街頭調査とは?メリット・注意点とおすすめ調査会社6選

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街頭調査とは?メリット・注意点とおすすめ調査会社6選
目次

街頭調査は、調査員が街頭で通行人に声をかけ、アンケートやインタビューに協力してもらう調査手法です。デジタル化が進む現代でも、生活者の声を直接収集できる手法として企業や自治体に活用されています。

本記事では、街頭調査の特徴から実施方法、メリット・注意点、街頭調査に強い調査会社6社まで解説します。

街頭調査:リアルな生活者の声を集める調査手法

街頭調査は、その場にいる一般消費者から直接意見を収集できる調査手法です。テレビの街頭インタビューや雑誌のアンケートなどでも馴染みがあり、商品・サービスの認知度調査から地域活性化の意識調査まで幅広く活用されています。事前にモニターを募集する必要がなく、調査テーマに合致した対象者をその場で選定できる点が特徴です。

街頭調査の特徴と実施方法

街頭調査の主な特徴は、現地でリアルタイムに消費者の声を収集できることです。調査員が特定のエリアに出向き、通行人や来訪者に直接アプローチして回答を得る手法で、その場で回答を回収できるスピード感が魅力です。

実施方法としては、まず調査員が対象者に声をかけ、調査の趣旨と所要時間を説明します。協力が得られた場合、紙のアンケート用紙やタブレット端末を使用して質問に回答してもらいます。最近では、QRコードを配布して後からスマートフォンで回答してもらう方法も増えています。

調査場所は、駅前、商業施設の出入口、繁華街の歩行者天国、公園、イベント会場など多岐にわたります。ただし、実施場所によっては事前の許可申請が必要となるため、計画的な準備が欠かせません。

街頭調査が効果的に活用できる場面

街頭調査が特に効果を発揮するのは、実物の商品やサービスを実際に見たり試したりして評価してもらう場面です。新商品の試食・試飲調査、サンプリングを兼ねたプロモーション調査などがその典型例です。

また、特定の地域や施設に関する意識調査にも適しています。商店街の活性化に向けた来街者の意見収集、新しくオープンした施設の利用者満足度調査、観光地における外国人旅行者の不便な点の把握など、その場所に実際に来ている人の声を集めたい場合に有効です。

イベント来場者への満足度調査や、地域住民の生活実態調査など、ターゲットが明確で、かつその場所に集まることが予想される調査にも向いています。回答者にとってもその場で短時間で終わるため、協力を得やすいという利点があります。

ネットリサーチや会場調査など他の手法との使い分け

街頭調査とネットリサーチでは、それぞれ異なる強みがあります。ネットリサーチは大量のサンプルを低コストで集められる一方、調査パネル登録者に偏りがちです。街頭調査は、普段アンケートに答えない層からも意見を収集でき、より幅広い生活者の声を反映できます。

会場調査(CLT)と比較すると、街頭調査は会場の手配が不要で、実際の購買行動が起こる現場で調査できる利点があります。一方、会場調査は落ち着いた環境で詳細な質問ができ、商品の試用なども可能です。

訪問調査と比べると、街頭調査は効率的に多くの人にアプローチできますが、深い内容の質問には不向きです。調査の目的、予算、必要なサンプル数、質問の内容などを総合的に判断して、最適な手法を選択することが重要です。

街頭調査を実施する前の準備と手順

街頭調査を実施する前の準備と手順

街頭調査を成功させるには、事前準備が必要です。調査目的の明確化から実施当日の運営まで、各段階での適切な準備が調査の成功に影響します。初めて街頭調査を行う場合は、準備段階で見落としがちなポイントも多いため、体系的な準備プロセスを理解しておくことが重要です。

調査目的の明確化と対象者の設定方法

街頭調査を実施する前に、まず何を明らかにしたいのか、調査目的を明確に定める必要があります。「新商品の認知度を測りたい」「地域イベントの満足度を把握したい」「観光客の消費動向を知りたい」など、具体的な目的を設定します。

対象者の設定では、年齢層、性別、職業、居住地などの条件を決めます。街頭調査の利点は、調査員が外見や状況から対象者をある程度選別できることです。「小学生の子ども連れの家族」「20代の女性」「スーツを着たビジネスパーソン」など、外見から判断できる条件であれば、効率的にターゲットを絞り込めます。

ただし、あまりに細かい条件設定は現場での判断を困難にします。「年収500万円以上の30代男性」といった、外見では判断できない条件は避け、必要に応じてスクリーニング質問を設けるなどの工夫が必要です。

