AIツールでさらなる躍進を遂げるプラグがリサーチとデザインの「深い溝」を埋められる訳
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「調査は調査会社、デザイン制作はデザイン会社」と分業し、データをデザインに活かしきれない。このような悩みを抱えるマーケターの方は多いのではないでしょうか。その課題を構造から解消しているのが、株式会社プラグです。調査会社とデザイン会社が合併して生まれた同社は、リサーチャーとデザイナーが同じプロジェクトチームとして動きます。
今回は、プラグのリサーチ部部長・リサーチディレクターの松本さんに、リサーチトレンドナビ編集長・本郷が直撃。パッケージデザインや商品開発において、調査とデザインを同時に動かしたいと考えているマーケターやブランドマネージャーの方は必見です。
- 調査会社とデザイン会社の合併による一気通貫支援体制のリアル
- 10年超の消費者調査データを学習したAI「CrepoパッケージデザインAI」が実現する、パッケージデザイン評価の現状
- AIによる調査でもアウトプットが担保されているのは、全工程にプロのリサーチャーが関与しているからだった

松本 賢二
株式会社プラグ リサーチ部 部長。エンターテイメント業界紙の編集職を経て、プラグ前身の調査会社よりマーケティングリサーチを担当。デザイン評価のスペシャリストとして、システム開発・分析を行う。テキストマイニングをはじめ、定量的なアプローチを得意とする。

本郷 哲也
GMOリサーチ&AI株式会社 専務取締役 兼 リサーチトレンドナビ編集長。コンサルティングファームにて12年間、マーケティングとCX(顧客体験)改革を牽引。GMOリサーチ&AI参画後はパネル・営業部門の責任者を歴任し、2022年より現職。2025年からは日本マーケティングリサーチ協会(JMRA)理事も務める。
なぜ、調査会社とデザイン会社が一緒になったのか
本郷:プラグさんが生まれた経緯を、改めて教えていただけますか?
松本:はい。もともとは調査会社とデザイン会社がそれぞれ独立して事業を行っていたのですが、合併以前から「リサーチとデザインを組み合わせたプロジェクト」を一緒に手がけることがありました。

株式会社プラグ リサーチ部部長・リサーチディレクターの松本さん
松本:協業の中で、経営者たちが「単独では出せない価値」を感じていたようです。「リサーチ×デザイン」がまだ注目されていない時期だったからこそ、いち早く踏み込んでいき2014年に合併に至り、プラグになりました。代表の小川は、大手メーカーのマーケティングリサーチ部門の経験もあり、デザインと調査の両方に知見を持っていたことも、この合併を推進した部分だと思います。
本郷:合併前から一緒にプロジェクトを動かしていたとなると、合流するべき運命だったとも言えますね(笑)。
松本:そうかもしれません(笑)。リサーチ業界でも、『デザイン系ならではの視点が面白い』と言っていただくことがあります。
デザイナーと一緒に調査することの価値
本郷:「デザインと調査の融合」は、具体的にどんな部分に差が出てくるのでしょうか?

リサーチトレンドナビ編集長 本郷
松本:大きく4つあります。まず一つ目は、社内人材の多様性です。リサーチャーは事実を積み上げて結論に至るタイプが多い一方で、デザイナーは本質をパッと見抜いて結論から発想する。この左脳と右脳の掛け合わせが、他社にない視点を生みます。
本郷:実際の業務にはどう繋がっていると感じますか?
松本:そこが二つ目の差でして、業務をシームレスにできるんです。例えばコンセプト開発が目的の調査であれば、デザイン部門がキービジュアルを作成して調査に活用する、ということがスムーズにできます。デザインリニューアルであれば、デザイナーが「ブラッシュアップに何が必要か」を明確にした上で、リサーチャーが調査を設計できます。
本郷:デザインと調査を分断させない独自のフローは、確かに重宝されそうですね。
松本:三つ目は調査の質です。文字だけのコンセプトより、しっかり作り込んだビジュアルを見せた方が、生活者から豊かなフィードバックが得られます。特にデザイン評価は20年以上の研究成果もあるので、多角的な分析も可能です。
最後が、アウトプットの範囲です。一般的な調査会社はデザインに関する調査を行っても「こういう方向に改善するといいですよ」と示唆を出して仕事が終わります。
弊社の場合は、その後デザイン部門が実際にデザインを制作し、改良後のデザインが既存より良い結果を得るところまで責任を持って行えます。
本郷:調査の質に対する意識が、自ずと変わってきそうですね。
松本:まさにそうです。リサーチャー側にも「確実にいいデザインが作れる情報を橋渡しする」という意識が生まれ、調査全体の精度を引き上げます。調査とデザインが両方絡むプロジェクトは年々増えています。
1,500万人分の調査データがAIに。CrepoパッケージデザインAIの誕生秘話
本郷:御社が開発されたAI調査ツール「CrepoパッケージデザインAI」は、どのような経緯で生まれたのですか?

