ペルソナマーケティング完全ガイド｜設定方法・メリット・具体例・調査会社8社比較

顧客の心をつかむためには、商品やサービスを「誰に向けて」届けるのか明確にする必要があります。そこで役立つのが、顧客像を具体的に構築する「ペルソナマーケティング」です。

ペルソナを設定すれば、広告やコンテンツの方向性がぶれず、商品開発や施策の精度も大きく向上します。

この記事では、ペルソナマーケティングの基礎から設定手順、部門別の活用方法、注意点などを詳しく解説します。

ペルソナマーケティングとは

ペルソナマーケティングとは、商品やサービスの典型的な顧客像を「ペルソナ」として具体的に設定し、その人物が最も満足するような施策を展開するマーケティング手法です。

「ペルソナ（persona）」は、もともとラテン語で仮面・人格を意味し、心理学の概念として使われていた言葉が、やがてビジネス領域でも使われるようになりました。

マーケティングでは、架空ながらも現実味のある典型的なユーザー像を作り上げて、より精度の高い戦略立案につなげます。

ペルソナマーケティングのメリット

ペルソナマーケティングは、仮想の顧客像をより詳細に設定し、その人物が求める価値や解決したい課題を明確にしたうえで戦略を立てる手法です。

情報があふれる現代では、顧客理解を深めることでより訴求力の高い戦略を立てられます。ペルソナを具体的に描けば、日常生活の中で何を必要としているのか、どこに不便を感じているのかが見えやすくなります。

詳細に設定したペルソナ像を組織全体で共有すれば、共通認識として担当者ごとの認識のズレを防ぎ、一貫性のある施策を実行可能です。

【関連記事】ペルソナとは？マーケティングでの必要性・メリット・作り方・活用の具体例まとめ

ペルソナマーケティングの設定手順【5ステップ】

ペルソナマーケティングを効果的に進めるための5つの手順を紹介します。

1. 目的の明確化

ペルソナマーケティングを行う前に、まず「何を達成したいのか」といった目的を明確にします。

新商品のターゲット像を決めたいのか、既存顧客の満足度を高めたいのかなどによって、設定すべきペルソナ像や収集するデータの種類が変わります。目的が曖昧なまま進めると、社内での認識がばらつき、施策が的外れになる可能性があるからです。

最終的にどのような成果を目指すのかを具体的に描いて、プロセスを設計することが重要です。

2.データを収集する

ペルソナ作成では、信頼できるデータを幅広く集めるのが大切です。アンケートやインタビュー、アクセス解析、担当者へのヒアリングなど、複数の手法を組み合わせることで、より現実に近い顧客像を描けるでしょう。

市場やトレンドは常に変化するため、公表されている統計資料や最新の調査結果も参考にします。より多くの情報源と、鮮度の高いデータを使えば、理想的なペルソナ設定につながります。

3.ペルソナを設定する

集めたデータを整理し、典型的な理想の顧客像を抽出します。単なる属性リストではなく、実在しそうな1人の人物として描くのがポイントです。

年齢、性別、家族構成、職業、趣味、価値観、購買行動などを具体的に設定すると、行動や心理が想像しやすくなります。

たとえば「29歳・男性・独身／IT企業のマーケティング担当／トレンドに敏感」というように、顔や生活が浮かぶレベルまで落とし込みます。

リアルな人物像を作れば、施策検討の際に「この人ならどう感じるか」という視点を持てるようになります。

4. 施策に落とし込む

作成したペルソナを、具体的な施策に反映させます。

広告やコンテンツ制作では、その人物が興味を持ちやすい表現や媒体を選び、響くメッセージを設計します。商品やサービス開発では、ペルソナのニーズや不満点を踏まえて仕様や機能の検討が必要です。

ペルソナを指針として活用すれば、戦略と現場施策のズレを防ぎ、成果につながりやすくなります。

5.検証・改善する

ペルソナは一度作成したら終わりではなく、継続的な検証と改善が欠かせません。

市場環境や顧客の価値観は時間とともに変化するため、作成時の前提が古くなる可能性があります。施策の結果を分析し、想定した顧客像とのズレや新たな傾向を確認しながら、PDCAサイクルを回すことが大切です。