実施場所の選定と必要な許可申請の進め方

調査場所の選定は重要なポイントです。人通りが多い場所を選ぶだけでなく、調査目的とターゲット層に合致した場所を選ぶ必要があります。

公道で街頭調査を行う場合は、警察署への道路使用許可申請が必要です。申請は実施予定日の2週間から1か月前には開始し、調査場所、日時、内容、安全対策などを説明します。近年、都心部では許可が厳しくなっており、商業目的の調査では許可が下りないケースも増えています。

道路使用許可が得られない場合は、私有地での実施を検討します。駅構内なら鉄道会社、商業施設なら施設管理者、公園なら自治体への許可申請が必要です。これらの場所は公道より許可を得やすいケースが多く、代替案として有効です。

効果的な質問票の作成と回答時間の設計

街頭調査では、通行人の貴重な時間をいただくため、質問票は簡潔で答えやすいものにする必要があります。理想的な回答時間は1~3分程度で、長くても5分以内に収めることが重要です。

質問数は最小限に絞り、A4用紙1枚(片面)程度に収まる範囲が理想的です。質問形式は選択式を中心とし、自由記述は必要最小限に留めます。深く考えないと答えられない質問は避け、直感的に回答できる内容にします。

また、個人情報に関する質問は最小限にし、匿名での回答を基本とすることで、回答者の心理的負担を軽減できます。質問の順序も重要で、答えやすい質問から始めて、徐々に核心的な質問に移行する構成が効果的です。

調査員の手配と当日の運営体制づくり

調査員の選定と教育は重要です。清潔感があり、コミュニケーション能力の高い人材を選び、事前に研修を行います。

調査員には、調査の目的と内容、声かけの方法、回答記録の手順、トラブル時の対応などを説明します。声かけの第一印象が協力率に影響するため、ロールプレイングなどを通じて練習することが重要です。

当日の運営体制では、現場責任者を配置し、調査員のサポートやトラブル対応にあたります。また、天候不順に備えた予備日の設定、調査用具の準備、回答者への謝礼品の手配など、細部まで計画を立てておくことが成功への鍵となります。

街頭調査の4つのメリットと価値

街頭調査の4つのメリットと価値

街頭調査には、他の調査手法にはない独自のメリットがあります。デジタル化が進む現代においても、対面での調査ならではの価値は高く評価されています。ここでは、街頭調査が持つ4つの主要なメリットについて、実践的な観点から詳しく解説します。

その場で完結するスピード感と即時性の価値

街頭調査のメリットは、調査から回答回収まですべて現地で完結することです。郵送調査のような返送待ちの時間や、ネット調査でのリマインドメールの必要もありません。

調査員が直接回答を記録するため、その日のうちにデータを確認でき、必要に応じて翌日から調査方法を修正することも可能です。タブレット端末を使用すれば、リアルタイムでデータを集計し、調査の進捗状況を把握できます。

このスピード感は、商品の発売直後の反応を知りたい場合や、イベントの来場者満足度を即座に把握したい場合など、タイムリーな情報収集が求められる場面で特に価値を発揮します。結果を即座に経営判断やマーケティング施策に反映できるため、ビジネスのスピード化に貢献します。

狙った属性の人に直接アプローチできる強み

街頭調査では、調査員が目視で対象者を選別できるため、狙った属性の人にピンポイントでアプローチできます。年齢層や性別、家族構成などを外見から判断し、調査目的に合致した人だけに声をかけることが可能です。

例えば、子育て世代向けの商品調査であれば、ベビーカーを押している人や小さな子どもを連れた人に限定してアプローチできます。シニア向けサービスの調査なら、高齢者が多く集まる場所や時間帯を選んで実施できます。

この選別機能により、無駄なスクリーニングを省略でき、効率的にターゲット層の意見を収集できます。ネット調査では事前のスクリーニングが必要ですが、街頭調査なら現場の判断で柔軟に対応できる点が大きな強みです。

特定地域に来る人の生の声を集められる利点

街頭調査は、特定の地域やエリアに実際に来ている人の声を集められる手法です。商店街の来街者、観光地の訪問者、イベント参加者など、その場所に物理的に存在する人だけを対象にできます。

地域密着型のビジネスやエリアマーケティングを展開する企業にとって、この特性は重要です。例えば、新店舗の出店を検討している場合、候補地周辺での街頭調査により、実際の通行人の属性や購買意欲を把握できます。

また、地域イベントの効果測定や、観光地のサービス改善など、場所に紐づいた調査には街頭調査が最適です。ネット調査で地域を限定することは可能ですが、実際にその場所を利用している人の生の声には及びません。

対面だからこそ得られる質の高い回答データ

対面での調査は、回答の質と信頼性を高める効果があります。調査員が直接説明することで、質問の意図を正確に伝えられ、誤解による不適切な回答を防げます。

また、回答者の表情や反応を観察できるため、回答の真意を読み取りやすく、必要に応じて追加質問で深掘りすることも可能です。対面のコミュニケーションにより、回答者も真剣に答えようという意識が高まり、いい加減な回答が減少します。

