調査設計から報告書まで1人が伴走。マーケティングアンドアソシェイツが大切にする顧客理解
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1975年の設立以降、街頭調査を原点に事業を広げてきた株式会社マーケティングアンドアソシェイツ(以下、M&A)。現在は、調査設計・分析・報告書作成までを一貫して支援するだけでなく、調査前後のワークショップを通じて課題や仮説を整理する「ファシリサーチ」にも取り組んでいます。その事業展開や支援体制には、顧客との関係性づくりに対する強い想いがありました。今回は同社の高橋隼人 代表取締役社長にリサーチトレンドナビ編集長の本郷が話を伺いました。
- 街頭調査で培った「目的を明確にする設計力」を原点に、Web調査時代も独自の価値を発揮。高橋氏の入社当時と比べて売上10倍以上の成長を達成
- 1人の担当者が調査設計から報告書まで担当。全工程を伴走する体制が顧客との「阿吽の呼吸」を生み出す
- 「ファシリサーチ」は、調査前のワークショップを通じて課題や仮説を整理し、調査設計につなげる同社独自の支援メソッド

高橋 隼人
株式会社マーケティングアンドアソシェイツ 代表取締役社長。JMRA(日本マーケティングリサーチ協会)理事。2002年株式会社マーケティングアンドアソシェイツ入社。2025年より現職。学生時代より同社にて街頭調査・会場調査など数々の現場を経験、生活者のリアルな声に触れたことをきっかけに本格的にリサーチャーとなる。入社後は20年以上にわたり、消費財を中心とした定量・定性調査の設計から分析まで一気通貫して対応。近年は中小企業やスポーツチームのマーケティングサポート活動にも注力している。

本郷 哲也
GMOリサーチ&AI株式会社 専務取締役 兼 リサーチトレンドナビ編集長。コンサルティングファームにて12年間、マーケティングとCX(顧客体験)改革を牽引。GMOリサーチ&AI参画後はパネル・営業部門の責任者を歴任し、2022年より現職。2025年からは日本マーケティングリサーチ協会(JMRA)理事も務める。
「M&Aさん終わったね」と言われた日から、売上10倍の成長へ
本郷:それでは早速、M&Aさんの成り立ちを教えていただけますか?
高橋:Web調査が台頭する2000年頃までは、街頭調査をメイン業務としていた会社です。アルバイトの方が街頭でアンケートを実施し、データを集めるという方法が、当時クイックに調査をする手法として主流でした。特に弊社はオリジナルツールを開発し、街頭調査の結果をその場で端末に入力しすぐ集計できる仕組みを作ったので、広告代理店を中心に活用していただいていました。

株式会社マーケティングアンドアソシェイツ 高橋 隼人 代表取締役社長
本郷:街頭調査が主流だったとなると、Web調査の普及は御社にとって大きな転換点になりましたか?
高橋:それはもう、「M&Aさん終わったね」と言われた時代があったほどです。ところが、当時懇意にしてくださっていたお客様から、Web調査会社の担当者がまだ拙いので、間に入ってほしいというご相談があり、そこから調査企画の設計や分析、レポート作成、提言などに注力するビジネススタイルに変化していきました。
一見すれば、我々が存在しなくても調査が成り立つとも思われます。だからこそ存在価値を高めるために、「我々がいることで、より良い調査を実施できる」「より良い示唆を得られる」という状況を作り出そうと、必死に取り組んできました。
本郷:具体的にはどのような点を大切にされてきましたか。
高橋:「なぜこの調査をする必要があるのか」「この調査を実施してどのようなことに繋げたいのか」という部分をしっかりヒアリングし、深く考えること。そこでお客様の信頼を勝ち得てきたのではないかと思います。そのため、ビジネススタイルを転換してから右肩上がりの成長を続け、私が入社した25年ほど前と比較すると、売上は10倍以上に増えています。
本郷:街頭調査に必要とされる、目的と課題を明確にするスキルが、Web調査時代にも活きたのではないでしょうか。
高橋:そうなんです。この経験が、Web調査においても顧客の意図を汲み取り、質の高い調査を行うための重要な基盤になりました。
ちなみに当時は、アルバイトの方を活かすためにFAのコーディングを各社から受注していましたが、アルバイトの方々が社員になり、今の会社の次世代リーダーに成長してくれています。ケガの功名と言えるかもしれません(笑)。
本郷:そうだったんですね!(笑) 継続して品質を担保するために、現在取り組んでいることはありますか?
高橋:中央大学の酒折准教授とアカデミックアドバイザリー契約を結んでおり、分析手法をブラッシュアップしています。マーケティングにおいて単なる集計データを説明するだけでなく、因果関係を明確にするために回帰分析を利用するなど、よりお客様への説得力を強めるためです。数学の専門家が弊社にいるわけではないので、先生がいることでその分析を自信を持って活用し、提案に繋げることができています。
1人の担当者による一貫支援が生み出す、スムーズな調査と「阿吽の呼吸」

