ホームユーステストとは?メリット・実施手順・費用相場と商品改善につなげる会社選び

「商品は悪くないはずなのに、なぜか売れない」「ユーザーのリアルな声をもっと知りたい」そんな悩みを感じたことはありませんか?
売れない理由が数字に表れにくいとき、ヒントは「生活者が実際どのように商品を使っているか」と「企業側が想定している商品の使い方」の違いに隠れていることがあります。
ホームユーステストは、実際の生活環境で商品を使ってもらい、リアルな感想や気づきを引き出す調査手法です。ユーザー視点での商品改善や訴求の見直しに役立つヒントを得ることができます。
この記事では、ホームユーステストの特徴や活用メリット、導入時のポイントについて詳しく解説しています。
ホームユーステストとは?商品開発にリアルな声を届ける調査手法

- 参加者の自宅で商品を実際に使ってもらい、その使用感や評価を収集する調査手法
- 生活環境に即したリアルな使用感や継続的なフィードバックが得られる
- 食品・化粧品・日用品・家電など、家庭で使う商品に適している
- モニターの選定・謝礼設計・情報管理など、実施には細やかな配慮と準備が必要
ホームユーステスト(HUT)とは、商品やサービスを調査対象者に自宅で一定期間使用してもらい、その使用感や意見を収集する調査手法のことです。
特定の場所ではなく「家庭」という調査対象者にとって自然な環境で商品やサービスのテストを実施することで、実際の生活に近い使用状況における評価や課題の把握が可能です。
ホームユーステストは、特に「発売したが売れ行きが伸びない」「顧客満足度が上がらない」といった課題を抱える企業にとって、生活者が実際に使って感じたことを把握できる貴重な調査手段といえます。
例えば商品開発担当者が自社の商品を「問題ない」と考えていても、実際には使用時のちょっとした手間や言語化しにくい「なんとなく気になる点」が、購入や継続利用の妨げになっていることがあります。
こうしたアンケートでは捉えにくいユーザーの「違和感」や「使用時のつまずき」を、ホームユーステストを行い生活シーンごとに明らかにすることで、改善の方向性をより具体的に定めることができます。
ホームユーステストの対象となる製品は?適した製品ジャンルを知ろう
- 一定期間使用しないと評価しにくい製品に適している
- 家庭内で日常的に使われることが前提の製品が対象
- 香りや感触など、使用感が重要な製品に向いている
- 使用後の変化や効果を測定したい製品に適している
ホームユーステストに適しているのは、「実生活の中で継続して使うことで初めて評価できる製品」です。
例えば青汁やサプリメントなどの健康食品は、体調の変化や効果の実感がゆっくり現れるため、数日から数週間にわたる連続使用と継続的なモニタリングが必要です。
また、化粧水やボディソープなどのスキンケア製品も、使用する人の生活習慣や時間帯、入浴環境によって感じ方が大きく左右されるため、家庭で使うことでよりリアルな評価が得られます。
このように家庭内での利用を通して得られるフィードバックこそが、ホームユーステストの大きな価値といえます。
さらに、日用品やペット用品のように、ユーザーの生活リズムや家族構成、ペットの種類などに応じて使用状況が大きく変化する製品も、ホームユーステストに適しています。
こうした製品は、会場での一律な条件下では見落とされがちな日常の使い勝手や違和感がホームユーステストを行うことによって顕在化しやすく、実際の生活場面に根ざした具体的な改善ポイントを把握しやすくなります。
ホームユーステストを行うべきシチュエーション一覧
シチュエーション | 目的 | HUTの活用メリット |
---|---|---|
新商品発売前の使用感検証 | 市場投入前にリアルな評価を得る | 生活環境下での第一印象や不便さを把握できる |
既存商品のリニューアル検討時 | 改善ポイントを特定する | 継続使用による違和感や満足度の変化を確認できる |
パッケージや説明書の検証 | 訴求内容が正しく伝わっているかを確認 | 「実際にどう使われているか」が把握できる |
広告・販促メッセージの再構築時 | ユーザー目線の表現を見つける | 訴求力のある表現や共感ポイントを抽出できる |
ホームユーステストは、「商品がなんとなく売れない」「ユーザーの満足度が伸びない」といった、表面的なデータでは説明しきれない違和感を抱えたタイミングで特に効果を発揮します。
例えば発売前の商品であれば、ホームユーステストを通じて、ユーザーが実際に手に取ったときの印象や、使い始めたときの戸惑いといったリアルな反応を確認できます。
「思ったより重たい」「開封しづらい」といった細かな不満や気づきは、企業が想定していた使用イメージと異なる点を浮き彫りにする重要なヒントになります。
また、既存商品の改善を検討する際にも、ホームユーステストのように一定期間使ってもらう調査だからこそ得られる気づきがあります。
日常生活の中で繰り返し使用されることで、「最初は気にならなかったが徐々に不満に感じる点」や「使い続けてわかる違和感」といった、時間とともに現れる課題を把握しやすくなるためです。
このようにホームユーステストは、単に好感度を測るだけの表面的な調査ではありません。
企業の「こうしたら使いやすいだろう」という想定と、ユーザーの「もっとこうしてほしい」というニーズとの間に生じる齟齬や解釈の違いを明らかにできる点が特徴です。
生活者の受け取り方まで踏まえて改善点を探れるホームユーステストは、マーケティング施策の見直しや訴求軸の再設計に直接つながる、実践的な調査手法といえます。
ホームユーステストを行うメリットとデメリットとは?