さらに、商品の実物を見せながら質問したり、その場で試食・試飲してもらったりすることで、より具体的で実感のこもった回答を得られます。このような五感を活用した調査は、街頭調査ならではの価値といえます。

街頭調査で失敗しないための注意点と対策

街頭調査には多くのメリットがある一方で、実施上の制約や注意点も存在します。これらの課題を事前に理解し、適切な対策を講じることで、調査の成功率を大幅に向上させることができます。ここでは、街頭調査でよくある失敗とその対策について詳しく解説します。

質問数と回答時間の制約への具体的な対応方法

街頭調査の制約は、回答時間が限られることです。通行人を長時間拘束することは困難であり、協力を得られても数分程度が限界です。

この制約に対応するには、質問を絞り込む必要があります。「nice to have」ではなく「must have」の質問だけに限定し、優先順位の低い項目は削除します。また、複雑な質問は事前に選択肢を用意し、回答者の負担を最小限にします。

時間短縮のテクニックとして、回答カードを用意して番号で答えてもらう、視覚的なスケール(笑顔マークなど)を使用する、などの工夫も有効です。調査員の説明時間も含めて全体で3分以内を目標とし、事前にストップウォッチで計測しておくことをお勧めします。

場所や時間帯による結果の偏りを防ぐテクニック

街頭調査では、実施場所や時間帯によって回答者の属性が偏る可能性があります。平日昼間の繁華街では主婦や高齢者が中心となり、ビジネス街では会社員が大半を占めます。

偏りを防ぐには、複数の場所や時間帯で調査を実施し、データを組み合わせる必要があります。例えば、平日と休日、朝昼晩の異なる時間帯、駅前と住宅街など、バリエーションを持たせて実施します。

また、回答者の属性を記録し、後から統計的な補正を行うことも重要です。年齢、性別、職業などの基本属性を必ず聞き、母集団の構成比に合わせてウェイトバック集計を行うことで、偏りを調整できます。

警察許可や施設許可の取得における重要な留意点

道路使用許可の取得は、地域によって難易度が異なります。都心部では、商業目的の調査への許可が厳しくなっています。

許可申請では、公益性や必要性を説明することが重要です。単なる商品PRではなく、地域活性化や社会課題解決につながる調査であることをアピールします。また、安全対策や通行の妨げにならない配置図を作成し、誠実な姿勢を示すことが許可取得への近道です。

許可が下りない場合の代替案も事前に検討しておきます。駅構内、商業施設の敷地、公園など、私有地や管理地での実施を視野に入れ、複数の選択肢を用意しておくことで、調査計画の頓挫を防げます。

調査員のスキル向上と協力率を高める実践的な工夫

調査員の対応次第で、協力率は変動します。第一印象を良くするため、清潔感のある服装、明るい表情、丁寧な言葉遣いを徹底します。

声かけの際は、「1分だけお時間いただけますか」と具体的な所要時間を伝え、調査テーマも簡潔に説明します。相手の状況を見極め、急いでいる人には声をかけない、待ち合わせ中の人を狙うなど、タイミングを計ることも重要です。

協力率を高める工夫として、調査員の身分を明確にする腕章や名札の着用、企業ロゴ入りのビブスの着用などが効果的です。また、小さな謝礼品(ポケットティッシュ、ボールペンなど)を用意することで、協力へのハードルを下げることができます。

街頭調査に強いおすすめ調査会社6選

街頭調査を自社で実施することが困難な場合、専門の調査会社に依頼することで、効率的かつ確実に調査を実施できます。ここでは、街頭調査に強みを持つ6社を紹介します。各社の特徴を理解し、自社のニーズに最適な会社を選ぶことが成功の鍵となります。

株式会社日本リサーチセンター:60年以上の実績と海外ネットワーク

日本リサーチセンター

参照元:株式会社日本リサーチセンター

日本リサーチセンター(NRC)は1960年設立の老舗調査会社で、官公庁や大学などの公的機関からの信頼も厚い企業です。伝統的なオフライン調査の全国ネットワークを保有し、日本全国での質の高いフィールド調査を実施できます。

同社の強みは、世界70か国以上での調査を実施できるグローバルネットワークです。海外での街頭調査にも対応可能で、60か国以上の調査機関と連携実績があります。訪日外国人調査や海外市場調査など、国際的な案件に強みを発揮します。

公的機関の調査実績が豊富なため、調査設計の精度や信頼性は高く、世論調査や学術調査の経験も調査品質の向上に活かされています。地方自治体や研究機関からの依頼にも適しています。