リサーチトレンドナビ編集長 本郷
本郷:「1Jobに対し1人の担当者が全工程を担当する」スタイルを貫いていますね。なぜこの体制にこだわってきたのでしょうか?
高橋:元々、会社として案件を受注するというよりも、メンバーそれぞれがお客様のサポートをするという考え方でご支援してきました。このスタイルには2つメリットがあります。1つは、分業制を取らないので社内での伝言ゲームがなくなり、お客様との齟齬がなくなること。もう1つは、担当リサーチャーの考え方で集計・分析を進められるため、全体工程を圧縮できてスピード感も提供できることです。
本郷:御社のプロフェッショナルな担当者が、それぞれのお客様を支援する体制を継続されているということですね。長く付き合われているお客様とは、どのような関係性を築いていっていますか?
高橋:20年以上のお付き合いがあるお客様もいるのですが、調査の目的や具体的な活用イメージをしっかり把握することを心掛けているので、「この前のような感じで、サクッと調査設計から調査票まで作ってみてもらえますか?」みたいな、「阿吽の呼吸」が醸成されています。
本郷:お客様とそのような関係を築けるのは素晴らしいですね。
高橋:教育体制も以前は職人的でしたが、現在は、相手が何をすれば喜ぶかを考える「想像力」を重要視する評価制度や、相手の意図を汲み取るための「耳を澄ます」というバリューを浸透させています。また、オフラインでのワークショップや懇親会を通じて、お客様とフランクに話し合える環境作りも心掛けています。
本郷:M&Aさんに依頼すれば、かなり近い距離間で協働できそうですね!
「なぜこの調査をするのか」から始める、ファシリサーチという独自メソッド
本郷:御社が独自に開発された「ファシリサーチ」について教えてください。ワークショップで調査のモチベーションを向上する発想は、どこから生まれたのでしょうか?
高橋:コーチングやワークショップを勉強し、資格を持っているメンバーが、私にワークショップの重要性を説明してくれたことから始まりました。
実は以前から、調査結果の報告会でお客様全員が必ずしも結果に興味を示していないケースが散見されており、それはおそらく、マーケティング課題がお客様の中で共通認識されていないことに端を発しているのではないかと。

高橋:そこで「Pre-Workshop」として、調査の設計段階からワークショップ形式でディスカッションし、課題・仮説を共通認識していただく形式にしました。
「例えば自社で素晴らしい商品を作ったので販売していきたい」という、プロダクトアウト型の相談があった場合、どのようなターゲットやニーズに適した商品なのかを、お客様の主要メンバーの中でしっかり議論してから調査を実施することで、より必要な情報と示唆が得られると考えています。
本郷:顧客との「阿吽の呼吸」を大切にされている御社が、顧客のモチベーションを高めるところまで踏み込んで支援するのは、一貫した姿勢があるように感じますね。具体的な事例があれば、詳しく教えていただけますか?
高橋:顧客調査を希望していたGoogleアナリティクスチームに対し、ワークショップを提案した事例が印象的でした。
当初はワークショップに難色を示していたエンジニアチームでしたが、ファシリサーチを通じて会社の強みを共有し、調査項目に反映させることで、結果に対する納得感や自発的な改善案が生まれました。第三者の視点が必要な場面でワークショップを活用することで、組織の一体感にも寄与できていると感じます。
どんな企業・マーケターと一緒に仕事をしたいか
本郷:AIの進化がリサーチ業界を大きく変えようとしている今、高橋様は人が関わることの価値についてはどのようにお考えですか?
高橋:AIは過去の様々な情報を活用しているので、仮説を作ることはできても、最終的に意思決定するのは「人」だと思っています。いくらデータが重要でも、意思決定を担うのは「人」の仕事ではないかと。なのでAIを更に活用し、これまで以上に多くの情報を収集し、取捨選択し、分析して、最終的に「人」の力でその情報の価値を最大化させ、意思決定をしていく方に価値を届けることが、リサーチのビジネスの使命だと考えています。
本郷:顧客との協働を重んじる御社ならではの回答だと思います。最後に、どのようなお客様に問い合わせてほしいか、また逆に御社と相性が合わない案件があれば教えていただけますか?
高橋:「ただ調査結果の情報が欲しい」というお客様であれば、AIで事足りるかもしれません。ですが、数多くある情報を活用し、よりビジネスを発展させたいと考えているお客様であれば、我々が寄り添い、情報価値を最大化させることができると考えています。
リサーチを通じて自ら考え、意志を持ってプロジェクトを進めたいと考えているお客様との親和性が高いので、調査結果を単なるデータとしてではなく、次のアクションに繋げるプロとして認識してくれるお客様と、長く深い関係を築いていきたいと思っています。

株式会社マーケティングアンドアソシェイツについて

1975年設立。街頭調査を原点に、Web調査普及後は調査企画設計・分析・提言に特化したスタイルへ転換。1Jobに対し1人の担当者が設計から報告書作成まで全工程を担う体制が特徴で、20年以上の長期顧客関係も多数。独自メソッド「ファシリサーチ」でワークショップと調査を組み合わせた支援を提供する。2019年より中央大学理工学部数学科・酒折文武准教授とアカデミックアドバイザリー契約を締結し、統計分析の学術的裏付けも強みとする。
本郷 専務の視点
「M&Aさん終わったね」と言われた時代から売上10倍へ。その転換点で高橋さんが選んだのは、「なぜこの調査をするのか」を深く問い直すことでした。1人の担当者が最初から最後まで担う体制も、ファシリサーチという独自メソッドも、根底にあるのは同じ姿勢だと感じます。AIが情報収集を担う時代だからこそ、「人」が何を意思決定したいのかに寄り添うM&Aさんの価値は、むしろ際立っていくのではないでしょうか。