CrepoパッケージデザインAI サービスイメージ
松本:実は、最初からAIを作ろうとしていたわけではないんです。もともとは「良いデザインとはどういうものなのか」を知りたいという一心で、世の中の新商品のパッケージデザインを評価し、好意度をランキングする「パッケージデザインランキング」という取り組みを2015年から年2回行っていました。
毎シーズン500〜800品ほどの新商品のデザインを消費者調査で評価していたので、膨大な評価データが蓄積され、ディープラーニングが注目され始めた2017年頃に『このデータを活用すればパッケージデザインの評価ができるAIモデルが構築できるのでは』と考えたんです。
東京大学の教授にもご協力いただきながら、かなり高い精度で評価できるAIが開発できたので、それをサービス化しました。サービス開始後も調査は継続しており、現在は10年以上の調査結果、15,000商品・1,500万人以上のデータをAIに学習しています。
本郷:ランキング作成のためのデータがAIの学習基盤になったというのは、ユニークですね。
松本:そうなんです。生成AIが普及する今、既存の大手サービスを組み合わせてプロダクトを作る企業も多いですが、弊社の強みはこの独自の調査データにあります。過去に戻って消費者調査の結果を得ることはできませんので、他社には真似できない当社のAIの強みです。
本郷:具体的に、AIのツールはどのように活用されているんですか?
松本:今ではデザイン開発の業務プロセスに組み込まれる企業も増えています。例えば、大手化粧品・日用品メーカーでは、どんな新商品でもデザイン案が上がったら必ずCrepo パケージデザインAIで評価してから次の工程に進む、というフローが標準化されています。
消費者調査はコストも日数もかかりますので、以前はデザインが20案あっても全案を調査することはできず、まずブランド担当者が3案に絞り、それを調査にかけていました。当社のAIを使えば、コストも時間も大幅に削減できるので、デザイン候補の全案をデータで評価した上で、絞り込むことができるようになり、デザイン開発の意思決定が、感覚ベースから科学的に下せるようになったんです。また、デザイン案を修正するたびにAIで評価し、検証しながらデザイン開発を効果的に行えるようになっています。
最短1日・AIによる仮想インタビューは、リアルを超えられるか
本郷:2025年に開始されたAIグループインタビューについても教えてください。従来型のグループインタビューと何が根本的に違うのでしょうか?
松本:一言で言えば、参加者はリアルな人間ではなく、AIが生成した仮想ペルソナです。ペルソナに対してインタビューを行い、レポートまで仕上げるサービスです。

