インタビュー調査とは?手法の種類とメリット・デメリット、調査会社比較まで解説
目次

インタビュー調査は、相手と直接会話することで「なぜそう思うのか」「どんな背景があるのか」といった深い気持ちや意図を把握できる調査方法です。アンケートでは拾いきれないリアルな声が得られるため、新商品の企画やサービス改善に役立ちます。

この記事では、インタビュー調査の種類やメリット・デメリットを詳しく解説します。あわせてインタビューの進め方や成功のヒント、調査会社の選び方についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

インタビュー調査とは

インタビュー調査とは、インタビュアーが調査対象者と直接会話しながら、回答・意見・感想などを引き出して情報を収集する調査手法です。数値では見えにくい背景や心の動きを深く理解できるのが特長で、代表的な定性調査の一つとされています。

活用シーンは、以下のように多岐にわたります。

  • 新商品のアイデア検討
  • プロトタイプ評価
  • UXリサーチ
  • 顧客理解の深化

対象者の価値観や生活文脈に迫ることで、アンケート調査では得られない実践的な示唆を得られるのが特長です。

手法別|インタビュー調査のメリット・デメリット

手法別|インタビュー調査のメリット・デメリット

インタビュー調査は、目的や参加人数により適切な手法が異なります。主なインタビュー調査は、以下のとおりです。

  • 1対1で行う「デプスインタビュー」
  • 複数人のグループに分けて行う「グループインタビュー」
  • インターネット上で実施する「オンラインインタビュー」

各手法は情報の深さや効率、コスト面などに違いがあるため、うまく使い分けることが重要です。ここでは、手法別にインタビュー調査のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

デプスインタビュー

インタビュアーが対象者と1対1で対話し深層心理や本音をじっくり引き出す調査手法です。時間をかけてじっくり話を聞くため、潜在ニーズや価値観など詳細なインサイトが得られます。

メリットデメリット
・個別に深掘りできる
・繊細なテーマや複雑な意思決定の背景を理解しやすい
・コストと時間がかかる
・インタビュアーのスキルに左右されやすい

対象者が「周りの回答に合わせたほうがいいかな」「自分の意見を発表するのが恥ずかしい」といった気持ちを抱きにくく、グループの影響を受けず自由に話せる点も大きな利点です。

【関連記事】デプスインタビューとは?基本手法から活用事例・おすすめ企業5社比較と費用相場も

グループインタビュー

4~8人程度の対象者が座談会の形で自由に意見を交換する調査手法です。参加者同士の相互作用により、新たな気づきや多様な意見が生まれやすいのが特長です。

メリットデメリット
・複数人の意見を同時に聞ける
・短時間で多くの情報を収集できる
・一人ひとりの話が深掘りしにくい
・対象者が他者の意見に影響されやすい

グループインタビューは参加者同士の意見交換が活性化される反面、他者の前では率直な意見を出しにくい人も多く、デリケートなテーマの本音を引き出す手法としては適していません。

【関連記事】グループインタビューとは?メリット・進め方・調査会社10選をわかりやすく解説

オンラインインタビュー 

オンラインインタビューは、インターネット回線を利用して遠隔地の対象者とつながり、デプスインタビューやグループインタビューの形式で実施できる調査方法です。

メリットデメリット
・場所や時間の制約がほとんどない
・広範囲から多様な参加者をリクルートしやすい
・通信トラブルのリスクがある
・参加者の集中力維持が課題

多くの人が自宅など慣れた環境でリラックスしながら参加するため、本音を引き出しやすいという利点があります。前述したデプスインタビューやグループインタビューも、オンラインでの実施が可能です。

インタビュー調査を成功させる手順

インタビュー調査を成功させるカギは、明確な目的設定から始まり、調査実施、分析・報告までの一連の流れを丁寧に計画し実行に移すことです。

ここでは、インタビュー調査を成功させるためのポイントを、順を追って解説していきます。

調査目的と仮説の明確化

インタビュー調査の最初のステップは、「何を知りたいのか」「その情報をどの意思決定に活かすのか」といった調査目的を明確に設定することです。目的が曖昧では、調査全体の方向性がぶれたり、得られた結果の活用が難しくなったりします。

「こういう理由が背景にあるのでは?」「こうした状況や動機があるのでは?」といった仮説を事前に立てておくことで、質問設計や分析時のテーマが整理され、効率的に調査を進められます。また、調査成功には目的や仮説を関係者間で共有し、一貫した認識を持つことも欠かせません。

