「コンシェルジュ型リサーチテック」とは?アンド・ディの強みや哲学を紹介
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「AIを調査に活用してみたい」。そんなリサーチャーやマーケターにとって、アンド・ディは参考になる会社のひとつかもしれません。同社は、ベテランのリサーチャーを中心に据えながら、調査の自動化・AI活用に独自のアプローチで取り組んでいます。今回は代表取締役の佐藤氏に、リサーチトレンドナビ編集長の本郷が話を伺いました。AIによる最先端の調査をキャッチアップしたい方におすすめです。
- アンド・ディは調査SaaS「ニーヨン」やFA処理AI「コーディスト」などの独自ツールを自社開発するリサーチテック企業
- 元リクルート系の強みを生かし、大学、観光、インバウンドなどの領域に深い知見とネットワークを保有
- アンド・ディがベテランのマーケターやリサーチャーと相性が良いと言われる訳

佐藤 哲也
株式会社アンド・ディ代表取締役社長兼CTO。銀行系シンクタンク、東京工業大学(現東京科学大学)助手、静岡大学大学院准教授を経て2007年に大学発ベンチャー株)デザインルールを創業、2018年より現職。日本初の投票支援システム(ボートマッチ)や予測市場のような集合知システムの技術開発経験がある。

本郷 哲也
GMOリサーチ&AI株式会社 専務取締役 兼 リサーチトレンドナビ編集長。コンサルティングファームにて12年間、マーケティングとCX(顧客体験)改革を牽引。GMOリサーチ&AI参画後はパネル・営業部門の責任者を歴任し、2022年より現職。2025年からは日本マーケティングリサーチ協会(JMRA)理事も務める。
リクルート系のリサーチ会社からのスピンオフ、そしてリサーチテックへ
本郷:本日はよろしくお願いします!まずアンド・ディという会社がどういう経緯で生まれたのか教えていただけますか?
佐藤:今の中心メンバーは、もともとリクルート系のリサーチ部門の出身です。当時、その部門がリサーチの受注をストップすることになりまして。お客様が多くいらっしゃる中でいきなり止めてしまうのも困るという事情もあり、そこからスピンオフして2004年に設立したのがアンド・ディです。

株式会社アンド・ディ 佐藤社長
佐藤:2018年に私が入るまでは、車や飲料といった伝統的なリサーチを中心にやってきた会社でした。私が入ってからは、社内の効率化も含めてリサーチテックの応用に軸足を移していきました。当社のような比較的規模の小さい調査会社では、工夫をしていかないと…というのが正直な背景です。
本郷:リサーチテックへの転換として、具体的にどのような動きをされてきたんですか?
佐藤:自社でツールを作っていく方向に舵を切りました。社内のエンジニアを養成していく中で、基本的に内製しています。生成AIが出てくる前から、テックを中心にいろんなツールを展開していて、生成AIの登場でさらに加速した、という感じですね。
ニーヨン、コーディスト…自社開発ツールが変えた調査の速度
本郷:御社が開発されたツールについて教えていただけますか?

リサーチトレンドナビ編集長 本郷
佐藤:2024年に「ニーヨン」という調査の自動化SaaSを作りました。ブランド認知度調査のようなよくある調査であれば、ポチポチと入力するだけで5分で設計が完了し、そのままGMOリサーチ&AIのパネルで調査が動き始め、早ければ数時間、遅くても24時間でサンプルが回収されます。その後は自動でレポートが落ちる、というパッケージツールです。
もう一つ、「コーディスト」というFA処理ツールも2023年に作りました。アフターコーディング、つまり自由記述の処理を自動化するツールです。生成AIが出る前から、AIの面白さは非構造データをクラスタリングするところにあると思っていて、そこに着目して開発しました。

コーディストの画面イメージ
本郷:実際に使われているお客様ではどんな変化が起きていますか?
佐藤:例えばある大手流通の会社様では、今まで調査のことを全く知らなかったマーケティングセクションの方が、ニーヨンを使ってポチポチ操作するだけで、施策AとBのどちらがいいかを24時間でレポートとして受け取れるようになりました。意思決定のスピードが劇的に変わったと評価いただいています。
使い始めてからもカスタマイズのご要望が出てきますので、ツールを渡して終わりではなく、チューニングの支援を継続的に行うケースが多いですね。
大学・観光・インバウンド。アンド・ディにしかできない公的調査の世界
本郷:御社のホームページを拝見すると、大学や観光・インバウンド領域への言及が目立ちます。この辺りの強みはどのように生まれたのでしょうか?
佐藤:リクルート系のリサーチ部門が強みを持っていた領域を引き継いでいる部分が大きいです。特に大学は一般的なマーケティングとは認識されづらい少し特殊な領域ですが、少子化の中で競争も激しくドメイン知識が必要とされる領域です。