項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
リアルな使用状況 | 生活環境に即した自然なフィードバックが得られる | 条件を統一しづらく、比較が難しい場合がある |
長期的な評価 | 継続使用による効果や満足度を確認できる | 調査期間が長く、進行管理の負担が増える |
コスト | 会場費や交通費が不要で比較的低コスト | 配送・回収など個別対応にコストがかかることも |
モチベーション | 謝礼設計で参加意欲を高めやすい | 意欲の差で回答の質にばらつきが出やすい |
情報の質 | 使用中の気づきなど率直な感想を得やすい | モニター任せになるため、情報精度にばらつきがある |
ホームユーステストは、会場調査やWebアンケートといった一時的・画一的な手法と比べて、実生活に即したリアルな評価が得られる点で魅力的な調査手法です。
家庭で使う商品やサービスを、消費者が実際の生活環境で使用することによって、「気づかなかった使いにくさ」や「思わぬ使用シーン」などの具体的な利用実態や改善のヒントを得やすくなります。
その一方でモニターがそれぞれ異なる生活環境で製品を使うため、収集される情報にばらつきが出やすく、比較や分析が難しくなる場合があることには注意が必要です。
また、調査期間が長くなることで、進行管理の手間が増し、参加者のモチベーション維持も課題となりやすい側面もあります。
そのため、ホームユーステストの実施にあたっては調査設計や謝礼設計など、きめ細やかな配慮が欠かせません。
この章では、ホームユーステストのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
顧客の本音が戦略になる|ホームユーステストのメリットとは?
- ターゲット層の暮らしや使い方の背景を踏まえたリアルな評価が得られる
- ユーザー視点で、製品の本当の魅力や訴求ポイントを再発見できる
- コミュニケーション施策(広告・コピー)の改善点が明確になる
- 使用シーンに応じたペルソナ設計やカスタマージャーニーに反映できる
ホームユーステストの最大の魅力は、生活者視点からの「使ってみた本音」をマーケティングに直接活かせる点にあります。
ホームユーステストをおこなうことで得られるユーザーからのフィードバックは、広告コピーの再構築やWebサイトの導線改善、パッケージの文言見直しや販促資料の改善の役に立ちます。具体的には、ユーザーが実際に製品をどのように認識し、どんな場面で使うのかが明確になるため、従来の仮説に頼ったアプローチでは見逃していた新たな価値提案を発見できる効果があります。
このように有用なユーザーの声を得るには、調査設計が重要です。質問の組み立てやモニターの選定を丁寧に行うことで、本音や気づきを引き出しやすくなります。
想定通りにいかないことも?ホームユーステストのデメリットとリスク
ホームユーステストの最大のデメリットは、モニターの生活環境や使用状況が統一できない点にあります。
モニターごとに使い方や使用場面が異なるため、企業側が一律の条件で評価を管理することが難しく、得られた結果にばらつきが生じやすくなります。
その結果として、明確な傾向や課題が抽出しづらく、改善ポイントの特定に時間がかかることがあります。
また、謝礼を目的に参加した一部のモニターが、内容の薄い形式的な回答を返すケースもあります。こうした回答が混在すると調査結果の信頼性が低下し、改善策の判断材料として不十分になるおそれがあります。
このような状況を放置したままホームユーステストを進めると、「調査を実施したのに得るものがなかった」「社内で結果を活用できない」といった事態を招き、意思決定の遅れや施策の空回り、さらには投資対効果の低下につながる可能性があります。
これらのリスクを回避するには、モニターの選定精度やスクリーニングの質を高めるとともに、調査設計を自社の課題や目的に最適化することが重要です。
自社でホームユーステストの実施が難しい場合には、専門の調査会社に委託するのが一般的かつ有効な選択肢です。
選ぶならどこが良い?主要4社のホームユーステストサービスを徹底比較
会社名 | 主なサービス内容 | この会社の優位性 | おすすめな人 |
---|---|---|---|
日本インフォメーション | 高度な知識と豊富な経験を持つリサーチャーが、最適な調査企画を立案。 | 年間約200件ほど調査から得たノウハウを元にマーケティング課題に最適な調査を提供。 | 調査課題の相談から総合的に調査管理を任せたい企業 |
RJCリサーチ | HUT+グループインタビュー対応。紙/WEB回収両対応。詳細レポート作成。 | グループインタビューとの組み合わせが可能。丁寧な調査設計。 | 初めてホームユーステストを実施する企業や、総合的な調査を求める担当者 |
マクロミル(SampleMill) | 年間350件以上の実績。写真調査との連携も可能。 | サンプル品の回収率100%実績。冷蔵・冷凍品にも対応。 | 食品や日用品など、確実な運用と回収を重視する企業 |
ユニーリサーチ(unii) | セルフ型HUT。最短即日実施、低価格・短納期。 | 初期費用0円。謝礼も自動送付。柔軟で迅速な対応が可能。 | コストを抑えてPoCや初期検証をスピーディに進めたい企業 |
ホームユーステストは、調査対象・調査設計・回収方法・分析レベルなどの違いによって、提供会社ごとにサービスの構成や強みが大きく異なります。
この章では、上記4社の特徴について詳しく解説します。
日本インフォメーション株式会社|経験豊富なリサーチのプロが多数在籍