調査内容の設計

調査目的が定まったら、調査内容の具体的な設計を行います。まずはターゲット層の属性や行動パターンを決め、調査形式を選定してください。続いて、回答を引き出すための調査票と、質問の流れや時間配分を整理したインタビューフローを作成します。

インタビューフローは、自社や調査チームでの認識を統一し、当日のスムーズな進行を支える重要な役割を果たします。仮説の検証や課題抽出に役立つ内容であることを意識して設計することが大切です。

対象者のリクルーティング

調査目的に合った適切な調査対象者を選ぶリクルーティングは、インタビュー調査の成功に欠かせません。単に属性で絞るだけでなく、対象者が調査テーマに関心や体験を持っているかどうかの確認も必須です。

対象者の準備が整ったら、インタビュー調査中の発言をしっかり記録できるように録音・録画を行い、データの保存と資料作成のための基礎を整えます。これにより、後の分析が正確かつ効率的に進められます。

インタビュー調査の実施

準備が整ったら、いよいよインタビュー調査を実施します。インタビュアーは中立的な立場を保ち、参加者の話す意見に共感しながらも誘導しないよう配慮することが大切です。

対象者は、「どんなことを聞かれるのか」「ニーズに合った回答ができるか」など、緊張しながらインタビューに臨むはずです。ここでインタビュアーが注力したいのは、緊張した場の雰囲気を和らげ、話しやすい空気を作ることです。また、対象者が考えるための沈黙や間を尊重する姿勢も大切です。こうした配慮が、参加者の本音を引き出し、調査の精度と信頼性を高める結果につながります。

調査結果の分析・レポート化

インタビュー終了後は、録音データを文字起こしし、テーマごとに分類して共通点や課題を抽出します。得られたインサイトは整理をして、レポートを作成します。レポートは、インタビューに参加していない関係者でも理解しやすく、意思決定や具体的施策に活用できる形にまとめることが成功のポイントです。

インタビュー調査会社を選ぶときに押さえるべき5つのポイント

インタビュー調査会社を選ぶときに押さえるべき5つのポイント

インタビュー調査は、豊富な経験と専門知識を持つリサーチャーが在籍する調査会社に依頼するのがおすすめです。精度の高いデータ収集が可能になるうえ、専門のモデレーターが参加者の本音を引き出しやすい柔軟な対応を行ってくれます。

ここでは、インタビュー調査会社を選ぶときに押さえておきたいポイントを5つご紹介します。

対象者のリクルート力

インタビュー調査を成功させるためには、調査目的に適した対象者を的確に集められるかどうかがカギとなります。そのため、若年層や特定の職種、趣味嗜好を持つ顧客など、調査のテーマに合う属性からリクルーティングできる調査会社を選ぶことが重要です。

対象者の質と量が調査の信頼性や再現性に直結するため、募集方法やパネルの回収力や質も確認する必要があります。また、対象者の関心や参加意欲を高める工夫も欠かせません。

モデレーターのスキル・経験

インタビュー調査の進行役となるモデレーターのスキルや経験は、調査の質を大きく左右します。特に、グループインタビューにおいては、その場を円滑に進めたり議論を活発化させたりするファシリテーションスキルの高さが求められます。さらに、業界やテーマの専門知識があると、より的確なフォローアップの質問を行いやすくなります。

インタビュー調査を成功に導くためにも、依頼前に担当モデレーターの経験や得意分野、過去の実績などを確認しておくと安心です。

調査設計・分析サポートの有無

先述したように、インタビュー調査においてはいくつかの手順を踏んで慎重に進めていく必要がありますが、サポート範囲は依頼する調査会社によって異なります。インタビュー調査を依頼する際は、以下のポイントで対応範囲を事前に確認しておきましょう。

  • 調査目的や仮説を明確化するところから対応してくれるか
  • インタビュー実施後には回答の分析やレポート作成まで対応できるか

分析力が高い調査会社は課題の本質を掘り下げ、意思決定や施策立案に活かせる具体的な気付きを提供してくれます。

実績の有無

自社の業界や類似課題での調査実績が豊富な会社は信頼度が高いです。実績をもとに、どのような課題をどのように解決したか、得られた成果やクライアントの評価を具体的に確認してください。

実績がある会社は、似たような調査で得たナレッジを活用でき、調査設計の精度や当日の対応力が高まります。とくに、初めての依頼や複雑なテーマの場合は実績重視で選ぶのがおすすめです。

費用感・スケジュール対応力

調査会社選びにおいては、費用体系の明確さと予算感の合致も見落とせません。事前に見積もり内訳の詳細を把握し、無駄なコストを抑えられるか確認しましょう。また、納期やスケジュールの柔軟性も比較ポイントです。