定期的なアップデートを行い、理想的なペルソナ設定を維持していけば、マーケティング施策の精度を高め続けられます。

【部門別】ペルソナマーケティングの活用方法

ペルソナマーケティングは、部門ごとに活用方法が異なります。ここでは、マーケティング部門、商品開発部門、経営企画部門での具体的な活用法を紹介します。

マーケティング部門｜広告・コンテンツの最適化

マーケティング部門では、ペルソナの具体的なニーズや関心を反映した広告やコンテンツの設計が重要です。

ペルソナが抱える課題や求める価値を理解することで、共感を呼びやすいメッセージの絞り込みが可能です。共感されやすいメッセージを、ペルソナがよく利用する媒体に合わせて、効果的に情報を発信します。

ペルソナに合った配信計画を立てれば、反応率やエンゲージメントの向上につながり、広告効果の最大化が期待できます。

商品開発部門｜新商品の企画・改善

商品開発部門では、ペルソナをもとに具体的な商品デザインや機能開発を行います。

ユーザーが求める価値や課題を深く理解すれば、ニーズに合った改善提案が可能です。これにより、新商品の企画から既存商品のブラッシュアップまで、顧客満足度を高める商品づくりが実現します。

経営企画部門｜意思決定の基準化

経営企画部門がペルソナを活用すれば、勘や経験だけに頼らない、データに基づいた意思決定が可能です。

具体的な顧客像を共有すれば、市場の動向や顧客ニーズを正確に把握でき、戦略立案の精度が向上します。部門間で共通の認識を持てるため、意思決定の一貫性が保たれ、リスクを抑えた効果的な経営判断にもつながります。

ペルソナマーケティングの注意点

ペルソナの設定は効果的なマーケティングに欠かせませんが、作成時にはいくつかの注意点があります。ここでは、精度の高いペルソナを構築するために押さえておきたい3つのポイントを解説します。

思い込みや先入観で作らない

ペルソナを個人の感覚や経験だけで作成すると、実際の顧客像との間に大きなズレが生じる可能性があります。プロジェクトメンバー全員で意見を出し合いながら作り上げることで、多角的な視点が加わり、より実態に近いペルソナを構築できます。

また、正確性を高めるためには、データや調査結果などの根拠が不可欠です。自社の顧客データや市場調査の分析結果を活用し、事実に基づいた設定が重要になります。

信頼できるデータを集める

ペルソナ設定の精度は、どれだけ信頼性の高いデータを集められるかに左右されます。

自社での調査も可能ですが、調査設計の精度や調査対象の確保など専門性が求められる場面が多く、根拠が不十分だと精度が大きく落ちます。効率よく確かな情報を得るためには、調査会社の活用が有効です。

リサーチやアンケートには一定のコストがかかりますが、より現実的で成果につながるペルソナ構築につながります。

定期的に見直しをする

市場環境や顧客の行動は常に変化しているため、ペルソナも定期的な見直しが欠かせません。見直しを怠ると、現実のユーザー像との間に乖離が生じ、施策が的外れになる恐れがあります。

新たな調査や最新の顧客データをもとに定期的に再考し、ユーザーの価値観の変化に柔軟に対応できるようにします。

ペルソナマーケティングに強い調査会社8選

ペルソナマーケティングのための調査分析には、プロの力を借りるとより精密なデータが入手できます。ここでは、ペルソナマーケティングに強い調査会社を紹介します。

株式会社日本リサーチセンター

参照元:株式会社日本リサーチセンター

日本リサーチセンターは、1960年設立の老舗の総合調査会社です。ネットリサーチによるアンケート調査だけでなく、デプスインタビューやグループインタビューなどの定性調査にも強みを持ち、オンライン・オフラインの両方に対応しています。