参照元: 日本インフォメーション株式会社
日本インフォメーション株式会社は幅広いジャンルの調査に対応できる人材と体制を持っており、自社の課題が見えていない企業の相談先として最適な調査会社です。
消費財メーカー(飲料・食品・お菓子・化粧品・日用品 等)から、年間約200件ほどの依頼を受けホームユーステストを実施しています。豊富な経験から得たノウハウでテスト品の発送、回収を徹底管理し、テスト品の回収はほぼ100%。
テスト品の状態が正確に保たれたままユーザーに届き、確実に回収される体制は極めて重要です。
蓄積された多くのナレッジを基に、調査課題に沿った最適なリサーチをデザインすることが可能です。調査設計からテスト品の発送・回収、調査結果のレポートまですべて任せられるため、相談先に迷った際には、心強い選択肢となるでしょう。
RJCリサーチ|初めてのホームユーステストに安心感。丁寧な調査設計が魅力

参照元: 株式会社RJCリサーチ
RJCリサーチは、蓄積したノウハウと、きめ細やかな対象者管理により、正しい方法でテスト品が試用されるようにコントロールします。
RJCリサーチの調査報告は質問内容を一覧にしたラベル対応表と、全回答データを集計したExcel形式のため、ピボットテーブルを使って集計したり、データを加工して集計ツールへ取り込むことも容易です。
また、質問ごとの回答結果を集計して調査結果の速報データとして、全体結果を把握するのに有効です。
単一商品のみならず、複数の商品を扱う企業にとっては、商品を比較しながら試用して、評価してもらえる調査を実践できる調査会社として有益な選択肢になるはずです。
マクロミル(SampleMill)|食品や日用品に強み。回収率100%の安心運用

参照元: 株式会社マクロミル
マクロミル(SampleMill)は、食品や日用品などの現物サンプルを用いたホームユーステストに特化した体制を整えている、大手のマーケティングリサーチ会社です。
特に、冷蔵・冷凍が必要な商品など、温度管理や配送タイミングに注意が必要な商材でも、適切な物流オペレーションを通じて高い回収率を実現している点が大きな強みです。
またマクロミルは年間350件以上のホームユーステストを実施しており、サンプルの配布から回収、さらにはデータクリーニングや納品後の対応までを一括で任せられる「抜けのない進行体制」を評価する企業も多く存在します。
マクロミルのSampleMillは、“確実性”を重視する企業にとって、信頼できるパートナーとして選ばれています。
ユニーリサーチ(unii)|スピード×コストで選ぶなら。セルフ型HUTの決定版