株式会社ネオマーケティング:調査からマーケティング施策まで一貫サポート

株式会社ネオマーケティング

参照元: 株式会社ネオマーケティング

ネオマーケティングは、国内最大級の約2,889万人のアンケートモニターパネルを有し、累計4万件以上のプロジェクト実績を持つ総合マーケティング支援会社です。

同社の特徴は、調査データの提供に留まらず、その後のマーケティング戦略立案やプロモーション支援まで一貫して対応できることです。調査結果を商品開発やPR施策に活かすところまでサポートしてもらえるため、調査後の活用に不安がある企業にとって心強いパートナーとなります。

国内外の街頭調査に対応しており、特にアジア圏でのネットワークが強固です。3,000社以上の取引実績があり、幅広い業界のノウハウを蓄積している点も強みです。

シーエスジー株式会社:海外調査の一環として街頭調査に対応

シーエスジー株式会社

参照元: シーエスジー株式会社

シーエスジー(CSG)は、海外市場調査に特化した専門性の高い調査会社です。世界150か国に在住する経験豊富な日本人リサーチャーのネットワークを活用し、各国での街頭調査を実施できます。

海外の店頭調査に豊富な実績があり、商品価格調査、販促展開の確認、現地消費者へのヒアリングなど、海外市場参入前の情報収集に強みを持ちます。現地在住の日本人が調査を行うため、日本企業の意図を正確に理解した上で、質の高い定性情報を収集できます。

少数精鋭の専門家集団であるため、依頼主のニーズに合わせた柔軟な対応が可能です。海外展開を検討している企業にとって、信頼できるパートナーとなるでしょう。

日本インフォメーション株式会社:タブレット活用と全国対応の実施力

日本インフォメーション株式会社

参照元: 日本インフォメーション株式会社

日本インフォメーションは、街頭調査の実務ノウハウを豊富に保有する調査会社です。全国の主要都市に現地調査員を配置し、渋谷・銀座・表参道などでの許可取得経験も豊富です。

同社の強みは、タブレット端末を活用したデータ収集システムです。回答データをリアルタイムで集計でき、ロジックチェックによる品質管理も可能です。また、QRコード配布による回答収集にも対応し、大量サンプルの効率的な収集を実現します。

イオングループの実店舗での調査実施が可能なコネクションを持ち、消費財メーカーや小売業の調査に強みがあります。英語・中国語対応の調査員も在籍し、インバウンド調査にも対応可能です。

株式会社市場開発研究所:少数精鋭による柔軟でスピーディーな対応

株式会社市場開発研究所

参照元: 株式会社市場開発研究所

市場開発研究所は1968年設立の歴史ある調査会社で、少数精鋭ならではの機動力と柔軟性が特徴です。街頭調査、店頭調査、駅頭調査など、各種フィールド調査に対応しています。

同社の強みは「営業窓口=リサーチャー」体制です。調査設計から報告書作成まで専任担当者が一貫して対応するため、コミュニケーションロスがなく、依頼主の意図を細部まで反映した調査が可能です。

緊急案件や短納期の調査にも柔軟に対応でき、「来週中に結果が欲しい」といったタイトなスケジュールにも応えられます。中小規模の案件でも丁寧に対応してもらえる点が評価されています。

株式会社クロス・マーケティング:大規模調査の実績が豊富

株式会社クロス・マーケティング

参照元: 株式会社クロス・マーケティング

クロス・マーケティングは東証プライム上場企業グループの大手調査会社で、約1,285万件の自社アンケートパネルを保有しています。年間1万件以上の調査実績があり、企業・官公庁・大学など幅広いクライアントを持ちます。

街頭調査だけでなく、店頭面接調査、来店客CLTなど、小売・商業施設向けの現場調査メニューが充実しています。500人以上のフィールド要員を擁し、大規模な街頭調査にも対応可能です。

公的統計調査の実績も豊富で、調査設計やデータ品質管理のレベルが高いことが特徴です。セルフ型アンケートツール「QiQUMO」も提供しており、予算に応じた柔軟なプランを選択できます。

まとめ:自社の目的に合わせた街頭調査の活用を

街頭調査は、生活者の声を直接収集できる調査手法です。デジタル化が進む現代でも、対面調査ならではの価値は高く、特定の地域やターゲット層の意見を効率的に収集したい場合には適した選択肢となります。成功のポイントは、調査目的の設定、適切な場所と対象者の選定、簡潔な質問票の作成、そして経験豊富な調査会社との連携です。本記事で紹介した6社はそれぞれ異なる強みを持っているため、自社のニーズに合ったパートナーを選び、効果的な街頭調査を実現してください。

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