アンケートの新しい選択肢。「自腹で試す」実利用者の声が、リサーチの常識を覆す理由
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従来のアンケートパネルではなく、特定のサービスを通じた「実体験」を持つユーザーの声が、メーカーの意思決定を劇的に変え始めています。その中心にいるのが、家電レンタルサービスを展開する「レンティオ」。なぜ、家電レンタルの会社がリサーチを手掛けるのか。そして、そのデータがなぜこれほどまでにメーカーに求められるのか。今回は、GMOリサーチ&AI専務の本郷が、レンティオ株式会社 事業開発部の小室さんを突撃し、その舞台裏を聞きました。
- レンティオサーベイの質が高い理由は、回答者が アンケート謝礼目的ではなく、自腹でレンタルした「購入検討者」であり熱量が高いから
- レンティオサーベイの強みは「なぜ買わなかったのか(不購入理由)」という、従来の調査では困難だった具体的なファクトが分かること
- 発売前のプロモーション検証や、定量調査との併用による意思決定の精度向上に寄与する等、様々な活用シーンが期待できる
家電レンタルの会社が「リサーチ」に参入した背景とは
本郷:本日はよろしくお願いします!家電レンタルのリーディングカンパニーとして有名なレンティオさんですが、まずはリサーチ事業に参入された背景を伺っても良いでしょうか。
小室:こちらこそ、よろしくお願いします!実は、もともと「リサーチを事業にしよう」と狙っていたわけではないんです。きっかけは、レンタルサービス事業を利用いただいていたメーカー各社さんからの切実な相談からでした。レンティオのユーザーは、数千円を払って「本気で購入を検討しているから」レンタルを利用します。つまりメーカー側からすれば、これほど購買に近い層は他にいないんですよね。
本郷:なるほど。メーカーとしては購買に近い層のインサイトが知れる絶好の機会。そこでレンティオさんにリサーチをお願いした、と。
小室:そうなんです。当初は無償で行っていたのですが、その結果をお見せしたところ、メーカーさんから「これこそ欲しかったデータだ。費用を払ってでも続けてほしい」と逆提案をいただきまして。ニーズに突き動かされる形で、自然と「レンティオサーベイ(Rentio Survey)」が立ち上がりました。

レンティオ サーベイの公式サイト
本郷:商品改善に不可欠な、良質なリサーチ結果が得られると、メーカー側が気づいたわけですね。アンケート会員のような制度はなく、レンティオの利用経験者に対してアンケート回答を依頼している、ということですよね。
小室:仰る通りです!レンタル利用最終日に顧客体験の一環としてアンケートが自動配信されるケースが多いですね。なので、レンティオサーベイは回答者がアンケートの謝礼目当てではない点が強みです。
従来のアンケート調査と、レンティオが提供するデータの決定的な違いとは
本郷:「レンティオサーベイ」が既存のリサーチパネルと何が決定的に違うのか、もう少し深掘りしてもいいですか?
小室:はい!最大の違いは、やはり回答者の「熱量」と「体験の鮮度」ですね。弊社の回答者は「自腹で商品を借りた実利用者」のみ。彼らはまさに「買おうか迷っている」当事者なので、30〜40問という重い調査であっても、驚くほど具体的で熱い回答を寄せてくださるんです。「自分の回答が、次の製品改善に活かされるかもしれない」という期待感も大きいのだと思います。
本郷:「当事者」であることは大きいですね。特に、その独自性が最も発揮されるのはどのようなシーンなんでしょうか。
小室:メーカーさんが喉から手が出るほど欲しかった、「検討したけれど、購入を断念した理由」が取れるケースですね。例えばある人気調理家電の事例では、返却した方の声を分析した結果、「キッチンのこの場所に置けなかった」「操作感がイメージと違った」といった、自宅で数日間使い込んだからこそ出る「改善可能なファクト」が次々と見つかりました。
本郷:単なる「高かったから」という回答とは、解像度が全く違いますね。リアルな敗因がわかる。
小室:おっしゃる通りです。その「不満」こそが、次世代のヒット商品を生むための重要な設計図になります。
本郷:調査手法としてはHUT*に近い形式ですが、従来の手法との大きな違いは『対象者と商品との関わり方の起点』にあるのでしょうか。
小室:仰る通りで、まさにそこが強みです。お客様自らが購入を検討したタイミングで調査できるので、回答の具体性や熱意が全く違うと思います。
*HUT:ホームユーステストの略。商品を実際に家で試してもらい、使用感を確かめてもらう調査手法。
「発売日」を待たずに調査を行う、新しいマーケティングの形とは