参照元: ユニーリサーチ(unii)
ユニーリサーチ(unii)は、「自社で手軽に始められる」セルフ型のホームユーステストに特化したサービスを提供しています。
ユニーリサーチの最大の特長は、初期費用がかからず、モニターの募集・スクリーニング・調査配信・謝礼送付までをすべてオンライン上で完結できる点にあります。自社内で調査設計が整ってさえいれば、申込から最短で当日中にテストを開始できる即応性の高さが魅力です。
「とにかく早く反応が欲しい」「検証したい施策が複数あるが、リソースが足りない」といったスタートアップや少人数マーケティングチームにとって大きな武器になります。
スクリーニングは最大10問まで設定可能で、年代・性別・居住地などの基本属性と掛け合わせることで、ニッチなターゲット層へのアプローチもできます。
「時間もコストも限られているが、今すぐ“リアルな声”がほしい」──そんな現場の悩みに、ユニーリサーチはフィットします。テストマーケティングの最初の一歩として、非常に有効な選択肢といえるでしょう。
ホームユーステストの費用は?|どこにいくらかかる?ホームユーステストの調査費用を構成する主な項目と、それぞれの内容についての解説です。
モニター募集・管理費 | ターゲットとなる消費者層から適切なモニターを選定・スクリーニングし、テスト期間中の連絡・フォロー・トラブル対応などを行うための費用です。募集媒体の使用料や、謝礼の管理なども含まれます。 |
---|---|
テスト商品配送・回収費 | テストに使用する商品の梱包・発送・返送にかかるコストです。モニターの手元に正確なタイミングで届くよう、配送管理にも人手と費用が発生します。 |
謝礼・インセンティブ費用 | モニターへの協力のお礼として支払う謝礼金や、ポイント、ギフトなどのインセンティブが含まれます。協力度合いや調査内容によって変動します。 |
アンケート設計・回収・分析費 | 調査目的に合致した設問の設計、回答の回収、データのクリーニング、統計分析、報告書作成に至るまでの一連の作業にかかる費用です。 |
ディレクション・進行管理費 | 全体の調査設計からスケジュール管理、各工程の調整・確認作業など、プロジェクトを円滑に進めるための管理費です。 |
これらの費用は、調査の規模やモニター数、調査期間、対象商品の特性などに応じて変動します。具体的な見積もりは、調査目的に応じた個別相談が必要です。
選び方で結果が変わる!ホームユーステスト会社選びの5つの注意点
- 自社の目的に合った調査設計・支援体制があるかを確認する
- モニターの質とスクリーニング精度に注目する
- 納期・柔軟性・対応スピードが期待に応えられるかをチェックする
- データ分析やレポート出力のレベル・内容を事前に把握する
- コスト構造が明確で、見積りに含まれる範囲が分かりやすいかを見る
調査会社を選ぶ際に最も重要なのは「何を目的に実施するのか」「どんな結果を社内に共有したいのか」を明確にし、それに合った調査設計やサポートができる会社を選ぶことです。
調査目的や解決したい課題を深く理解し、それに沿って調査設計からレポート作成まで対応してくれるかを確認します。
テスト品の回収が必要な場合は、回収方法や過去の回収率の実績をチェックし、高い回収率を維持できる体制があるかを見極める必要があります。
テストに必要な備品の準備を代行してもらえるかどうかも、担当者の負担を軽減する上で重要なポイントです。
また、適切なモニターをリクルートし、調査期間中にしっかりコントロールできる会社であれば、信頼性の高いデータが得られます。モニターパネルの質やスクリーニング方法、調査中のフォローアップ体制、不正回答への対策なども、あわせて確認しておきましょう。
こうした点に注意しながら、ホームユーステストを成功に導ける最適なパートナーを見つけることが大切です。
ホームユーステストを「ただ実施する」ではなく、「どう活用するか」を見越してパートナーを選ぶことで、費用対効果の高い調査につながります。モニター選定や謝礼設定なども会社ごとに方針が異なるため、自社の商材やターゲットに合うかどうかを判断基準に加えることもポイントです。
ホームユーステスト導入前に知っておきたい要点まとめ
- ホームユーステストは生活者の“リアルな声”を可視化できる調査手法
- 会場調査やWeb調査では捉えにくい、継続使用での違和感を拾える
- 使用シーンや家庭環境に左右されるため、設計には工夫が必要
- 目的にあわせて調査会社を選ぶことが重要
この記事では、ホームユーステストの特徴やメリット、実施にあたっての注意点をまとめてきました。
「売れない理由がわからない」「生活者のリアルな声を商品開発に活かしたい」と感じているなら、ホームユーステストは非常に有効な手法です。実際の生活環境で使ってもらうことで、使用時のリアルな課題や改善点を把握できるからです。
まずは調査の目的を整理したうえで、自社の課題解決に合った調査ノウハウと実績を持つパートナーを選ぶことが重要です。