な調査会社3選
グローバル展開や海外市場への参入を検討する際、現地の正確な情報に基づいた戦略立案は不可欠です。海外市場調査に強みを持ち、グローバルな視点からサポートが可能な調査会社3社を紹介します。
ネオマーケティング

参照元: 株式会社ネオマーケティング
ネオマーケティングは、市場調査などのマーケティングリサーチはもちろん、調査結果の商品開発やマーケティング戦略への活用までをサポートする、マーケティングパートナー企業です。アジア圏を中心に、現地パートナーとの連携により、質の高い海外調査を提供します。
インターネット調査から現地での定性調査まで、多岐にわたる手法で現地の消費者インサイトを深く掘り下げ、グローバル戦略立案が可能です。海外市場調査は30万円から実施できます。
Quest Research

参照元: 株式会社Quest Research
Quest Researchは、「生活者の声をもっと身近に」することを目指し、調査スピードを飛躍的に高め、効果的に生活者の声を企業に届けるサービスを展開しています。現地に根ざした独自のネットワークとノウハウを活かし、進出先の市場特性や消費者行動、競合環境などを詳細に調査できます。
オンライン定性調査サービス「qork(コルク)」では、海外リサーチの高速化を実現しており、スピーディーかつ柔軟な対応も魅力です。
株式会社サーベイリサーチセンター

参照元: 株式会社サーベイリサーチセンター
株式会社サーベイリサーチセンターは、政府系、自治体系調査の入札案件が多く、信頼性の高いデータ収集・分析力に定評があります。
調査員を全国に抱えており街頭調査、訪問調査などのフィールドリサーチを強みとしています。海外での調査にも対応しているため、国内外問わず幅広い活用が可能です。自社のニーズに合わせた精度の高い情報提供が期待できます。
専門的な調査が得意な調査会社4選
特定の業界や調査内容に特化した専門性の高い情報を求める場合、総合的な調査会社では対応しきれないケースもあります。ニッチな分野や高度な専門知識を要する調査に強みを持つ企業4社を紹介します。
NeU

参照元: 株式会社NeU (ニュー)
NeUは、東北大学と日立システムズのジョイントベンチャーとして、脳科学とAIを活用したニューロマーケティング調査に特化しています。脳計測とアイトラッキングを組み合わせた調査が可能です。
脳活動や生体反応を計測することで、消費者の無意識の反応や真の感情を可視化し、商品開発や広告効果測定、顧客体験改善に貢献します。従来のアンケートだけでは得られない、科学的根拠に基づいた深いインサイト獲得が期待できます。
株式会社プラグ

参照元: 株式会社プラグ
株式会社プラグは、デザイン会社と調査会社が合併してできた会社で、パッケージデザイン評価専門調査サービスがあるのが特徴です。店頭での購買行動や消費者の視覚情報処理に関する専門知識を活かし、パッケージが持つべき機能や、消費者の心に響くデザインを科学的に検証します。
デザインの力で商品の売上向上を目指す企業にとって、企画から効果測定まで一貫してサポートしてくれる心強いパートナーとなるでしょう。
マイボイスコム

参照元:マイボイスコム株式会社
マイボイスコムは、消費者意識や購買行動に関する詳細なデータに強みを持つ調査会社です。特に、学術調査は実績が多く、専門のリサーチャーが設計から分析・レポート作成までを一貫して対応しています。
また、独自の大規模インターネットパネル「マイボイスパネル」を保有している点も魅力です。生活者のリアルな声やニーズを多角的に分析し、自社のマーケティング戦略立案に役立つ、実用的な情報の提供が期待できます。
株式会社Brandism

参照元: 株式会社Brandism
株式会社Brandismは、企業や製品の「ブランド」に特化したコンサルティングとリサーチを提供する専門会社です。調査では、ブランド・パワーが数値化されるため、ブランドの現在地を把握したい企業におすすめです。
ブランド戦略の策定に必要な客観的なデータを得られるため、マーケティング施策の効果測定や改善にも役立ちます。調査によって隠れたインサイトを発掘し、自社ブランドから提供する製品・サービスの価値設計も依頼可能です。調査からコンセプト設計、新規事業の立案など、豊富な知見を活かし、ブランド価値の向上に貢献します。
まとめ|信頼できる調査会社を選んで成果につなげよう
多数ある調査会社の中から信頼できる調査会社を選ぶためには、自社の目的と課題を明確にし、的確に調査会社へ伝えることが重要です。
調査会社によって対応可能な調査手法や強みが異なるため、調査会社の下調べも必ず行いましょう。費用やサポート体制のバランスも見極めながら、自社に最適な調査会社を選んでください。企業と調査会社のミスマッチを防ぐことで、より成果につながる調査結果を得られるはずです。