松本:最も大きな違いはスピードとコストですね。通常のグループインタビューは、リクルートから実施・レポートまで1.5〜2ヶ月かかりますが、AIなら最短1日。コストも従来の3分の1以下です。
あとは、通常のインタビューは実施後に追加質問があっても、また招集しなければ出来ません。AIであれば後日「この観点はどうか」と追加で質問することも即座にできます。この柔軟性は大きいですね。
本郷:他社にもペルソナAIのサービスがある中で、グループインタビューという形をとっているのは珍しいと感じました。
松本:弊社はもともとグループインタビューを強みとしてきた会社です。その強みを活かせる領域でAIを活用しようとした時に、グループインタビューという形式が自然に出てきました。
他のAIペルソナサービスとの違いは、あらかじめ用意しておいたペルソナを使うのではなく、毎回の調査テーマに合わせてペルソナを複数作り上げる点です。20代グループ、購入者グループといった形で、目的に応じた対象者像をゼロから設計します。
本郷:AIサービスを開発していたとしても、全工程にプロのリサーチャーが関わることにこだわる理由は何でしょうか?
松本:アウトプットに対する「価値」と「責任」の所在が全く異なるからです。事業会社様が自らAIを回して出す結果と、我々のような調査会社が専門知見を掛け合わせて出す結果は、全く異なる価値を持つと思っています。調査とAIの専門知見がないと、AIから価値ある示唆を引き出すことは難しいでしょう。
また、リサーチャーによる考察は、専門家としての分析でありながら、消費者としての視点を代弁するものでもあります。この「専門知見に基づいた、消費者視点の客観性」があるからこそ、クライアントの社内でも納得感のある判断材料として活用していただけるのだと思います。
実際、クライアントの方からも「リサーチャーの分析が入っているから社内を通しやすい」というお声をいただくこともあり、この「責任の担保」こそが、AI単体にはない我々の提供価値だと考えています。
AIが広がる時代に、人間のリサーチャーだからできること
本郷:AIツールが充実していく中で、人間のリサーチャーでなければできないことは、どこにあると考えていますか?
松本:一つ明確なのは「言語化されていない情報の収集」です。データを整理・分析するのはAIも得意ですが、生活者が自ら言語化できないニーズや潜在的な感情を発見するのは、人間のリサーチャーにしかできないと思っています。
例えば、グループインタビューの中での態度変容や、その場の空気感から読み取れること。こうした言語化されない情報は、人が観察するしかありません。
AIグループインタビューとリアルのグループインタビューを比較した時にも感じましたが、消費者一人ひとりの特徴的な生活実態はAIからはなかなか出てきません。AIによるペルソナはウェブ情報を学習しているため、どうしても一般化されてしまう。一方、リアルのインタビューでは、『そんな暮らしをしている人がそういう価値観を持つんだ』という予想外の発見があります。これが商品開発の初期段階でのアイデアの種になる。開発初期フェーズほど、人間によるリサーチの価値は高いと感じています。
本郷:逆に、AIが得意な領域はどこだとお考えですか?
松本:評価予測や需要予測ですね。Crepo パッケージデザインAIのデザイン評価予測はまさにその領域ですし、今後はコンセプトを評価するAIも加わる予定です。学習データが増えるほど精度が上がるので、この領域はAIがどんどん伸びていきます。
社内業務でいうと、データクリーニング、割付の確認、アンケート画面のチェック、集計、報告書作成まで、AIの活用範囲はこの数年で劇的に広がりました。以前は集計表だけでよいというクライアントにも、今はAIで作成した報告書をご提案できるようになっています。スピードと品質のバランスが大きく変わってきたと感じます。
まとめ:デザイン関連の調査はプラグにご相談を

本郷:最後に、調査を依頼しようとしているマーケターに向けて、ぜひプラグに声をかけてほしい場面を教えてください。
松本:まず、デザイン関連の調査はぜひお声がけいただきたいですね。CrepoパッケージデザインAIをはじめとするオリジナルのAIサービスもありますので、他社とは異なる提案ができると思います。
また、形通りの設計やアウトプットではなく、課題解決につながる結果を出すことに力を入れていますので、『こういうことで困っている』という相談ベースのご連絡も大歓迎です。一人のリサーチディレクターが調査の全工程を管理し、クライアントや商品・サービスの背景を理解した上でプロジェクトを進めるので、調査の途中で情報が分断されたり、背景を十分に理解していない担当者が対応することに不安を感じている方は、ぜひ私たちにご相談ください。貴社のマーケティング活動を、リサーチとデザインの両面から強力にサポートします。
株式会社プラグ

1982年設立の調査会社と1989年設立のデザイン会社が、2014年に合併して誕生。「リサーチ×デザイン×AI」を軸に、商品企画・商品開発の全工程を一貫してサポートする。定性・定量調査のほか、コンセプト作成からデザイン作成・デザイン評価など商品企画をサポートするAI「Crepo パッケージデザインAI」、最短1日で完結するAIグループインタビューなど独自サービスを展開。国内外大手消費財メーカーの商品開発支援を数多く手掛けている。
本郷 専務の視点
調査業界において「デザイン×リサーチ」という組み合わせは珍しく、その存在感は業界内でもよく知られています。特に今回の対談を通じて印象的だったのは、AIを積極的に活用しながらも「人間のリサーチャーが全工程に関わる」というスタンスを崩さない点です。調査会社がアウトプットに責任を持つことが、クライアント社内でのデータ活用価値を高めるという視点は、これからの調査業界全体に示唆を与えます。デザインと調査の両方を一体で動かせる会社として、今後さらに存在感を増していく調査会社だと、改めて感じました。