佐藤:インバウンドに関しては、昨今のインバウンド需要の高まりの中で、海外からのお客様にどう対応すればいいかというご相談を多くいただいています。こういう調査をやりましょう、あるいはこれはやらない方がいいですよ、ということを率直にお伝えするようにしています。
本郷:佐藤さんご自身も大学で准教授をされていたと伺いました。その経験は今の事業に活きていますか?
佐藤:大学という組織の中にいたことで、教授会の権力が依然として強いとか、学部ごとに意思決定がバラバラだとか、民間企業とは全然違う性質をよく理解しています。それは身をもって経験しているので、お客様とのコミュニケーションで活きている部分はありますね。
生成AI登場後、リサーチャーの仕事はどう変わったか
本郷:生成AIが出てきたことで、御社の業務はどのように変わりましたか?
佐藤:大きく変わったなと思うのは、「リサーチ」と呼んでいるものの全体像です。コンピューターが自然言語を操れるようになったことで、プログラマーが介在しなくても、いろんなことができてしまう新しいインターフェースが出てきた。調査に限らず、すべての知的生産業にとって劇的な変化が起きている最中だと思っています。
実務的な話をすると、調査の企画フェーズや調査票を作るフェーズはすごく変わりました。集計もほぼAIで置き換えられそうな状況です。レポートの報告書作成も、ほぼそのまま出せる品質に近づいてきています。
本郷:一方で、自動化しにくい部分も残っていますか?
佐藤:お客様ごとにカスタマイズが多い部分は、どこまで自動化できるかが本当に難しいところです。当社はいわゆる営業らしい営業がいなくて、リサーチャーが各自のお客様に対応しています。そのコンシェルジュ的な立ち振る舞いは、人間でないとできない部分が割と残っていると感じています。
AIだけでうまくいくケースと、そうでないケースの違いについては、AIへの向き合い方に一定の匂いみたいなものがあって。例えば『経営層からDXを進めてほしいと言われたから依頼しました』というような案件は、何のためにやるのかという目的の構造が不明確なことが多くて、なかなか話が前に進まない。お客様サイドのビジネスに本当に寄与するゴールがないと、うまくいかないんです。
ベテランリサーチャーとAIの融合で生まれるもの
本郷:どんな企業やマーケターの方と一緒に仕事をすると、特に御社の価値が発揮されると感じますか?
佐藤:社内にAI好きなエンジニアがおり、私も一緒にトライアンドエラーをしているのですが、そこにベテランのリサーチャーやマーケターであるお客様が組み合わさると、すごく面白いものが生まれるんです。伝統的な会社はどうしてもAI活用に慎重なこともありますが、そこにAIがうまく乗ると、「日本の新しいリサーチの姿」ができる。そこが一番面白いと思っています。
なので、当社に相談する前に調査の設計を練っておいたり、「AIを使うとこんなことができるんじゃないか?」というアイデアを持ってきていただいたうえで、当社のコンシェルジュと一緒にブラッシュアップしていく場面が、一番価値を発揮できると思います。
本郷:御社のクライアントはやはり、AIに精通している方が多いのでしょうか?
佐藤:AIを積極活用したい企業さんと、支援する中で少しずつAIを活用していってもらえる状況になる企業さんの、2パターンありますね。展開が早いのはやはり前者ですが、後者は後者で私たちの介在する価値が発揮でき、やりがいがあります。
本郷:「AIを活用し、調査の可能性を広げたい」という担当者にとって、アンド・ディはユニークな体験ができそうですね。AIによって人の介在価値はどうなると思いますか?
佐藤:どうなるんでしょう(笑)。稼働できる時間や、知能のキャパシティを考えると、会社という概念自体が変わってしまうのではないかと思っています。今後どうなっていくか、シンギュラリティは本当に来るんじゃないか等、色々考えてしまいますね。
本郷:AIの最前線に日々触れているからこそのご意見ですね。AI活用による今後をプロフェッショナルな視点で一緒に考えたい担当者には、ぜひアンド・ディさんにお問い合わせいただきたいです。本日はありがとうございました!

株式会社アンド・ディ

2004年、リクルート系のリサーチ会社からスピンオフして設立。現在はリサーチテック企業として、調査の設計から回収・レポートまでを自動化するSaaS「ニーヨン」、自由記述のAI処理ツール「コーディスト」など独自ツールを内製・展開する。大学・観光・インバウンドなどの専門領域に深い知見を持ち、リサーチャーが直接対応するコンシェルジュ型の支援を強みとする。
本郷 専務の視点
リサーチテックを内製で積み上げながら、ベテランのリサーチャーによるコンシェルジュ支援を組み合わせる体制は、AIだけでも人間だけでも成立しない独自の形です。「DXをやれと言われたから依頼する」案件にはお断りを入れるという率直さも、むしろ信頼できる理由になると感じました。AIを活用したリサーチの可能性を、本当の意味で一緒に考えてくれるパートナーを探しているマーケターにとって、話してみる価値のある会社です。