レンティオ株式会社 事業開発部の小室さん
小室:実はこうした深い検証を、「発売前」から行っている事例もあるんです。
本郷:発売前からレンタルと調査を回しているんですか!これはスピード感が凄まじそうです。
小室:実際、最新のシャワーヘッドの事例では、発売前にレンタルを展開し、短期間で500件ほどの膨大な回答数を回収しました。発売日を迎える前に「どの機能が刺さるのか」の検証が完了している状態を作れるんです。
本郷:マーケティング戦略における注力判断の材料になる、非常に興味深い調査手法ですね。
「定量調査」との併用が必要になるシーンとは
小室:ただ、すべての調査が「レンティオサーベイ」だけで完結するわけではありません。というのも、弊社のパネルはあくまで「レンタル実績」に基づいているので、まだ実績が少ない新サービスやニッチな製品の場合、レンティオ側だけでは十分なサンプル数が回収できないことがあるんです。
本郷:パネルの「濃さ」ゆえの限界ですね。
小室:はい。ですので、お客様には「定量調査で市場全体の傾向を広く掴み、その上で具体的な体験者の声をレンティオで深掘りしましょう」と併用を推奨しています。市場の裾野を捉える定量調査の権威性と、体験者の深層を突く弊社の調査。この両輪があってこそ、真に正しい意思決定ができるのだと考えています。
本郷:役割分担を明確にすることで、より強固なデータになりますね。
まとめ:「体験型リサーチ」の今後の展開とは
本郷:最後に、今後の展望についても伺えますか?
小室:レンタルと調査の化学反応をもっと広めていきたいですね。従来提供してきた、レンタルだからこそ商品を試せる「機会」の価値だけでなく、調査を絡めることで生まれる「顧客コミュニケーション」の価値をより高めていきたいです。
直近では実証実験としてホテルとの連携を行ったり、商品に触れていただくタッチポイントを拡大しています。購入を強く検討している層とはまた違った方に調査ができる利点があるので、既にこちらのサービスで調査をされているメーカーさんもいます。
同じタイミングでアンケートシステムの多言語対応もできるようにしたので、今後も様々なシーンで調査をかけ合わせられるようにしたいですね。
本郷:レンタルだからこそ提供できる「機会」と、調査による「顧客コミュニケーション」のかけ合わせが、リサーチ業界全体をさらに面白くしてくれそうです。本日は貴重なお話をありがとうございました!
レンティオサーベイ

レンティオ株式会社が提供する、家電レンタルサービス「レンティオ」の実利用者を対象としたリサーチサービス。最大の特徴は、アンケート謝礼を目的としたモニターではなく、「数千円の費用を払ってでも商品を試したい」という、購入意欲の極めて高い層にリーチできる点。自宅で数日間使い込んだ「実体験」に基づく回答は、従来の調査では困難だった「不購入理由(なぜ返却したのか)」の具体化や、発売前のプロモーション検証において圧倒的な威力を発揮します。
本郷 専務の視点
私たちリサーチのプロから見ても、レンティオさんの手法は「データの純度」において一つの理想形だと言えます。従来のネットリサーチが「広く、早く、確実に」市場を捉える「網」であるならば、レンティオサーベイは特定の商品に対する「深く、鋭い」インサイトを穿つ「銛(もり)」のような存在です。特に、新製品の実績が少ないフェーズにおいて、当社が保有しているようなパネルネットワークを活用した、定量調査で市場の裾野を把握しつつ、レンティオさんで体験者の深層心理を突くという「両輪の活用」は、メーカーの意思決定をより盤石なものにします。こうした異業種からの参入が、リサーチの価値をアップデートしてくれることを、強く実感したお話でした。