インタビュー調査に強いおすすめ調査会社7選

この章では、質の高いリクルート力や分析サポートが充実した調査会社をご紹介します。AI活用や国内最大規模パネル保有、専門モデレーターの存在など、多様な強みを持つ7社を厳選しました。ぜひ参考にしてみてください。

株式会社ネオマーケティング

株式会社ネオマーケティング

参照元: 株式会社ネオマーケティング

ネオマーケティングは国内最大規模のアンケートパネルを保有しており、調査対象者の的確なリクルーティングを行えるのが強みです。潜在ニーズの発見を専門とする「インサイトリサーチャー」が企画から設計までを担当し、新商品のコンセプト検証を行います。

さらに、ネオマーケティングならではの強みとして挙げられるのが、デザイン思考を活用した独自の商品・サービス開発手法「インサイトドリブン®」です。この手法を駆使しながら、企業の新商品開発を一貫サポートします。専用のデプスインタビュールームも完備されており、調査参加者がリラックスできる環境を提供できるのも特長です。

株式会社Quest Research

株式会社Quest Research

参照元: 株式会社Quest Research

Quest Researchは、生成AIを活用した「コエミル」や「qork(コルク)」といった独自の分析ツールを駆使したスピーディなリサーチに強みを持つ会社です。具体的には、最短1営業日で実査、約2週間で設計と分析を完了します。

生成AIによる高速消費者インタビューが30万円〜と比較的リーズナブルなので、タイムパフォーマンスとコストパフォーマンスの両方を重視する場合に向いています。

マイボイスコム株式会社

マイボイスコム株式会社

参照元:マイボイスコム株式会社

マイボイスコムは、約120万人の詳細属性を持つ自社パネルを活用し、調査票設計から報告まで一貫して対応するコンサル型リサーチを提供しています。インターネット調査に加え、ヒアリングやグループインタビュー、デプスインタビューなど多様な調査手法を駆使した、精度の高いターゲット抽出が強みです。

費用は目的や要望に合わせて相談可能なので、予算を立てやすいのも魅力です。

株式会社日本リサーチセンター

日本リサーチセンター

参照元:株式会社日本リサーチセンター

日本リサーチセンターは、1960年設立の老舗総合調査会社です。設計からレポート作成まで一気通貫対応が可能で、インタビュー調査をはじめて行う企業でも安心して任せられます。

インタビューを行うための自社会場を備えていることや、リアルな顧客反応観察が強みです。また、新商品コンセプトやBtoB調査においても豊富な実績があります。UXリサーチ分野の「NRC UXリサーチ」で、ユーザー体験から潜在ニーズを掘り起こすことも得意です。

ヴィアゲート株式会社

ヴィアゲート株式会社

参照元: ヴィアゲート株式会社

ヴィアゲートは、AIインタビューを核に高速・高品質リサーチを展開している調査会社です。AIチャット形式でユーザーの本音を大量取得し、従来調査の量や質の課題を解決します。

スマホカメラを使った視線や感情取得も可能で、ユーザー行動の精緻な分析に対応しているのが特長です。また、30言語に対応しているため、海外リサーチを行いたいときにもおすすめです。24時間365日いつでも調査可能で、低コストかつ短期間でのリサーチを実現します。

日本インフォメーション株式会社

日本インフォメーション株式会社

参照元: 日本インフォメーション株式会社

日本インフォメーションは、創成期からの実績を持つ老舗調査会社です。経験豊富なモデレーターと書記が、ラダリング法やコラージュ法など深層心理に迫るメソッドを駆使しながらスムーズにインタビューを進行します。

自社会場多数、オンライン・オフライン両対応に加え、アイトラッキング調査との併用も可能です。

株式会社アスマーク

株式会社アスマーク

参照元: 株式会社アスマーク

アスマークは、マーケットリサーチサービスに関する国際規格「ISO20252」認証を取得しており信頼をもって依頼できる調査会社です。大規模パネルを保有し、ターゲットリクルート力が高いのも強みです。

デプス・グループ・オンラインインタビューに加え、チャット調査やミラールーム機能搭載調査ツールも充実しています。

インタビュー調査の成果は調査会社選びで変わる

インタビュー調査の成果は、調査会社の選び方で大きく変わるものです。適切な調査会社は、目的に合った対象者の的確なリクルーティング、経験豊富なモデレーターによる本音を引き出す進行、そして質の高い調査設計と分析サポートを提供します。

単なるデータ収集に留まらず価値あるインサイトを得るためにも、今回解説したインタビュー調査の進め方と信頼できる調査会社の選び方を参考にしてみてください。

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