調査票作成からリクルーティング、会場やモデレーターの手配、実査、レポート納品まで一括で依頼可能です。

約7万人の一般生活者を対象とした非公募型郵送パネル「トラストパネル」を保有し、より生活実態に近い声をリーズナブルに収集できます。

株式会社ネオマーケティング

参照元: 株式会社ネオマーケティング

ネオマーケティングは、国内最大規模となる約2,889万人（提携含む）のアンケート会員を保有し、条件に合致したモニターに対して精度の高い調査を行えます。

特に1対1で行うデプスインタビューによる、インサイト発見や心理の深掘りに強みがあります。
新商品開発リサーチ「インサイトドリブン®」では、行動観察やデプスインタビュー、共創ワークショップを組み合わせ、お客様像を明確化する実績が豊富です。ペルソナ作成にも直結する調査・分析支援が期待できます。

マイボイスコム株式会社

参照元:マイボイスコム株式会社

マイボイスコムは、アンケートデータ「MyEL」をAIで分析し、リアルなペルソナを自動生成できる「AI分析サービス（CotoEL）」を提供しています。

リサーチャーが調査設計から分析まで一貫して伴走する「コンサル型リサーチ」に強みを持ち、定量調査と定性調査を効果的に組み合わせることで、生活者のニーズを深く掘り下げます。

アンケートだけでなく、デプスインタビューやグループインタビューを通じて得られる生の声を具体的に把握し、より実態に即した分析が可能です。

株式会社Brandism

参照元: 株式会社Brandism

Brandismは、ブランド・マーケティングの戦略構築から実行までを内製化できるよう、企業と伴走する支援を行っています。

顧客理解を深める「顧客インサイトの戦略的リサーチ」を提供し、STP分析や消費者インサイトを活用したブランド戦略支援の実績も豊富です。マーケットの定量調査やプロフェッショナルインタビュー、ユーザーインタビューを組み合わせ、市場理解から顧客像の明確化までをサポートしています。

定量・定性調査を通じて市場を細分化し、自社の強みを最大限発揮できるターゲット層を導き出します。

株式会社10

参照元: 株式会社10

株式会社10は、「共感」を軸にしたマーケティングおよびリサーチ・コンサルティングを行う企業です。

ペルソナ構築の情報収集に有効なMROCを、独自のオンラインコミュニティリサーチプラットフォーム「MindSquare」として提供し、リサーチ専用のコミュニティを形成しています。参加者との対話や交流を通じて、背景や文脈を深く理解し、多角的なインサイトの引き出しが得意です。

マーケティングのフレームワークである「ジョブ理論」を用いて、コアなターゲットを特定し、カスタマージャーニーやペルソナの構築につなげます。

日本インフォメーション株式会社

参照元: 日本インフォメーション株式会社

日本インフォメーション株式会社は、クライアントの課題抽出のための丁寧なヒアリングや、マーケティング課題に応じた最適な調査企画を提案しています。

またインタビューメソッドの提案も行っており、ペルソナ構築のためのユーザー深層心理や、インサイトの把握が可能です。グループインタビューやデプスインタビューにも強みがあります。

株式会社アスマーク

参照元: 株式会社アスマーク

株式会社アスマークは、対応力のスピードと高品質なマーケティングリサーチを提供しています。

丁寧なヒアリングと柔軟な対応を行いながらも、コスト削減を実現した事例を持っています。マーケットリサーチのサービスに関する国際規格、ISO20252認証を取得し、国際的に評価が高い企業です。

楽天インサイト株式会社

参照元: 楽天インサイト株式会社

楽天インサイト株式会社は、楽天グループが蓄積しているデータに基づいて独自のサービスを提供しています。

職業や職種、サービスの利用状況など、豊富なターゲット情報で、欲しい対象者を事前に確認可能です。ビッグデータを利用する環境の提供もしており、PDCAに沿った課題解決に導いてくれます。

まとめ｜ペルソナマーケティングは信頼できるデータに基づいて行おう

ペルソナマーケティングは、単に理想の顧客像を思い描くだけでは効果を発揮しません。根拠のある信頼性の高いデータに基づき、実際に存在しそうな人物像を詳細に描くことが重要です。

市場や顧客の価値観は常に変化するため、定期的な見直しと改善で、常に現実に即した戦略を保てます。